「家族葬って、やっぱり安いんでしょ?」
──よく聞かれる、この質問。
たしかに、家族だけで、こぢんまりと行うぶん
トータルの金額は安く抑えられそう…って、そんなイメージ、ありますよね
でも…それ、もしかしたら“勘違い・・・かもしれません。

「え?家族葬が安いから増えてるんじゃないの?」
「それなのに高くなるって……どういうこと?」
そう感じた方も、きっと多いはずです。でも実際、現場ではこんな声が よく聞こえてきます。
「家族葬にしたのに、思った以上に 手出しが増えて 結構な自己負担金額になった…」
そう、“思わぬ出費”に戸惑うご遺族が、いらっしゃいます。じゃあ、なぜそんなことが起きるのか?
今回は、
「家族葬=安くて安心」というイメージの裏にある 費用のカラクリと、知らないと損するリアルな実態を 事例を交えてお伝えします。あとになって──こんな手出しが増えるなら 最初から、一般葬にすればよかった…とならないよう、知らないが故に 損させないためにも そして、後悔しないためにも ぜひ最後までご覧ください。

比較してみると 見えてくる 金額の カラクリ
- 鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)によると、一般葬の葬儀費用は平均で約161.3万円、家族葬の費用は平均で約105.7万円と、一般葬と比較して家族葬の総トータルの金額は、50万円以上安く抑えられる傾向があります。
- この費用の内訳は、葬儀一式費用、飲食接待費、返礼品代などによって構成されているとのことです。
次に、会葬にこられた方が包んで くる お香典、一人あたりの平均金額は だいたい7000円ぐらいと云われています。
細かく言うと、関東圏・特に東京では、香典の相場は親族で1万円〜10万円、友人・会社関係で3,000円〜1万円程度。夫婦や会社、ご近所など連盟の場合もあるので、全体の平均では1人あたりでは、約7,000円前後と云われています。
費用のカラクリを数字で暴いていくと、ここでは、参列者の数を
- 一般葬は100人
- 家族葬は10人
と仮定して計算していきます。

🔳まず、一般葬のAさんの場合。
参列者100人 × 平均香典額7,000円=70万円の香典収入になります。
🔳一方、家族葬のBさん。
参列者10人 × 7,000円=7万円の香典収入。
つまり、香典収入の差額はなんと63万円!(一般葬70万ー家族葬7万=63万円)
「え、そんなに違うの!?」と思った方もいるかもしれません。さらに最初にご案内した鎌倉新書の調査によると、葬儀の費用そのものは、家族葬のほうが50万円くらい安くなるというデータをもとに、この香典収入金額の差額、63万円と、家族葬の“安さ”50万円を引き算してみると…
63万ー50万=13万円 一般葬のほうが13万円「お金が残る」という計算になるんです。

家族葬=安い、の落とし穴・・・
つまりこういうことです。
いくら葬儀の総額が安くても、香典という「入ってくるお金」が少なければ、結果的に“自己負担が増える”ことになります。
これ、昔から業界では当たり前に知られていたことなんですが、実は 最近の「家族葬ブーム」で忘れられがちなんです。
少人数で静かに送れるメリットがある一方で、香典収入が見込めない分、実は負担。手出しが重くなることがあるんです・・・。
これが、家族葬の“数字の裏側”なんです。
一般葬・家族葬 どっちが正解なの?
こんなケースがありました。あるご家庭では、お父様が亡くなり、息子さんは遠方に住んでいて、お母様はひとり実家に残ることになりました。
このとき、家族だけでひっそりとお見送りを済ませようと思えば、家族葬で済ませる選択肢もあります。
でも、その後どうなるか?
お母様はまだ元気、でも一人暮らしが始まる。すると、葬儀が終わった後から、ご近所の方が次々に香典を持って来られる。
「ご挨拶できなかったから…」「お世話になったし…」と。
そのたびに対応するお母様の気持ちや負担は、決して軽くありません。
中には、「あのときちゃんと顔を見てお別れしたかった」と感じる方もいたかもしれません。
こう考えてみてはどうでしょう?
最初から、一般葬で地域の方にも来ていただいて、しっかりお別れの時間を持つ。その場で、
「お世話になりました。これからも、母をよろしくお願いします。」
と地域に頭を下げて、つながりを持ってもらう。

これって、“お葬式=終わり”じゃなく、“新しい日々のスタート”として考えるという、ちょっと先のことも見据えた、とても前向きな考え方だと 私は思うのです。
本日のまとめ
このご質問、本当によくいただきます。
家族葬にするか、一般葬にするか・・・?どうやって決めたらいいのか?葬儀の費用として、時には家族葬のほうが、手出し金額が多くなることすらあります。
数字や相場、費用の安い高いだけでは、決めきれない・・・じゃあ、どこで決めるのか?
それは、あなた自身の「考え方」や「生き方」・・・だと私は思うのです。
大切なのは、「自分たちにとって一番、意味のあるかたちであること」
たとえ香典が多く入っても、気疲れしてしまえば意味がないし、 逆に家族葬で静かに送れても、あとあと人間関係にしこりが残るようでは、苦しくなるかもしれません。
だからこそ、総トータルの「金額」ではなく、「意味」や これからの人生も踏まえた「納得感」で考えるという視点も、大事にしてほしいと思います。
