【延命治療】あなたは やる?やらない?尊厳のある人生の終わり方

救急外来。深夜2時。 「心臓マッサージ、人工呼吸器、どうしますか?85歳のお母さまが倒れ、娘さんの手が震えています。

「全部お願いします」 その10秒の決断が、家族の未来を大きく変えるのです一旦 助かったけれど、その先にあるのは 心臓マッサージによる 肋骨骨折の痛み、外せない人工呼吸器、気管内挿管をした その管に 違和感を感じ  自分で管を抜く。そして、再挿入➡️そしてレントゲンで・・・確認のループへ。管を 抜かせないために ミトンで手をしばり 固定されることもあります

どれも ご本人には痛みが伴います。SNSで見た 痩せた腕が ベッドに縛られた写真—あれは他人事ではありません。

「 自分もわからない状態で、人工呼吸器をつけ、ベッドに手を縛られてまでして、まだ生きたいのか?」そんな非情な意見もアップされています。

葬儀の打ち合わせで 娘さんから 何度も聞きました。「全部お願いしなければ よかったのかも」—消えない後悔です・・・。

延命するか、しないか・・・。

 このあと実際の事例から、後悔を減らす 判断軸と、最後に 今日から 家族で決めておける大事なチェックリストをお伝えします。

 あの10秒、あなたならどうしますか?後悔しないために、最後までご覧ください。

目次

延命とは?

気管内挿管をした その管に 違和感を感じ 自分で管を抜く➡️そして、再挿入➡️そして、レントゲンで 確認のループへ。

管を 抜かせないためにミトンで手をしばり 固定されることもあります

本日の内容は、急に倒れて救急外来へ搬送された場面を想定した、ご遺族から伺った話を元にしています

最適な医療は病態などで変わります。どんな状況でも、その場の医師の説明を丁寧に聞き、疑問はその場で確認してください。私たちの情報は判断を助ける道しるべであり、診断や治療の最終決定は医療チームと、ご家族で どうか納得して選んでください。

延命治療を選択したAさんの話

深夜2:07、救急外来。

医師の問いは ——「心臓マッサージと人工呼吸器、どうしますか?」娘さんは震える指で答えます。

「お願いします 全部・・・」。

医師の 掌(こぶし)の付け根を 母の胸の中央に重ね、体重をまっすぐ落とす。心臓マッサージから始まりました。

ドン、ドン、ドン——

押すたびに胸骨が わずかに沈み、空気が喉の奥でかすれる。時計の針みたいなリズムで、作業は止まらない。

「1、2、3、4…」 声がかすれ、肘は伸ばしたまま。

 誰かが数える、誰かが祈る。廊下の先で 足音がはね、AEDのオレンジが視界の端で光る。

 圧迫のたび、骨が軋む(きしむ)微かな音ーーそれでも手は止めない。 額を汗が伝い、胸の下の小さな鼓動を探すように、押して、戻して、押して、戻す。

 「脈、まだっ…」「続行!!!」——

短い言葉が空気を切り、モニターの線は細いまま揺れる。

体重をもう一歩、踏み込む。

ドン、ドン、ドンーー。

 誰も言わないが、ここにいる全員が同じ願いを 握っている。もう一度だけ、動いてくれ・・・・圧迫が胸に沈む。数分後、脈が戻る。

 医師:「気道確保、挿管準備!」

助かった・・・・・

 口を開き、喉の奥がライトに白く浮く。「挿管(そうかん)します——チューブ通過、呼気CO₂ 反応あり」

 青いチューブが気管へ固定される。まずは**手押しのバッグ(アンブ)**で胸が上下する。

人工呼吸器を接続。呼吸療法士が声を張る。「バッグから呼吸器に切り替えます!」チューブが壁際の**人工呼吸器の機械へ カチリと接続される。

医師:「設定OK。しばらくこのままサポートします。」

翌朝7:30。ICU

 お母さまは、うっすら目を開けるが、顔をしかめる。圧迫による胸の痛み。喉には気道を確保するための 挿管チューブ。

看護師が小声で告げる。「圧迫の影響が出やすいご年齢です。肋骨骨折です」家族は「外せるのはいつ?」と尋ねるが、医師は「**離脱の練習(ウィーニング)**を見ながら」と慎重に答える。

3日目ーー

食物などが、なんらかの理由で、誤って喉頭と 気管に入ってしまう 誤嚥(ごえん)のリスクも高いので、「気管切開で呼吸を 安定させましょう」と 主治医は提案する。

娘さんは「元気になれば 外せるんですよね?」と確認し、同意。外科的には 喉の皮膚を小さく切開→筋肉を分け→気管の前壁(ぜんぺき)を露出。

器具で少しずつ拡張し 気管の前面に小窓(開口 )を作り、気管切開カニューレを挿入。カフ(風船)を膨らませて空気漏れを防ぎ、首にテープで固定。

ベッドサイドの人工呼吸器にカチッと接続。

1週間後。

 認知症の既往が影を落とす。首元の管に違和感を覚え、手が伸びる。自身で管を外してしまう ・・・自己抜去(じこばっきょ)をした。

 アラーム音が鳴り、駆け寄るスタッフ、そして 再挿入→レントゲン確認。

翌日も同じ。

 「管を抜かせないために ミトンで手をベッドに 縛りましょう…」看護師は丁寧に説明するが、娘さんは うなずきながら涙をこぼす。

3週間後。

 人工呼吸器からの離脱は進まず、口から食事を摂ることも難しい状況に・・・食事が摂れない場合に 栄養を補給する方法として 経管栄養(けいかんえいよう)を選択。

経管栄養が始まる。

 面会のたびに、娘さんのつぶやきは同じ——「助かったのに、苦しそう・・・」

3か月後。

 家でみる 在宅は断念し、療養型病院へ転院。退院の喜びより、引き継ぎ書類の厚みが重い。そして季節がひとつ変わったころ——

葬儀の打ち合わせで 娘さんは弊社へ来館。「“全部”が正解だったのか、今もわからないんです」。とおっしゃていました。

何が正しいのか?

人工呼吸器を——つけてください。または—つけないでください。どちらも、間違いではありません。正しいのは“本人の意思を尊重すること”。これが すべてで、患者が尊厳を持って最期を迎えられるかどうか?だと思うのです。

けれど現実は残酷です。本人が意識朦朧で意思を伝えられない。そういう場合、家族が代理で決めるのです。そして、ほとんど多くの家族が 震える声で言います。

「全部お願いします・・・」

それが愛だから。けれど、親の命の終わりを 今直ぐに 子供の自分が決めるのは 非常に残酷すぎます。

 苦痛や拘束、終わりの見えない治療に続くことを、あの瞬間は 誰も教えてくれません。

医師には救命の義務があります。DNARディーエヌエーアール(蘇生拒否)や、本人や または 家族から『やらないでください』という思表示がなければ、心臓マッサージは原則実施。

しかし、老衰の胸はもろい。肋骨は折れます。ボキボキと・・・。成功率は低く、痛みと合併症だけが残ることもあります。それでも 本人の意思 または 家族の同意がなければ、 医師は 止められない、やるしかないのです。

やらない選択をとると、医師法で 過去に 殺人罪に問われたこともあります。法と倫理の狭間で、医師は“やるしかない”場面があるのです。

ここで覚えていて欲しいことは、人工呼吸器は“付けるのは簡単、外すのが難しい”。離脱訓練(ウィーニング)が進まなければ、気管切開や長期管理へ。

気管内挿管は命を支え 経管(けいかん)・胃ろうは 栄養を届けますが、誤嚥(ごえん)ゼロではないです。痛み・違和感が強く、しばしば**身体拘束(ミトン等で手を縛ること)が必要になります。再挿入→レントゲン確認のループが日常になることも。

「助かった」の先にあるのは、こうした現実の連続です。では、どこまで望むのか・・・。

 「長く生きてほしい」と「苦しませたくない」が ぶつかる夜、私たちはどう選べば 後悔しないのでしょうか?。また 誤嚥を繰り返せば お腹に小さな穴を開け、そこから胃の中にチューブを通して 栄養を直接注入する 胃ろうという医療処置もあります。

威厳ある結論とは? 

延命は善か悪かではなく、誰の意思を中心に、どこまで・いつまで・何のためにやるのか、ということがポイントになります。全ては 本人の意思が最優先で それが全てで、それが確認できないなら、

家族は“推定意思” 例えば 本人の価値観・口癖・生き方 を言葉にして、堂々と選んでください。

 「止める」を選ぶことは 見捨てることではないのです。私は 苦痛を減らすという 別の救命だと思うことも多いです。

ぜひ今夜にでも、大切な人と話しあい、A4   1枚を書いて写真で家族に共有してみてはいかがでしょうか?命を延ばす勇気も、後悔を延ばさない勇気も、どちらも愛です。

延命するか?しないか? チェックリスト

決める項目(チェック式)

  • CPR(心臓マッサージ・除細動):□やる □条件付き(○分・○回) □やらない
  • 人工呼吸器:□やる(上限○日) □試験的48–72時間のみ □やらない
  • 気管切開:□可 □条件付き可(離脱目標×○週) □不可
  • 栄養:□経鼻 □胃ろう □Comfort feedingのみ(好きな物を少量)
  • 身体拘束(ミトン等):□可 □最小限のみ □不可
  • 鎮静(苦痛緩和目的):□可 □条件付き □不可
  • やめどき(撤退基準3つ):①________ ②________ ③________
  • 場所:□自宅 □病院 □施設
  • 代理決定者:________ 連絡先:________

“10秒メモ”ひな形(そのまま写してください)

  • 私は、**(守りたいこと:例「痛みを少なく、家で、会話ができる」)**を最優先にします。
  • 処置ごとの希望は上のチェックに準じます。
  • 見直し条件:上記3つの指標が48–72時間で満たなければ方針転換を希望します。
  • 代理決定者:/第二代理:/主治医:____(TEL)
  • 作成日:/次回見直し:(半年ごと・入退院時・引越し時)

付け加えると

自己抜去リスクがあり →ミトン等での身体拘束が現実的に起こり得ることを、

事前に具体例で共有できていれば、家族の覚悟や方針がブレにくかったと思います

4、決める項目(チェック式)

  • CPR(心臓マッサージ・除細動):□やる □条件付き(○分・○回) □やらない
  • 人工呼吸器:□やる(上限○日) □試験的48–72時間のみ □やらない
  • 気管切開:□可 □条件付き可(離脱目標×○週) □不可
  • 栄養:□経鼻 □胃ろう □Comfort feedingのみ(好きな物を少量)
  • 身体拘束(ミトン等):□可 □最小限のみ □不可
  • 鎮静(苦痛緩和目的):□可 □条件付き □不可
  • やめどき(撤退基準3つ):①________ ②________ ③________
  • 場所:□自宅 □病院 □施設
  • 代理決定者:________ 連絡先:________




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