忌引き休暇は、親族の不幸というやむを得ない状況に備えた休暇制度で、制度がある会社の従業員は誰もが使う事ができます。ただし、使用できるのは忌引きの場合のみで、有給休暇のように自由に使うことはできません。
もし、嘘をついて忌引き休暇を使ってしまったことがわかった場合には様々な罰則があるため、今後のキャリアに大きな影響が出てしまう可能性があります。
そこで今回は、嘘をついて忌引き休暇を取得した場合の法律上の罰則や、忌引き休暇の取得時に必要な証明書等についてご紹介します。忌引き休暇を取得する際の参考にしてください。
また、このほか忌引にまつわる記事「忌引とは?マナーや挨拶について紹介」「忌引き休暇の数え方や規則とは?」も併せてご覧ください。実際に葬儀に参列した場合には「通夜振る舞いの気をつけるべきマナーとは?食事マナーや断り方について」もご参考にしてください。
忌引き休暇の嘘がバレたときの罰則とは?
「実は身内が亡くなりまして」と、存命の身内の名前を出して嘘をついて忌引き休暇を取った場合、バレるかバレないかは職場によって異なります。証明書が必要な会社の場合、「会葬礼状」や「葬儀証明書」などの証明書の提示を求められることがあります。
もし、証明書の提出が必要なければ、嘘をついてしまってもバレないという可能性もあるでしょう。しかし、嘘は遅かれ早かれバレるものです。同僚との何気ない会話で不審に思われてしまうリスクもありますし、忌引き休暇の取得が多ければ上司に問われることもあるでしょう。
実際にあった例では、仙台市の職員が2008年からの約5年間の間に12回もの忌引き休暇を不正取得をして問題になりました。この場合、該当の職員は懲戒免職になってしまい職を失ったそうです。
どのような理由であれ、忌引き休暇の不正取得をしてしまうと、トラブルになるリスクは高まるでしょう。
会葬礼状がないときの忌引き証明とは?
忌引き休暇を取得する際に、よく会社から求められる証明書としてあげられるのが「会葬礼状」です。
会葬礼状とは、通夜や葬儀に参列をした参加者に渡されるお礼状です。会葬礼状は文書形式で作成する令状のため、ハガキや封書などで渡されます。
下記が一般的な記載内容です。
- 冒頭…個人の名前
- 中盤…会葬参列者へのお礼の文章
- 中盤…通夜や葬儀の日時
- 締め…喪主の住所と名前
なお、通夜や葬儀を総称して「会葬」と呼ぶため、どこから参列をしても会葬礼状の形式は同じものです。必ず参列者への宛名が記載されているので、会社に提出をする際は、宛名が書かれた封筒も提出すると良いでしょう。
葬儀証明書とは?
葬儀証明書とは、葬儀社が発行する葬儀があったことを証明する書類です。一般的には葬儀社から葬儀後に渡されるもので、以下のような内容が記載されています。
- 葬儀の日時
- 葬儀を行った場所
- 故人の名前
- 喪主の名前
- 「葬儀をしました」という一文
- 葬儀施行証明書の発行日
- 葬儀を行った葬儀社の住所と社名
前述した「会葬礼状」は葬儀前に渡される書類なので、忌引き休暇取得申請時に求められる事が多いですが、「葬儀証明書」は忌引き休暇明けの出勤時に提出することが一般的です。
そのため、万が一嘘をついて忌引き休暇をした場合、休暇明けに急に葬儀証明書の提出を求められると焦って取り返しのつかないことになるでしょう。
葬儀証明書を作成する際の注意点とは?
忌引き休暇を取得する場合、基本的には会葬礼状を提出すれば問題ありません。しかし、家族葬などで会葬礼状がない場合は葬儀証明書が必要です。葬儀証明書は、葬儀を行った葬儀社で発行してくれるため、葬儀後は必ず発行依頼をしましょう。
なお、葬儀証明書を使用する際にはいくつかの注意点があるため、以下をふまえた上で発行依頼をしてください。
法的な効力はない
死亡診断書などと違って、葬儀証明書に法的な効力はありません。そのため、生命保険金の請求などに使用することはできませんのでご注意ください。
火葬のみでも発行対象
葬儀証明書が発行される条件は、葬儀の形態に応じて変わることはありません。家族葬や社葬、火葬のみの場合でも発行対象になります。
原本を取得しておいた方が良い
忌引き休暇の取得申請で葬儀証明書を提出する場合、原本を求められる事が一般的です。基本的には葬儀証明書の最後に葬儀社の社名が記載されていますが、不正利用を防ぐために、どの会社でも社印の押印があります。これがないと葬儀証明書として認めないという会社も多いため、もちろんコピーもNGとしています。
まとめ
忌引き休暇は、会社員や公務員ならほとんどが利用できる休暇制度ですが、会葬礼状や葬儀証明書等の提出を求められることもあり、万が一不正利用をしてしまえば解雇される理由になり得ます。このため、どのような理由があっても嘘をついて忌引き休暇を取得するのはやめましょう。