
「もしかして母の様子、いつもと違う?」
呼吸が浅く、食事も少ししか取らない──そんな変化に気づくと、頭をよぎるのは“終わりが近いのでは”という不安です。現場では「もっと早く知っていれば」と悔やむ声を何度も聞きました。今日は医療・介護の現場で確認されている“死期が近い人に表れる前兆”をエピソードとともに解説します。なお、多摩中央葬祭では無料の事前相談を随時受け付けています。動画を見ながら「うちも準備しておいた方がいいかも」と感じたら、遠慮なくご相談ください。
目 次

- 身体に表れる目に見える変化
- 死の3徴候──呼吸・脈拍・瞳孔
- 呼吸のリズムと“死前喘鳴”(しぜんぜんめい)
- 意識と会話の変化
- 食事・水分・排泄サイン
- 家族にできる7つのケア
- 医療・介護チームと連携するコツ
- まとめ
⒈身体に表れる目に見える変化
顔色がロウのように黄味がかり、手足が冷えてむくむ──血流が中心部に集まるサインです。Aさん(88歳)は入浴好きでしたが「お風呂は寒いから」と急に拒むようになりました。看護師が皮膚温を測ると手足が29℃台。ホッカイロで温めても数時間で冷えてしまうため、「末梢循環の低下が進んでいる」と医師が説明しました。ご家族は“冷え”を見て「冬だから」と流しがちですが、季節に関係なく続く場合は要注意。暖房よりも手を当て優しく摩ることで血流が一時的に戻り、安心感も得られます。事前相談で搬送や安置場所を決めておくと、この段階で慌てずに済みます。

⒉死の3徴候──呼吸・脈拍・瞳孔
医学的な死亡判定は呼吸・心拍・瞳孔ですが、実際には“ゆらぎ”が先に現れます。呼吸が10秒以上止まり急に再開する“チェーンストークス呼吸”、脈が糸のように細くなる“フィラメントパルス”、光を当ててもゆっくりしか縮まらない瞳孔。Bさん(92歳)は酸素飽和度が下がるたび家族が慌ててナースコール。しかし医師は「まだ戻る力があります」と説明し、最期の夜まで穏やかに過ごせました。数字より変化の間隔が短くなる点を覚えておくと、慌てず医療者に報告できます。費用や宗教者手配も事前に相談しておくと、医療者との連携がスムーズになります。

⒊呼吸のリズムと“死前喘鳴”(しぜんぜんめい)
終末期に多い“死前喘鳴”は痰が喉に溜まりゴロゴロ鳴る状態。Cさん(84歳)の娘さんは「苦しそうで吸引して」と涙ながらに訴えましたが、当のCさんはほぼ眠っており痛みは感じていませんでした。医師は「聞こえる音と本人の苦痛は別」と説明し、体位交換だけで音が半減。過度な吸引は粘膜を傷つけることもあります。家族は音より表情を見てください。眉間のしわや唇の乾燥が強い時のみケアを依頼するのが本人に優しい選択です。「吸引は必要?」などの判断ポイントも事前相談で具体的に確認しておくと安心です。

⒋意識と会話の変化
突然昔の話ばかりする、深夜に故人の名を呼ぶ──意識の揺らぎは脳への血流低下で起こります。Dさん(90歳)は「明日、父さんに会える」と微笑みました。ご家族は混乱しましたが、看護師は「“会いたい人に会える準備ができた”というサインかもしれません」と声を掛けました。その夜、穏やかに息を引き取りました。突飛な発言があっても否定せず合わせる会話が安心につながります。「そうだね、きっと会えるね」と受け止めるだけで表情が和らぐ場面を何度も見ました。「どこまで延命するか」など価値観の確認は、元気なうちの事前相談がベストタイミングです。

⒌食事・水分・排泄サイン
食事量が半分以下に落ちたあと、ほぼゼリーやとろみ水分に。それでも無理に口に入れると誤嚥リスクが増えます。Eさん(79歳)は最期の3日間、濡れたガーゼで唇を潤すのみでしたが、「口が乾かないから楽」とうなずいていました。排尿回数は1日1回以下、色は濃茶色へ。体が水を必要としない状態なのです。家族は“栄養を取らせないと”と焦りますが、口腔ケアと体位変換こそ快適さを保つ鍵です。事前相談で介護ベッドや吸引器のレンタルを手配しておくと家族の負担が激減します。

⒍家族にできる7つのケア
- 手を握る
- 好きな音楽を流す
- 乾いた口元を濡らす
- クッションで姿勢を楽に
- 香りで不安を和らげる
- 写真・手紙を枕元に
- 医療スタッフへ遠慮なく相談
- Fさん(85歳)は孫のピアノ演奏をスマホで流すと眉が上がり指先が微かに動きました。科学的には聴覚が最期まで残ると言われます。「届いているよ」と声を掛け続けることが、誰にでもできる最大の支えです。
- 事前相談でエンディングプレイリストを作っておくご家族も増えています。

⒎医療・介護チームと連携するコツ
「いつ頃でしょうか?」と家族が尋ねるのは自然なことです。医療者は正確な時間を断言できませんが、変化をメモし共有すると予測精度が上がります。Gさん家族は呼吸停止時間と再開間隔を表にし、看護師と情報共有。結果、看取り直前に全員が集まることができました。
ポイントは
①情報はLINEなど一か所に集約
②“心配”より“観察結果”を伝える
この2点です。事前相談時に連絡網を作っておくと「誰にどの順番で連絡を入れるか」迷わず動けます。

⒏まとめ
ご逝去が近づくと、身体の冷えや呼吸のリズム、意識の揺らぎ、食事量の低下など少しずつサインが表れます。家族がその兆しを感じ取り、そっと寄り添うことでご本人もご家族も穏やかな時間を過ごせます。私たち葬儀社は、看取りを経験された方々と多くであってきました。その気づきをお届けし後悔の少ない見送りを支えることが使命です。**「まだ元気だけど…」と迷う段階での無料事前相談が、安心への最短ルート。**今日お話ししたポイントをご家族で話をしてみてください。
