お葬式の際に祭壇に飾られるご飯は、枕飯(まくらめし)といい、故人が使っていた茶碗にご飯を盛り、箸を立てたものです。
この世での最後の食事とされます。ご遺体の枕元に供える枕飾りのひとつで仏壇にお供えする仏飯とは違うものになります。
目次
- 1.枕飯の由来 人生に三度の高盛飯
- 2.枕飯と仏飯の違い
- 3.枕飯の盛り方
- 4.地域による変わった風習
- 5.まとめ
1.枕飯の由来 人生に三度の高盛飯
人生には3度の節目があり、結婚・出産・葬儀の際には多くの人が集まる行事がありました。その際、茶碗にご飯を高く盛る高盛飯が用意されました。
新郎新婦が一緒にご飯を食べることで夫婦としての絆を固めるために用意する高盛り飯が夫婦固めの飯と言われ、二人がこれからの人生を共に歩んでいく決意や、お互いの健康と幸福を願う意味が込められています。
出産もまた、人生において非常に重要な出来事です。新しい命の誕生を祝うために、お祝いの際に用意される高森飯を。産飯(うぶめし)と言います。産飯とは、新生児と産婦のほか、産婆や手伝いをしてくれた女性たちにも振る舞われるもので、参加者が多いほど、その新生児は健康に育ち、将来大きな家族を持つと信じられていました。
そして人生の終わりを迎えたとき、つまり葬儀の際に、故人を偲ぶために家族や友人が集まり故人の人生を振り返り、感謝の気持ちを表し用意する高盛り飯が枕飯(まくらめし)と言います。
2.枕飯と仏飯の違い
枕飯(まくらめし):
枕飯は、故人が亡くなった直後から通夜までの間に供えられるご飯です。故人が亡くなった際、枕元に枕飾り(まくらかざり)を設け、そこに枕飯を供えます。これは、故人が成仏するまでの間、最後の食事として供えるものです。
枕飯は、故人がこの世を去る前に食べる最後の食事とされ、供養の一環として重要視されています。また、故人の魂が成仏するための導きを祈る意味も込められています。
枕飯は一般的に、小さな山の形に盛られたご飯の上に一本の箸が立てられます。この箸立ては、故人がこのご飯を食べるための道具として供えられます。
枕飯は、枕飾りの中央に置かれます。通常、枕元や祭壇に供えられ、故人の枕元に設置されます。
枕飯は、故人がこの世を去る前に食べる最後の食事であり、故人の魂を安らかに送り出すための儀式的な意味を持っています。
仏飯(ぶっぱん):
仏飯は、通夜や葬儀、そしてその後も仏壇に供えられるご飯です。日々の供養として、仏様や故人の霊に対して捧げられるものです。
仏飯は、仏様や故人がいつでも食事をとることができるように、毎朝供えられることが多く、家庭での供養や毎日の祈りの一環として行われます。これは、故人への感謝の気持ちや供養の心を表すものです。
仏飯は、小さな茶碗に盛られた白米です。枕飯とは異なり、箸は立てずに添えて供えるのが一般的です。
仏飯は、仏壇の中央に供えられます。日々の供養として、毎朝新しいご飯を供える家庭も多いです。
仏飯は、日々の供養として、仏様や故人の霊に対する感謝の気持ちや祈りであり。これは、故人が安らかに過ごせるようにとの願いが込められています。
3.枕飯の盛り方
枕飯は枕飾りのお供えの1つで、お茶碗にご飯を山盛りによそい、箸を垂直に立てて供えるものです。
箸を立てるのは、あの世への橋渡しという意味があります。
枕飯の由来には、亡くなった人の復活を願うための食事という説と、
貴重な白米をお茶碗に山盛りにすることでこの世に心残りを持たないよう、旅立ってもらうため
という説があります。
枕飯のきれいな作り方
いざ、枕飯を準備するとなったときに、こんもりと、きれいによそうのは難しいもの。
そんな時は、2つの茶碗を使って形を整える方法がおすすめです。
両方の茶碗にご飯をよそったら口の部分をぴったり合わせ、片方の底面を上に向けてください。
そのままの状態でそっと上の茶碗を外したら、きれいな形に仕上がります。
「なかなか綺麗によそうことができない!」とお困りの方は、ぜひ試してみてください。
ご飯が上手にできましたら箸を立てるます。 ご飯の中央に、一本の箸を垂直に立てます。この箸立ては、故人がこのご飯を食べるための道具として供えます。通常、箸は新しいものが使われます。
できるだけ真っ直ぐに立てることが重要です。箸が斜めにならないように注意し、故人に対する敬意を表すために丁寧に行いましょう。
4.地域による変わった風習
枕飯の「二度炊き」
枕飯を炊く際、故人に供えるご飯は一度炊いてから、もう一度炊き直すという風習があります。これは「二度炊き」と呼ばれ、故人が「この世を離れ、あの世へと旅立つための準備」する行為とされています。通常、ご飯は一度炊けば十分ですが、あえて二度炊きすることで、特別な供養の意味を持たせています。
枕飯の箸の向き?
枕飯に立てる箸の向きについても、さきほどできるだけ真っ直ぐに立てることが重要です。とお話ししましたが、実は箸の向きが重要とされることがあります。箸の先端が故人の顔の方向を向くようにするのが正しいとされる地域があります。
枕飯の茶碗を故意に割らない
一般的には、枕飯の供養が終わった後に茶碗を割る習慣がありますが、逆に茶碗を故意に割らない地域も存在します。例えば、茶碗を割ることを「故人の魂を切り離す行為」として避け、あえてそのままの状態で供養を続ける風習がある地域もあります。
枕飯はご飯だけでなく味噌汁も供える地域
枕飯にはご飯だけでなく、味噌汁を一緒に供える地域もあります。これは、故人が生前に好んでいた食事を再現し、最期の食事として供えるためです。味噌汁を供えることで、故人が温かい食事を楽しむことができるようにとの願いが込められています。
5.まとめ
枕飯は、故人が無事に成仏するためのさまざま願いが込められています。
枕飯は人生に三度の高盛飯の中で今でも引き継がれた故人への最後の施しなので、心を込めてお供えしましょう。そして最後に半紙に包んで棺へ納め49日までのお弁当として持って行って頂きましょう。枕飯についてご紹介いたしました。