【喪主の挨拶】 日本全国 どこでも使える 格式ある 喪主の挨拶

前回の記事では、「いま変わってきた“最新の喪主の挨拶”」についてお話ししました。するとコメント欄に、こんな声が寄せられたんです。「でも、昔ながらの“きちんとした”挨拶も知りたいです。」

――そうですよね。
たとえ時代が変わっても、“伝統的で格式ある言葉”には、やはり心を打つ力があります。そこで今回は、どんな葬儀にも安心して使える――
**「上級者の喪主挨拶」**を、シチュエーション別に 分かりやすく解説していきます。

古き良き日本の言葉づかいと、心のこもった伝え方。そして実は、近年“少しだけ新しく”なっている部分もあるんです。伝統と現代のバランス、その両方をしっかり押さえれば この記事を見終わる頃には、もう「挨拶で迷う」ことはありません。

喪主というのは、故人をお見送りする 葬儀全体の “まとめ役”です。葬儀社と何度も打ち合わせを重ねながら、準備や手配、進行、そして弔問客への対応まで、すべてを滞りなく進める、大切な責任を担います。

私たち多摩中央葬祭でも、お客様 お一人 おひとりの ペースに合わせ、 丁寧に打ち合わせを重ねています。そして、【喪主の挨拶】も事前に一緒に考え、言葉に迷わないよう しっかりサポートしています。

それは 悔いのないお葬式を迎えていただくためにです。そして、喪主の挨拶では どんなに立派な式でも、最後の言葉ひとつで、その場の空気は変わります。

喪主が挨拶をする主な場面は、この3つです。

**「通夜」・「告別式」・「精進落とし」**の シチュエーションです。この3つの場面さえしっかり押さえておけば、もう挨拶で悩むことはありません。

それぞれの場面には、伝えるべき“想い”と“マナー”があり、少しずつ言葉の選び方も変わってきます。

つまり――この3つをマスターすれば、どんな葬儀でも、堂々と、心を込めて挨拶ができるようになります。見終わるころには、きっと、“自信を持って語れる喪主の言葉”が身につくことを お約束します。

目次

通夜の挨拶 出番を迎える

通夜 お経と お焼香が終わり、 僧侶が静かに退席。葬儀社スタッフの「これをもちまして、通夜の儀を終了いたします。」という声が響きます。

その言葉とともに、会場の空気が一段と静まり、喪主の挨拶が始まります。喪主 あなたの出番が 訪れます。まず最初に これ やってしまう方 非常に多いので 気をつけてください。

挨拶しなくては、、という緊張感から 慌てて席から立ち、立ち位置まで 早歩きで進む方、多いです。やめましょう。 

喪主は、席から ゆっくりと 立ち上がり姿勢を正し、背筋を伸ばし、遺影写真の前へゆっくりと進み、祭壇に向かって 深く一礼

続いて、参列者の方々の方へ 体を向け、“感謝”の気持ちを込めて ゆっくりと、深く 一礼、頭を下げます。品格を生むマナーです。

そして、静かに頭を上げ、背筋を伸ばし、参列者側の正面を見据えます。体はまっすぐ、両手は体の前で軽く重ねます。(男性は腹の前、女性は下腹部あたり。)

視線は、会場全体を包み込むように。特定の誰かを見るのではなく 皆さまに語りかけるように。声のトーンは静かに、ゆっくりと。一語一語に 重みを乗せて話します。早口や棒読みは絶対 禁物です。

通夜の挨拶例文

「本日はご多忙のところ、故〇〇の通夜にご参列いただき、誠にありがとうございます。生前中は ひとかたならぬ ご厚誼(ごこうぎ)を賜り、家族を代表して、心より御礼申し上げます。おかげをもちまして 無事に通夜の儀を終えることができました。故人も、皆さまに お集まりいただき、きっと感謝していることと思います。このあと、ささやかではございますが、通夜ぶるまいの席をご用意いたしました。お時間の許す限り、どうぞ故人の思い出などを お聞かせいただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました」

と伝え、参列者に向かって一礼 2秒、静止。その後、ゆっくりと頭をあげ 遺影に向き直り、小さく一礼を捧げます。最後に着席。 司会者の合図で 通夜ぶるまいの案内に移ります。

告別の挨拶 挨拶開始までの姿勢

葬儀の中でも、最も厳かで、最も心に残る瞬間、それが「告別式の喪主挨拶」です。先ほどの通夜の翌日に行うのが告別式です。

お読経が終わり、僧侶が合掌し 静かに退席。火葬場へと向かう その直前の 故人が霊柩車にお乗りになる・出棺する前の挨拶です。 

 司会者がゆっくりと告げます。「これより、喪主 ◯◯様よりご挨拶をいただきます。」焦らずに――。喪主は 椅子を引く音も立てず、一拍おいてから 立つことで式全体に“静かな締まり”が生まれます。

背筋を伸ばし、深く息をはいてから 祭壇・遺影へ向かって、深く一礼。 続いて、今度は 体をゆっくりと参列者側へ向け、 もう一度、深く一礼。

 頭を上げたあと、静かに会場を見渡します。視線は、会場中央から少し奥――目の高さより、わずかに上。特定の誰かを見つめるのではなく、「会場全体に語りかける」ように。

両手は 体の前で軽く重ね、動かさずに。声は落ち着いたトーンで、“ゆっくり、静かに、一語一語を届ける”感じです

原稿を見ながらで構いません。ただし 要所で 顔を上げ、参列者へ目を向けると印象が格段に上がります。会葬者の視線が 一気に 喪主であるアナタへと集まります。

 ここからが、葬儀全体を締めくくる 最後の挨拶となります。

告別の挨拶 例文

「本日は、ご多忙のところ、故〇〇の葬儀・告別式にご参列賜り、誠にありがとうございます。生前は、皆さまより格別のご厚情を賜りましたこと、故人に代わりまして、心より御礼申し上げます。おかげをもちまして、滞りなく葬儀を終えることができました。これもひとえに、皆さまの温かいお力添えの賜物(たまもの)と、深く感謝いたしております。

本日 お別れに際し、あらためて故人が、どれほど多くの方に支えられ、生かされてきたのかを痛感いたしました。家族一同、この ご縁を胸に刻み、故人の教えを忘れず、日々努めてまいります。

どうか今後とも変わらぬお付き合いを賜りますよう、お願い申し上げます。本日は、誠にありがとうございました。」

一呼吸置いて、参列者へ深く一礼。そして「これで全て終えました」という報告の意を込めて ゆっくりと体を棺・遺影の方へ向け、 ゆっくりと小さく一礼をします。

精進落としの挨拶

葬儀、告別式、火葬、そして収骨――。すべての儀式が終わり、そんな“別れの時間のあと”に開かれる、感謝と労い(ねぎらい)の食事の席、【精進落とし】です。

この ひとときは、喪主にとっても、 “悲しみから感謝へ”と心を整える、大切な場面です。そして、葬儀という緊張から解き放たれ、皆で故人を偲びながら語らう、区切りの時間でもあります。

喪主の挨拶は、献杯の挨拶の前に行うのが正式です。この献杯の挨拶の 詳しい作法については、別動画で解説しています。

 よく回っています。「上級な大人の献杯を知りたい方」は、ぜひご覧ください。

司会から 「それでは、喪主 ◯◯様よりご挨拶を頂戴いたします。」とアナウンス。静かに、ゆっくりと立ち上がります。

まずは遺影・位牌に向かって、一礼。 静止して想いを込めます。続いて、参列者の方々に体を向け、深く一礼。

喪主 ゆっくりと、穏やかに

「本日はご多忙のところ、故〇〇の葬儀・告別式、さらに火葬・収骨に至るまで ご参列を賜り、誠にありがとうございました。おかげをもちまして、滞りなくすべての儀を終えることができました。

これもひとえに、皆さま方の 温かいご厚情とお力添えの賜物と、心より厚く御礼申し上げます。本来であれば、一人 ひとりに直接お礼を申し上げるべきところではございますが、このような場をお借りして、略儀ながらご挨拶をさせていただきます。

故人は、生前、多くの方々に支えられ、見守られながら最期まで穏やかに過ごすことができました。家族一同、深く感謝申し上げます。

本日お集まりいただいた皆さまには、これまでの ご厚誼に 心から御礼申し上げるとともに、今後とも変わらぬお付き合いを賜りますよう、お願い申し上げます。

ささやかではございますが、このあと精進落としの席をご用意いたしました。どうぞ故人の思い出を語らいながら、 お時間の許す限り ごゆっくり お過ごしいただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました。」

再び参列者に一礼 → 遺影に向かって小さく一礼 → 静かに着席。精進落としの挨拶は、“お別れの最後の言葉”でありながら、同時に、“これからを生きる人たちへの言葉”だと私は思うのです。

悲しみを抱えながらも、感謝の言葉を穏やかに伝える その姿こそが――故人への最大の供養なのだと私は思います。

一礼に、想いを。

 一言(ひとこと)に、心を。。。です

その所作 一つ ひとつが、故人と皆さまを結ぶ「最後の絆」に なります。私たち多摩中央葬祭では、喪主の方が安心してこの瞬間を迎えられるよう、一つ ひとつの言葉を一緒に考え、支えていきます。悔いのないお別れのために――心を込めた言葉で、想いを届けるために…。

SNSへのシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!