親が亡くなった直後に絶対やってはいけないこと7選|後悔しないための完全ガイド

親が亡くなった直後、何をすべきかを調べる方は多いでしょう。しかし「やってはいけないこと」を事前に知っている人は、実はほとんどいません。

知らなかったために数百万円の損失を被ったり、兄弟間で取り返しのつかないトラブルが起きたり、最悪の場合には刑事罰を受けるケースも実際に存在します。

今回は、遺族が陥りがちな7つのNG行動と、その理由・対処法を詳しく解説します。


NG① 銀行口座からお金を勝手に引き出す

なぜNGなのか

亡くなった親の銀行口座は、銀行が死亡の事実を知った時点で凍結されます。問題は凍結前に引き出した場合です。

相続財産は亡くなった瞬間から「全相続人の共有財産」になります。一人が勝手に引き出すことは、他の相続人の権利侵害に当たります。

さらに、相続財産を「処分」したと見なされると単純承認(法定単純承認)が成立し、相続放棄が一切できなくなります。

親に多額の借金があった場合、引き出した金額がわずかでも、その後一切の相続放棄ができなくなるのです。

正しい対応

遺産分割前の相続預金の払戻し制度(2019年7月施行)を利用する。

各相続人は、遺産分割前でも、相続預金の一定額(口座残高の3分の1×法定相続分)を単独で払い戻しできる。

葬儀費用など急を要する場合は、銀行窓口に相談の上、この制度の活用を検討してください。


NG② 年金の受給停止手続きをしない

なぜNGなのか

これは多くの人が見落とす盲点であり、かつ最も深刻なリスクの一つです。

年金受給者が亡くなった場合、遺族は以下の期限内に届出をする義務があります。

年金の種類 手続き期限
厚生年金 死亡後10日以内
国民年金 死亡後14日以内

手続きを怠り、死亡後も年金を受け取り続けると不正受給となります。

国民年金法第111条により、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があり、過払い分は全額返還しなければなりません。

正しい対応

親が亡くなったら、早急に最寄りの年金事務所または年金相談センターに「受給権者死亡届」を提出する。マイナンバーが登録済みの場合、届出が省略できるケースもあります。

また、亡くなった月分の年金(未支給年金)は遺族が請求できる場合があります。あわせて確認しましょう。


NG③ 遺言書を勝手に開封する

なぜNGなのか

「親の遺言書を見つけた」という状況で、つい中身を確認したくなるのは自然な気持ちです。しかし、封印されている遺言書を勝手に開封することは法律違反です。

民法第1004条第3項では、封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ開封することができないと定められています。

違反した場合、5万円以下の過料(行政罰)が科せられます。また、遺言書の信頼性・有効性についての疑義が生じ、他の相続人との紛争リスクが高まります。

正しい対応

遺言書(特に自筆証書遺言)を発見した場合は、開封せずに家庭裁判所へ連絡し、検認の申立てを行う。

なお、公証役場で作成した公正証書遺言は検認不要です。


NG④ 遺産を相続人の一人が勝手に処分・売却する

なぜNGなのか

「自分が長男(長女)として管理する権利がある」という思い込みから、実家を売却したり、親の貴重品・車・骨董品を処分してしまうケースがあります。

これは他の相続人の権利を侵害する行為です。

相続財産は全員の共有財産であり、処分には原則として相続人全員の合意が必要です(民法第251条)。

また、財産を処分した相続人は「単純承認した」と見なされ、相続放棄の選択肢を失います。

正しい対応

遺産に関するあらゆる処分・売却は、遺産分割協議書の作成後に実施する。緊急性がある場合も、必ず相続人全員の同意を書面で確認してから動く。


NG⑤ 相続放棄の3ヶ月の期限を見逃す

なぜNGなのか

「うちの親は借金をするような人ではない」——しかし実際には、連帯保証人になっていた、消費者金融から借入があった、というケースは少なくありません。

相続放棄ができる期間は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」(民法第915条)。

この期間(熟慮期間)を過ぎると、原則として相続放棄は認められず、プラスの財産もマイナスの財産(借金)もすべて引き継ぐことになります。

正しい対応

  • 亡くなったらすぐ、財産・負債の全体像の把握を始める
  • 借金の有無は信用情報機関(CIC・JICC)への照会で確認できる
  • 3ヶ月以内に結論が出ない場合は、家庭裁判所に熟慮期間の延長申請ができる

NG⑥ 死亡届・行政手続きを後回しにする

なぜNGなのか

悲しみの中で、役所の手続きは後回しにしたいという気持ちは理解できます。しかし、以下の手続きには法律で定められた期限があります。

手続き 提出先 期限
死亡届 市区町村役場 死亡を知った日から7日以内
火葬許可申請 市区町村役場 死亡届と同時に申請
世帯主変更届 市区町村役場 死亡後14日以内
国民健康保険 資格喪失届 市区町村役場 死亡後14日以内
社会保険(被扶養者)資格喪失 勤務先経由 死亡後5日以内
厚生年金 受給停止 年金事務所 死亡後10日以内
国民年金 受給停止 市区町村役場 死亡後14日以内

死亡届を出さなければ火葬許可証が発行されず、火葬そのものができません。最優先で対応してください。

正しい対応

死亡診断書を受け取ったら、コピーを複数枚取っておく(各種手続きで何度も必要になるため)。


NG⑦ 感情的になって相続人同士で揉める・専門家に相談しない

なぜNGなのか

家庭裁判所が扱う遺産分割調停は、年間約1万5000件(令和6年度:15,379件、最高裁判所司法統計より)。

そのうち約76%が相続財産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。

「うちはそんなことにはならない」と思っている家族ほど、突然揉めることがあります。親が亡くなった直後の感情が高ぶった状態で遺産分割の話し合いを始めることが、最大の火種になります。

また、相続税の申告期限は死亡を知った翌日から10ヶ月以内。専門家への相談が遅れると、この期限に間に合わなくなるケースもあります。

正しい対応

  • 感情が落ち着くまで遺産分割の話し合いを急がない
  • 弁護士・税理士・司法書士など専門家に早めに相談する
  • 相続税申告が必要かどうかも、早い段階で確認する

7つのNGまとめ

# やってはいけないこと 主なリスク
1 銀行口座から勝手に引き出す 相続放棄不可・横領リスク
2 年金受給停止をしない 懲役3年以下・罰金100万円以下
3 遺言書を勝手に開封する 過料5万円以下・紛争リスク
4 遺産を勝手に処分・売却する 他の相続人との民事トラブル
5 相続放棄の3ヶ月期限を見逃す 借金を含む全財産の引き継ぎ
6 死亡届などを後回しにする 火葬不可・法定期限違反
7 感情的に揉める・専門家に相談しない 遺産分割の長期化・相続税申告漏れ

親の死は、突然訪れます。

大切な人を亡くしたショックの中でも、時間的な期限が迫っている手続きが複数あります。

今回ご紹介した7つのNG行動を避けるだけで、後から起こりうる金銭的・法的・人間関係上のトラブルを大幅に減らすことができます。

「まだ先の話」と思わず、ぜひ今日のうちに家族と共有しておいてください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況によって対応が異なります。具体的なご相談は弁護士・税理士・司法書士等の専門家にお問い合わせください。

最終更新:2026年6月

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