葬儀社に教えてもらう!献体について4つのポイント

自分が亡くなった後のことを考えた時、
「どうせ亡くなったら何も残らないし」などと思うことはありませんか?

ご自身が亡くなったあとに、自らの身体で後世の医学に役割を果たす『献体』があります。

今回は、葬儀社が知る『献体』についてのお話をご紹介いたします。

もくじ
  1. 解剖の種類
  2. 献体の歴史
  3. 献体の申込方法
  4. 献体と臓器移植の違い

1.解剖の種類

葬儀社で働いていると、ゼクという単語がよく耳に入ってきます。ゼクとは解剖のことをさし、正常解剖病理解剖法医解剖3つに分類されます。病理解剖や法医解剖の時にゼクという単語が耳に入ってきます。

1-1 正常解剖

正常解剖とは献体された人体の構造を学習・研究するために行われます。

献体された人体を解剖することを正常解剖と呼びます。

献体とは本人の意志により死後その遺体を研究用に無償で提供することなので、正常解剖は医学生や研究医により行われます。

その目的により正常解剖は大学で行われ、大学病院とお付き合いのある葬儀社がサポートすることになります。

正常解剖である献体について、献体の申込の仕方や、献体の流れについて後ほどお話しします。

1-2 病理解剖

病理解剖は病死の原因を突き止めるために行われます。

病理解剖は病院で行われるので、病院とお付き合いのある葬儀社がサポートすることになります。

病理解剖は病理医と呼ばれる病理学の臨床医が行います。

1-3 法医解剖

法医解剖は司法解剖、行政解剖とも言われ、変死の原因を調べるために行われます。
人気ドラマ「監察医 朝顔」で放映されたのは、こちらにあたります。

法医解剖は監察医務院や警察と協力している病院で行われます。警察とお付き合いのある葬儀社がサポートします。

法医解剖は法医学医を専門としている大学の法医学医や監察医、警察医が行います。

それぞれ解剖の目的が異なるため、管轄、解剖を行う人が異なります。

2. 献体の歴史

2-1 解剖の始まり

献体の始まりは杉田玄白の1774年に出版された解体新書では、と考える方も多いと思います。解体新書はオランダ語の解剖書「ターヘル・アナトミア」を翻訳されたものです。

日本で初めて解剖が行われたのは、1754年に山脇東洋が、京都所司代に願書を出したことから、京都の六角獄舎で行われました。東洋は、解剖に立ち会い、観察した結果を「蔵志」という本にして発行しました。

その後、杉田玄白が町奉行所に解剖をしたいという願書を提出。1771年3月、その奉行所から「明日、千住 の小塚原の刑場で腑分け(解剖)を行うから、立ち会いたいなら来なさい」という連絡を受ける。玄白は、同僚の中川淳庵と前野良沢を誘い、死刑になった罪人の死体解剖に立ち会い、内臓や骨格を「ターヘル・アナトミア」と見くらべ、その本の解剖図が正確なことを知り解体新書につながっていきます。

日本では処刑された罪人の遺体しか解剖しておらず、献体という考えはまだありませんでした。

2-2 日本の献体第一号

日本の献体第一号は1869>年(明治2年)8月34歳で死亡したミキさん。
自分の遺体を解剖してほしいと遺言し、東京府、政府の許可を得て医学校でおこなわれました。

翌1870年に刑死体あるいは引取人のない獄死体を医学研究の為解剖を希望する申請を行い政府に許可されました。

1912年に明治天皇が崩御し、その大喪の日に乃木希典将軍と静子夫人は自宅で殉死しました。遺言条々第10には『私の死体の事は石黒男爵にお願いします。医学校へ寄付してください。墓には死体の代わりに毛髪、爪歯義歯を入れれば十分です。このことは静子も承知しています。』と記されていました。

2-3 白菊会の発足

その後、1951年に医学の恩恵を受け一命をとりとめた倉屋利助さんが東京大学の解剖研究室に赴いた際に、医学教育が欧米に比べて圧倒的に献体数が少なく、医学教育が困難になっている現状を知り自らの遺体を提供すること約束。

1955年に逝去され、その遺言には、『葬式するな 息を引き取ると同時に東大解剖学教室に知らせ、通夜の翌朝直ちに遺体引き取りをお願いすること』と記され、長男倉屋利一さんと藤田恒太郎教授により、白菊会が発足しました。

3. 献体の申込方法

3-1 献体の申込

献体を希望する場合は、白菊会に申し込むことになります。白菊会は医科、歯科のある大学になります。大学によっては白菊会という名称でない場合もあります(本文では、白菊会でご紹介)。学習や研究が目的ですから大学病院ではありません。申込みを希望される場合は大学の白菊会に連絡してください。献体は事前に登録が必要です。さらに登録証は身につけておくことも大切です。

3-2 献体の流れ

献体登録後、死亡したら白菊会に連絡します。
葬儀の日程を伝え、出棺時間に合わせてお迎えに来てもらいます。
その後、正常解剖され、火葬後にご遺骨となり1年から3年後に返還されます。

献体登録された方は知っておきましょう。献体登録しても献体できない場合もあります。

・遺族の中に反対する人がいる場合

・臓器を提供した場合

・大学から遠く離れた場所で亡くなった場合

・病理解剖や法医解剖になった場合

・遺体の損傷が激しい場合

・葬儀の際エンバーミングを施した場合、感染症に罹患した場合

4.献体と臓器移植の違い

4-1 献体と献眼や献腎との違い

献体と、献眼や献腎とは違うのか。献眼や献腎は病気や事故で移植しないと直らない人に移植をすることなので、目的が全く違います。移植するものは、眼の他に、心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸などがあります。献眼と献体を同時に希望するのは難しいようです。日本臓器移植ネットワークによると国内で臓器移植を待っている方は15,660人でそのうち移植を受けられる方は、わずか2%。国内での移植の見込みが立たないために、アメリカやドイツに渡航される方も少なくないようです。

脳死下で臓器提供できるのは、心臓、肺、肝臓、腎臓、すい臓、小腸、眼球です。
心臓が停止した後に臓器提供できるのが、腎臓、膵臓、眼球です。部位が非常に少なくなります。

4-2 臓器提供を希望する場合

臓器提供には意思表示が必要です。健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードの意思表示欄に記入したり、インターネットで登録することも出きます。カードには「臓器を提供しません」とも意思表示できるようになっています。臓器移植は善意による臓器提供が無ければ、この医療は成り立ちません。さらに家族の承諾があって始めて行われます。

移植希望者も登録が必要です。移植希望者の場合は新規登録用が3万円かかります。さらに入院、移植の手術になると、入院費、移植手術費、臓器搬送費、摘出医師派遣費、コーディネート経費等必要になります。生活保護世帯や住民税非課税世帯は免除申請することで免除される費用があります。

意思表示で臓器提供を希望していても臓器提供ができない場合があります。
遺族の中に反対する方がいる場合、がんや全身性の感染症で亡くなった場合、病気になると臓器提供はできなくなることがあります。

また健康な人からの生体移植は、親族6親等以内の血族と、3親等以内の姻族に限定されています。

まとめ

献体は医学の学習、研究で医療の発展につながります。臓器移植は病気が治らない移植希望者にとっては切実な問題です。どちらも比較できない大変尊いご遺志により支えられています。検討してみてはいかがでしょうか。

いざというとき困らないように、葬儀全般についてのお問い合わせは多摩中央葬祭 森の風ホールへお問い合わせください。24時間365日専門スタッフがお客様のサポートをさせていただきます。介護に関するお問い合わせは、地域包括支援センターへ連絡してください。献体に関するお問い合わせは日本篤志献体協会へ連絡してください。臓器移植に関するお問い合わせは日本臓器移植ネットワークに連絡してください。

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