突然ですが、こんな場面を想像してみてください。
会社の上司から、こう声をかけられたとします。
「このたび、あなたのお父様が死去されまして…」
――どうでしょう?胸がザワッとしませんか?
逆に、ニュースでこう聞いたらどうでしょう。
「○○さんがご逝去されました」
こっちは自然に聞こえますよね。
同じ「亡くなる」という意味なのに、言葉ひとつで温度が変わる。
これ、実は葬儀の現場でもよく起こるんです。
ご遺族に寄り添いたい気持ちで選んだ言葉が、逆に違和感を与えてしまう。
今日はこの「逝去」と「死去」の使い分けを、葬儀社の現場目線で、一生迷わない形に整理します。
目 次
- まず結論:「逝去」と「死去」の決定的な違い
- 使う場面別の正解例:ニュース・会社・お悔やみ
- よくあるNG:失礼になる言い方と自分の身内の伝え方
- 似た言葉も整理:「他界」「永眠」「死亡」「急逝」の使い分け
- まとめ:迷った時の最強ルール
1. まず結論:「逝去」と「死去」の決定的な違い
結論から申し上げます。
逝去=相手への敬意を込めた言葉(敬語)
死去=事実を淡々と伝える言葉(中立・公的)
ここがすべてです。
「逝」という字には、旅立つ・去っていくというニュアンスがあります。
だから直接的な”死”という響きを避けて、相手に配慮した言い方になるんですね。
一方で「死去」は、役所・病院・ニュース・会社の公式文書などで使われる、あくまで事実の表現です。
感情や配慮を乗せない場面で力を発揮する言葉なんです。
私は思うんです。
この2つは「正しい・間違い」じゃなくて、温度の違う道具なんだと。
包丁とハサミみたいなもので、場面が違うのに同じように使うと、どうしてもズレが出てしまいます。
2. 使う場面別の正解例:ニュース・会社・お悔やみ
じゃあ、具体的にどこで何を使うか。
ここを場面で覚えると、一生迷いません。
(A)ニュース・新聞・訃報
ニュースでは、「○○さんが死去しました」「○○さんが逝去しました」どちらも見かけますよね。
ここは媒体の方針もあるんですが、一般的には――
人として敬意を示したい訃報には「逝去」、事実として伝える報道には「死去」が選ばれやすいです。
ただ、視聴者や読者の受け取りは本当に繊細で、特にご遺族の目に入る可能性がある場面では、「逝去」の方が角が立ちにくいです。
(B)会社・ビジネス(取引先への連絡)
取引先や目上の方のご家族の訃報なら、基本はこうです。
「○○様がご逝去されたと伺い…」
「このたびはご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます」
「ご」をつけて「ご逝去」。これは定型として強いです。
逆に、社内の規程や公的な書類、事故報告のように感情を排する文書では――
「○月○日、○○は死去した」
のように「死去」が選ばれます。
ここ、ポイントなんですが、
相手に届く文章=逝去が安全
手続き・記録=死去が多い
この使い分けなんです。
(C)弔問・お悔やみの会話(口頭)
面と向かって言うなら、実は最強はこれです。
「このたびは…お悔やみ申し上げます」
「突然のことで…お力落としのことと存じます」
「お父様のこと、驚きました…」
無理に「逝去」「死去」を口で言わなくても、十分に成立するんですよね。
言葉が硬くなりすぎると、逆に気持ちが伝わらないこともあります。
ただ、どうしても言葉として伝えるなら――
「お父様がご逝去されたと伺いました」
が丁寧で安心です。
3. よくあるNG:失礼になる言い方と自分の身内の伝え方
ここが一番大事です。間違える人が本当に多いポイントなんです。
NG①:相手のご家族に「死去されました」
「死去」は敬語じゃないので、「されました」をつけると、丁寧っぽく見えて実はちぐはぐになります。
耳が良い方ほど、ここに引っかかるんです。
✅ 正解は――
「ご逝去されました」
「亡くなられました」
「他界されました」
など。
NG②:自分の身内に「逝去」を使う
これ、意外とやりがちなんですが、「逝去」は相手を立てる言葉なので、自分側に使うと不自然なんです。
たとえば、社外に伝えるときは――
「父が亡くなりまして」
「父が他界いたしました」
「父が死去いたしました(公的・かたい場面)」
が自然。
「父がご逝去しまして」は、丁寧にしたつもりでもズレてしまいます。
NG③:迷って”専門用語っぽさ”で選ぶ
ここ、危険なんです。
知ってる言葉を使うほど丁寧、というわけではありません。
丁寧さは、相手の心を傷つけない選び方で決まるんだと私は思うんです。
4. 似た言葉も整理:「他界」「永眠」「死亡」「急逝」の使い分け
ここもまとめておくと、文章がグッと楽になります。
- 亡くなる:万能。会話でも文章でもOK
- 他界:丁寧で柔らかい。身内にも使える(他界いたしました)
- 永眠:弔辞やお別れの言葉でよく使う。少し詩的
- 死亡:医療・事故・行政の用語。感情を入れない
- 急逝:急に亡くなった場合。訃報で使う
- 逝去:相手側に敬意を示す訃報表現
- 死去:中立で事実を伝える、公的な表現
ここでミニチェックです。
取引先の会長が亡くなった」――メールで何が安全でしょう?
答えは、ほぼこれ一択です。
「ご逝去」
逆に、「役所に提出する書類」や「死亡届」系は、世界が違うので、「死亡」「死去」が主役になります。
5.まとめ:迷った時の最強ルール
最後に、迷った時のルールを1本にまとめます。
- 相手側の訃報に触れるなら「ご逝去」
- 手続き・記録なら「死去/死亡」
- 会話で迷ったら「亡くなられた」「お悔やみ申し上げます」で逃げてOK
私は思うんです。
こういう言葉は、正確さ以上に、相手の胸に刺さらないことが大事だと。
形より気持ちが大切なんです。

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