警察から弊社へ検視が終わったから、ご遺体のお迎えをするようにと連絡が入りました。これは、交通事故死体・飛び降り・水死・自殺・火災などで亡くなった場合に警察で行われるものです。刑事ドラマでもあまり描かれない、この現実の裏側を覗いていきましょう。
あなたは、自分が亡くなったときのことを想像したことがありますか? 多くの人は 自宅や病院でベッドや布団の上で横になり、安らかに眠るように亡くなる姿を思い浮かべてはいませんか?周りには家族が集まり、家族に見守られながら、そんな最期を考えるかもしれません。
でも実はそれは幸せな最期であり、そのような最期だけではありません。
今回、刑事ドラマでもあまりクローズアップされない、普段ほとんど表に出ることのない日陰の仕事 「検視」が必要なケースはどのような状況で亡くなって、どのような損傷のご遺体なのか? お話ししていきましょう。
1. 検死とは?
殆どのケースでは病気などで入院していて症状が悪化し、約8割の人がそのまま病院で亡くなり、 医師による診察の上、問題がなければ「死亡診断書」が作成されます。
死亡診断書が交付されれば、遺体を引き取ったり、葬儀を行ったりすることができ、特に 死亡の原因や遺体の状況などを、細かく調べることはないので、検死は必要はありません。
しかし、検死が必要となるケースは、外出先・自宅 ・施設等でお亡くなりになり、かかりつけ医が居ない、または連絡が取れない場合には、検死の手続きが必要になります。また検死を行った場合は、医師が発行する死亡診断書ではなく、警察署から「死体検案書」が発行されます。
検死とは法律用語ではないため定義が曖昧な部分も多いですが、ご遺体や周囲の状況などを捜査して事件性がないかを判断し、死因を究明するために解剖などを行う一連の流れのことを「検死」といいます。
つまり「検視」「検案」「解剖」の手続きをひとまとめにした総称が『検死』ということになります。
2. 検死が必要になるケースとは?
・自殺
・病死または自然死の判断がつかない場合
・指定された感染症や中毒で死亡した場合
・事故で死亡した場合
・災害で死亡した場合
・事件性(犯罪性)が疑われる場合
・診察によって異常・不審点が確認された場合
・治療中ではなかった病気による突然死
・医療事故が疑われる場合
・独居などで身元が不明な方の場合
等で、例えば
孤独死の現場で見つかった、蛆(ウジ)が体中にたかっている腐乱死体。火事の後、見つかった黒焦げで匂いが強い焼死体。肉片散乱の車に引かれた轢死(レキシ)や、お風呂に入っている時に亡くなり、長時間茹でられ、体がよく煮込んだブヨブヨのシチュー肉のように膨らんだご遺体。首が取れそうになっている首吊り死体。 飛び降り、水死、等です。
ここで2つの注意ポイント!
1つ目:掛かりつけ医がいない、または 連絡取れない場合、まず警察に連絡をします。その場合、ご遺体には極力触れず、警察の到着を待つようにしてください。
2つ目:検視は拒否できるか?結論から言いますと、拒否できません。検視は刑事訴訟法229条によって必要性が認められているものです。そのため、基本的には拒否することはできません。また、発見時の状況や故人の過去の病歴などについて、警察から事情聴取を求められたり、指紋の採取に協力しなければならないこともあります。その場合は、できるだけ正確な情報を答えられるよう、落ち着いて臨みましょう。
誰が検死を行うのか?
検察官や認定を受けた警察官により検視を行います。検視は、検察官やその代理人が医師の立ち合いのもと遺体を検査して、身元や犯罪性の有無などを確認する手続きです。
4. 損傷のヒドイご遺体
電車への飛び込みの場合、件数にしてみればほぼ毎日。日本中のどこかで起きている電車の人身事故。きっと損傷の激しさはグチャグチャで、原型をとどめていないのでは?と想像したりしますが、皆さんは想像したことありますか?
身体がぐちゃぐちゃに散乱しているイメージがありませんか?しかし、実際はそれはあまりないとのことです。なぜならば車輪と線路は非常に鋭利な金属で出来ていて、想像するだけで怖いですが、実際はバツンと体が切られる・切断される、、と表現したほうが近いとのこです。車体と線路の間に挟まって 大腿部または胴体をばっさり切断され 噴水のように大量の血が噴き出たり、あるいは飛ばされて切れ、切れた体が普通にポーンと飛んで行くのではなく、回転しながら飛んでいき、遠心力で腕が切れたり、体がちぎれたりするのです。
そんなちぎれた腕にぶつかっても大怪我します。以前、電車にはね飛ばされた男性の遺体がホームにいた女性を直撃し、ケガをさせたという事故が東京でありました。そして体がレールに着地した場合はもう空中で電車と衝突ではなくなるので、体はミキサーのように60数回、切り刻まれ、電車の底の突起物によって、全ての衣服と皮膚を引き裂かれ、真っ赤な肉片としてレール周辺に散乱します。
検死となり、事件性がない場合での検死でかかる所要期間は、半日~数日程度になります。
事件性がある場合は 所要期間:数日間~1カ月以上となります。
特に身元不明の方のご遺体の場合は、DNA鑑定が必要になり、DNA鑑定には約10日前後、地域によっては1ヶ月ほど期間を要する場合があります。このようにご遺体の状況によって、検死にかかる期間はかなり幅があります。
本日のまとめ
警察から弊社へ 検視が終わったから ご遺体のお迎えをするようにと連絡が入り、覚悟を決めて非透過性の黒いビニール納体袋を用意し、お迎えに上がります。警察の係の人が「事故死でちょっと酷いから」と私どもに囁きます。損傷の激しいご遺体をそのままご遺族に見せることはしません。見ると必ず衝撃を受けます。その後の衝撃は計り知れません。ですから警察も崩れたご遺体と対面するのを全力で止めます。それでも、ひと目だけでも見ると言い張り、そしてそのあと、衝撃を受けて何もできなくなってしまう方が多いです。
綺麗な姿、生前の頃の記憶で送り出させたいと私たちは思います。その一方で、どんな姿にせよ最期の姿を見てお別れをしたいというご遺族の気持ちのはざまで悩みます。
黒いビニール袋の脳体袋に入った塊に向き合うのではなく、出来るならお顔とお身体を、なんとか体の一部だけでもお見せしてお別れさせてあげられないだろうかと、ぎりぎりまで可能性を探るのですが、どうしても無理な場合も現実にはあります。世界でたった一つだけの自分の宝物は 自分の体・命です。お金を出しても買えず、ゲームのように生き返ることもありません。
この動画がご自身の命を大切にする きっかけになれば幸いです。