日本はなぜ“ほぼ全員火葬”なのか?アジアとの比較
「えっ、日本って“ほぼ全員火葬”って知っていましたか?
実はこれ、世界で見るとかなり特殊で先行したスタイルなんです。
そして今、世界の多くの国が、
ゆっくりと『土葬から火葬へ』と追いかけてきている途中なんです。」
今日は前編として、
「日本はなぜほぼ全員火葬なのか?アジアと比べると何が違うのか」
というテーマでお話しします。

目 次
- 日本は世界でも“ほぼ全員火葬”という特殊な国
- アジアの火葬事情──仏教・ヒンドゥーの国々
- 日本でここまで火葬が進んだ背景とは?
- まとめ──日本の当たり前を一度見直してみる

1. 日本は世界でも“ほぼ全員火葬”という特殊な国
まずは、日本の話からいきましょう。
日本では、統計上、99%以上の方が火葬です。
ほとんど「全員火葬」と言っていい水準です。
日本で暮らしていると、
「お葬式といえば、式をして、最後は火葬場に行く」
という流れが、あまりにも当たり前になっていますよね。
火葬場に行くことを、
「お別れ」と同じ意味で使う方も多いです。
ところが世界全体で見ると、
まだまだ土葬が主流の国や地域もたくさんあります。
- 宗教的な理由で「土葬一択」という国もある
- 逆に、日本や韓国のように「ほぼ全員火葬」の国もある
私は思うんです、
「日本の火葬は世界でも普通だろう」と思っている方ほど、
このギャップに驚かれるんじゃないかなと。
前編ではその中でも、
日本と、周りのアジアの国々にフォーカスしてお話しします。

2. アジアの火葬事情──仏教・ヒンドゥーの国々
次に、アジア全体を眺めてみましょう。
日本の周りの国々を見ていくと、
- 韓国
- 台湾
- 香港
- シンガポール
こういった国・地域は、いずれも 火葬率がとても高い と言われています。
日本ほど“ほぼ全員”ではないにせよ、
すでに「火葬が当たり前」に近い感覚の地域が多いです。
背景には、いくつか共通点があります。
(1)仏教文化の影響
タイ・スリランカ・ミャンマー・ネパールなど、
仏教国ではもともと 「火葬」が伝統的な送り方として根付いてきました。
お寺の境内で火葬を行ったり、
火葬のあとに散骨をしたり、
国や地域ごとにスタイルは違いますが、
「火で還す」という発想は共通しています。
インドやネパールなどのヒンドゥー教圏でも、
ガンジス河の火葬場をテレビでご覧になった方も多いと思います。
ここでも「火葬」は、ごく当たり前の儀礼です。
(2)大都市の土地問題・墓地不足
アジアの大都市──
東京、ソウル、台北、香港、シンガポールなどは、
どこも土地が限られています。
- 広いお墓をつくる余裕がない
- 墓地の区画が不足している
- 墓石や区画の費用が高い
こうした事情から、
**「コンパクトな納骨」「納骨堂」「合葬墓」**といった形が増えています。
それを支えているのが、「火葬」という選択なんですね。
(3)ライフスタイルの変化
もう一つは、家族の暮らし方の変化です。
- 子どもが地方から大都市に出ていく
- 海外で働く
- 結婚して別の地域に住む
こうなると、「代々同じお墓を守る」という発想が難しくなります。
韓国や台湾などでも、
- 小さなお墓
- 納骨堂
- 樹木葬
こういった、**「維持しやすい供養」**が増えています。
日本だけが特別なのではなく、
アジアの多くの国で、
「暮らし方に合わせた供養のスタイル」が模索されているということです。

3. 日本でここまで火葬が進んだ背景とは?
では、日本はなぜここまで 火葬が徹底しているのか。
少しだけ背景を整理しておきます。
ポイントをいくつか挙げると、
- 明治以降の都市化・衛生面の問題
- 法律や制度の整備
- 火葬場の整備が全国的に進んだこと
- 仏教の影響と、「火葬が普通」という意識の定着
こういった流れが重なって、
「日本=火葬の国」 という姿になっていきました。
土葬も、昔の農村部などでは行われていましたが、
都市部を中心に 「火葬が安全で衛生的」 という考え方が広がり、
次第に全国に広まっていった、という歴史があります。
今の日本では、
- ご遺体の保全
- 火葬場の数
- 斎場と火葬場の導線
こういったインフラが、火葬を前提として整えられているので、
「土葬に戻す」という発想は、現実的にはほとんどありません。
私は思うんです、
日本がここまで火葬に舵を切ってきた背景には、
単に宗教だけではなくて、
都市の構造・インフラ・生活スタイルまで含めた“社会全体の選択” があったんだろうな、と。
だからこそ、
日本では「お葬式=火葬まで含めた一連の流れ」が
ひとつの“型”として完成しているとも言えます。

4. まとめ──日本の当たり前を一度見直してみる
ポイントを整理します。
- 日本は火葬率99%以上の「ほぼ全員火葬」の国
- 周りのアジア諸国(韓国・台湾・香港・シンガポールなど)も、火葬率はとても高い
- 仏教・ヒンドゥー文化、都市部の土地不足、家族のライフスタイルの変化
──こうした要素が重なって、「火葬が当たり前」という流れになっている - 日本の場合は、法律・インフラ・価値観の面から、
世界でも一歩先に「火葬社会」が完成していると言える
日本で暮らしていると、
「お葬式って、火葬が普通でしょ?」
で終わってしまいがちですが、
世界に目を向けると、
まだまだ土葬が当たり前の国もたくさんあります。
日本の“当たり前”は、
実は世界では かなり特殊で、先を走っているスタイル なんですね。

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