ことわざ 坊主丸儲けって本当なの?

「坊主丸儲け」という言葉は、日本語のことわざであり、僧侶が特別な努力をせずに大きな利益を得ることを指します。この表現には、僧侶が布施を受けることで生計を立てているという背景があります。詳しく見ていきましょう。

目次

1. 言葉の由来と背景

2.現代における意味合いと用法

3. お寺が税金を納めないから

4.宗教法人になるには

5.坊主丸儲け

6.まとめ

1. 言葉の由来と背景

1.1 僧侶の役割と布施

日本の伝統的な仏教において、僧侶は宗教的な儀式や教義の伝達を行う役割を担っています。僧侶たちは寺院で修行をし、地域社会に対してさまざまな宗教的サービスを提供します。これに対して、信者や地域の人々は布施という形で僧侶を支援します。

1.2 布施の意味と形態

布施は、僧侶に対して食料や金銭、その他の物資を提供することを指します。布施は仏教の重要な実践であり、信者が徳を積む手段でもあります。僧侶はこの布施によって生活を営みますが、信者が自発的に提供するものであるため、僧侶自身が直接労働を行う必要がない場合もあります。

2. 現代における意味合いと用法

2.1 現代の「坊主丸儲け」

現代において「坊主丸儲け」という表現は、僧侶に限らず、特別な努力をせずに大きな利益を得る状況や人物を指すためにも使われます。例えば、何らかのビジネスチャンスを偶然に掴んで大きな収益を上げることや、他人の労力を利用して自分だけが利益を得るような場合に用いられることがあります。

2.2 批判的なニュアンス

この言葉には、時に批判的なニュアンスが含まれることがあります。特に、正当な努力やリスクを取らずに利益を得ることが倫理的に問題視される場合などに使われることがあります。

3. お寺が税金を納めないから

実際のところ、お寺や僧侶に関する税金の取り扱いは日本の税法で定められています。お寺が税金を納めないわけではなく、宗教法人として特定の税制優遇措置を受けていることがその背景にあります。

1. 宗教法人としての税制優遇

1.1 宗教法人の設立と役割

日本における宗教法人は、「宗教法人法」に基づいて設立されます。宗教法人の主な役割は、宗教活動を通じて社会に貢献することであり、寺院や教会、神社などがこれに該当します。

1.2 非営利活動と課税

宗教法人が行う宗教活動や慈善活動に対しては、基本的に非課税とされています。これは、宗教法人が営利を目的としない公益性の高い活動を行っているためです。具体的には、以下のような活動が該当します:

  • 礼拝や儀式の開催
  • 教義の伝達
  • 社会福祉活動

2. 課税対象となる活動

2.1 営利活動と課税

宗教法人であっても、営利目的の活動を行った場合は課税対象となります。例えば、お寺が経営する宿坊や駐車場、宗教とは関係のない物品販売などの収益事業から得た収益には課税されます。これらの収益事業に対しては、通常の法人税や消費税が課せられます。

2.2 僧侶の個人所得

僧侶個人が得る収入についても、税金がかかります。僧侶が儀式や法要などのサービスを提供して得る謝礼や報酬は、個人の所得とみなされ、所得税の対象となります。

2.3個人の家計と宗教法人の会計

宗教法人は、役職員に対する給与、報酬、退職金又は講演料等について、源泉徴収で所得税を預かり納付する義務があります。個人で宗教法人から給与等を受け取っているので、給与についても、所定の所得税を源泉徴収して、他の役職員の給与に対する源泉徴収額と併せて納付しなければなりません。宗教法人が宗教活動だけを行っている限り税金の話は無関係というのは誤解です。

3. 宗教法人の財務透明性

3.1 財務報告の義務

宗教法人は、財務状況を適切に管理し、定期的に報告する義務があります。これは、宗教法人が税制優遇を受けていることから、その公益性と財務の透明性を確保するためです。具体的には、財務諸表や収支報告書の作成・提出が求められます。

3.2 監査の実施

宗教法人の規模に応じて、外部監査を受けることが義務付けられる場合もあります。これにより、財務の不正や不透明な運営を防ぐ仕組みが整えられています。

4. 宗教法人になるには

我が国には、宗教法人が全国で約 18 万弱存在しています。地域の神社、寺院、教会のようなものから全国的な組織を持つ教派、 宗派、教団のようなものまで、大小さまざまです。これらの宗教法人は、すべて 宗教法人法に基づいて法人となっています。 宗教法人法は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用 し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営するためです。

  • 責任役員制度

宗教法人には、必ず3人以上の責任役員(うち1人は代表役員)を置き、規則に 別段の定めがなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決します。

  • 広告制度

宗教法人が重要な行為(合併、解散、財産処分等)をしようとするときには、信 者その他の利害関係人に公告することが義務づけられています。

  • 宗教団体である

宗教団体は教義を人々にひろめる活動をしていなければなりません。

宗教活動の一環として、日頃から儀式行事が行われていなければなりません。

その宗教の教義・信条によって信者を導く活動が行われていなければなりません。

公開性を有する礼拝の施設がなければなりません。

  • 登記制度

宗教法人は、所轄庁から規則の認証を受けて、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局で登記することによって成立します。

5. 坊主丸儲け

宗教法人は、公益事業を行うことができます。その目的に反しない限り、公益事業以外の事業も行うことができます。収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は 当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければなりません。

事例1 墓地利用権と墓石を販売し多大な収益を得る。宗教法人は、自らが墓地経営の主体であることを十分に認識して事業に着手することが重要です。他人任せの霊園事業の「名義貸し」は禁止されている行為です。甘言に誘われての事業への安易な参加により多額の負債を抱え込み宗教法人の破産につながることもあります。

事例2 境内地いっぱいに貸ビルを建設しビルの屋上に神社を移してしまう。事業規模が本来の宗教活動に比べて過大である等により、 収益事業を行うことが主たる目的となり、宗教法人の本来の目的を欠くこととなるようなことは許されません。宗教法人が事業を行う場合、その事業は宗教法人にふさわしいものとし、あくまで社会から誤解を招くことのないよう留意しなければなりません。

6.まとめ

「坊主丸儲け」という言葉は、努力やリスクを取らずに利益を得ることが批判される文脈で使われることが多いです。宗教法人はお布施、奉納金、会費、献金、賽銭、寄附金、雑収入等は宗教活動や慈善活動のため非課税になります。しかし、宗教法人がその役員や職員などに支払う報酬、給与、退職金などについては課税の対象となります.

今回は坊主丸儲けって本当なのかについて説明いたしました。

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