人の体は死後、どのように変化していくのか?腐敗 死臭

どうして私たちの身体は、生きている間は腐らないのに、亡くなると急速に腐敗してしまうのでしょうか?その理由とご遺体がどのように変化・腐敗していくのか?ご紹介していきましょう。

この内容はセンシティブな部分を含みますので、苦手な方は、お控えいただければと思います

目次

体の変化 死亡前から死亡時

人間は生物であるため、必ずいつか死亡します。
では、もしご遺体がそのまま放置されたら具体的にどのように変化して、腐敗していくのでしょうか?
また、自分が亡くなった時に、身体がグジュグジュに崩壊した状態で腐って発見されるのは、誰しも避けたいと思うのではないでしょうか?
そんな死に方をするなんて想像するだけでも嫌だと思いませんか?
そんなことにならないように、事前に知識を持っておくことは非常に重要だと思います。

本日は時間の経過とともに、人体はどのように変化するのか?その過程を詳しく説明していきます。
最初に起こる現象、亡くなってから72時間(約3日)以内に、ご遺体に起こる変化を時系列に案内していきましょう。

1.死亡前から死亡時:顔から血の気が引き 血圧や体温が下がり始めます

死が近づくと、顔から血の気が引いていきます。これは心臓のポンプ機能が低下し全身への血液供給が減少するためです。その結果、肌の色が青白くなります。

さらに、血圧が低下し体温も徐々に下がり始め、まだ亡くなっていないのに触ると冷たくなっていくのが分かります。

死亡から2時間まで:死後硬直が始まり死斑が見えてきます

体の中では生きているときには起こらない、化学反応が起こります。

関節が動かなくなって筋肉が硬直します。この現象を死後硬直といいます。 初めに硬直する部分は顎関節(あごかんせつ)です。ご遺体の多くは口が開いているケースが多いので、口が開いていたら、枕を少し高くして丸めたタオルを顎の下に挟むと、顎部の死後硬直を促し、口が閉じた状態を維持しやすくなります。

ご遺体の死に装束への着替えや、胸の上で手を組むなどの死後慣習や入れ歯の復元、あるいは顔が横を向いた状態の時は、顔を正面に向けたり、膝を曲げている状態の時は膝を延ばすなど、死の直後にやらないとそのまま固まってしまいます。

 それから順番に身体中の筋肉が硬直し始め、8時間ほど経つと、手足の先まで硬直します。死後半日から1日の間に硬直のピークを迎え、その後は徐々に解け始め、約3日ほどで少しずつ緩んできます。

死斑は心臓が停止すると血液の循環も止まり、血液の循環が止まると血液は重力に従い身体の低位置へ移動します。顔が蒼白に見えるようになるのは顔にある毛細血管の血液が身体の低位置へと移動するからです。そして、低位置へと移動した血液が体の表面から見えるようになったものを、死斑と呼びます。

仰向けに寝ている人は、背中やお尻の部分に見られます。死後1~2時間から薄く斑点状に生じはじめ、死後10~15時間で一様に、全部同じ様子の着色になります体格の良い人ほど死斑は濃くなります。

死亡から約20時間まで:死後硬直が更に強度になり 死斑が一様になります

死後10時間程度までは血液が凝固しないため、死斑も流動的になりますが、その後20時間程度までで固定されます。

死亡から約24時間(1日以内)で:皮膚が乾燥します。

腐敗現象(匂いの発生)

死亡から約48時間・約2日目から死後硬直が弛緩(しかん)、ゆるみ始めると同時に腐敗臭現象が始まります。臭いが発生します。

死亡から約72時間で、腐敗ガスによって体が膨張し、目や口から出血をします。

最初に腐敗していく部位は胃や腸の消化器系です。本来は食べた物を消化する胃液等が、死亡後は自分の胃や腸そのものを溶かしてしていきます。生きている時には起こらないので、想像すると怖い現象です。

その際に体内で発生するのが腐敗ガスです。このガスが血流の止まった血管内を進み、身体中の脂肪に反応し青色に変色させます。死亡して数時間はお腹に留まっていますが圧が高まると、口の中や肛門から漏れ出します。

その後、全身の皮下の汗腺から匂いが発生し、こうなると全身から強い腐敗臭を放ち出し、そばに近づくのも困難な状態になります。

ハエと ウジ虫の発生

更におぞましい話をしなくてはいけないのですが、腐敗した死体には、ハエやウジ虫などが大量に発生します。

ご遺体が腐敗を始めると腐敗ガスや体液の臭いに寄せられて、どんなに清潔な場所でもハエが僅かな隙間から侵入してきます。そのハエがご遺体に卵を産み付けることで卵が数時間で孵(ふか)してウジ虫になります。産卵~孵化(ふか)~成長を繰り返します。

1回の産卵で100個以上の卵を産み付けることができるため、1日も経たないうちに眼球、鼻、口から、身体中にウジが湧き出すのです。孵った(かえった)大量のウジムシや、ゴキブリ、ハサミムシなどが屍肉をついばみます。こうして遺体はやがて骨となっていきます。

以前、孤独死された方のご遺体を警察が引き取りに行く際、私たちの社員が同行しました。その時の光景は、まさに地獄絵図のようだったと彼は言います。ご遺体から大量の白いウジ虫が這い出し、元気よく動き回っている様子は、恐ろしくも驚くべきものだった。ウジ虫がご遺体の隙間に出たり隠れたりしながら活発に活動しているのを目の当たりにして、彼はその場の凄まじさを痛感したと言っていました。

更に、腐敗したご遺体は、表皮がとても傷つきやすくなり、わずかに触れただけでも簡単に皮膚がはがれ落ちてしまいます。はがれた部分からは体液が漏れ出します。また、腐敗が進むと体内で発生したガスによって膨張し、ご遺体の鼻と口から血液が噴き出すことがあります。

時々、ご遺族の方から、亡くなったお母様のお顔をメイクして差し上げたいという希望を伺います。生前のお顔の皮膚とは違うので、万が一、皮膚が剥がれてしまう可能性もあります。また血液や体液などに接触すると、感染のリスクが高まるので葬儀社スタッフに確認しないでメイクされるのは控えていただきたいと思います。プロの納棺師によるメイクも生前の時の眠っているかのように再生いたしますので、ぜひご検討をオススメいたします。

孤独死のように誰にも見つからずに放置された状態で発見され、故人の住居が賃貸物件ですと、長い間放置された遺体からは、体液が溢れ出ていることがほとんどです。その体液が壁や床等に染み込んでしまうと、色が移るだけではなく臭いまで移ってしまいます。

体液もまた腐るので、染み込んだ壁や床などの臭いは凄まじく、洗剤等で洗っただけで綺麗になることはないでしょう。場合によっては、その部屋を明け渡した後も、人が住める環境ではなくなるかもしれません。マンションや団地などの集合住宅の場合、遺体が放置されていた時間が長いと下の階にまで、体液などが浸出する可能性があります。そうなると、階下の部屋までリフォームしないといけなくなります。特殊清掃や修復が必要になります。修復に200万円以上かかる場合もあるそうです。気をつけましょう。

本日のまとめ

今日は少しセンシティブな話題、死後の身体の変化と腐敗のメカニズムについて説明しました。

人間の体は、死後しばらく経つと徐々に腐敗していきます。そのまま放置されと、体内に腐敗ガスがたまり、体が膨れ上がります。最終的には、周囲に強烈な臭いが広がることになります。そのため腐敗を抑制することはとても重要になります。

この知識があることで、私たちは死後の身体の変化を理解し、生命の尊厳を再認識することができます。また、より冷静に、そして敬意を持って死を受け入れることができれば幸いです。




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