損傷の激しいご遺体 水死・溺死 起こる状況と命を落とすまで

この記事にはセンシティブな内容が含まれています。苦手な方はお控えください。

損傷の激しいご遺体で、水死・溺死があります。人間が水に溺れる際に、どのように水に沈んでいき、どこで命が終わるのか?

また 水死・溺死のご遺体は、俗に 土左衛門(ドザエモン)や 巨人様(きょじんさま)と云われていますが、ご家族は対面できるのでしょうか?

毎年のように報道される、悲しい水難事故のニュースは 後を絶ちません。その中には『どうして そんな危険な行動を?』というような、状況を疑うような水難事故も起きています。なぜこんな悲しい水の事故が起こるのか?

誰も水の事故で命を落とさないように 、もし水に溺れてしまったら、私たちの体は一体どうなるのか?溺死するまでの状況と、また、水死・ 溺死のご遺体はどのような状態になるのか?そして、家族は対面できるのか?

溺死を防ぐためにはどうしたらいいか?重要な対策を解説していきます。

目次

水死のご遺体『土左衛門』『巨人様』とは?

最初に、厚生労働省の人口動態統計によると、令和3年(2021年)の不慮の溺死・溺水による死亡者数は、8,677人。

溺れる原因は、海や川、プールで遊びに来ていて、冷たい水の中、例えば 足を怪我していた・・・極度に酔った状況で泳いでしてしまった・・・離岸流に流されてしまったなど原因は様々です。

①水死・溺死のご遺体は、土左衛門とか巨人様と云われます。損傷の激しいご遺体ですが、ご遺族から、最期のお別れの際に「顔を見たい」とおっしゃる方も多いですが・・・

結論から言いますと、溺死・水死したご遺体との対面は、避けた方がいいです。

何故かというと、遺体が水中で放置されると、体内の細菌によってガスが発生し、ご遺体が(お顔も)膨張します。土左衛門、巨人様と云われるように、膨らみます。体内の状況によっては、身体の色が紫色や白く変色していたり、水流などによっては水中の石などにぶつかり、遺体に傷がついてしまっている場合もあります。

水の中の死体は腐敗すると、まず顔から腐敗が始まり、死後2、3日ほどから角膜が濁り、死後2週間ほどで、手足の皮膚が剥がれ落ちはじめます。死後2、3週間ほどで頭の髪の毛が自然に抜け落ち、死後1ヶ月ほどで頭蓋骨が一部露出します。皮膚に水苔や藻がついて繁殖した死体もあります。

故に、溺死・水死したご遺体との対面は、避けた方がいいです。

見たことによって大きなショックを受けたり、トラウマが残ってしまう可能性もあります。それでも、どうしても最後に見たいというご遺族もいらっしゃいます。お気持ちは分かりますが、警察や私ども葬儀社スタッフも、全力で止めたことがありますが、現在はご遺体の状況によっては、納棺師による修復技術が大変進んでおり、私どもは、ご家族ができるだけお顔を見てご対面いただけるよう、最大限の努力を尽くし、対面が可能なケースも増えてきました。

溺れたら どうなる・・・?

もし水に溺れてしまったら、私たちの体は、どのようなメカニズムで命を落としていくのか?

 ニュースでよく見るのが夏になると、川での魚とりや海での釣りの最中に流されて命を落とすというニュースが多く報道 されます。水難事故のほとんどが一人ではなく、仲間と複数人で遊びに来ており、すぐ近くに他の人がいる状況で発生 しています。

TVドラマなどでは、溺れている人は、水しぶきを起こすほど腕を大きく 振り回し、 助けを求めて叫んでいるような状況を見た方も多いと思います。

 しかし実際は、本当に溺れている人は腕を振ったり、叫んだり、助けを求めることが出来ないのです。 

では溺れると一体、体は どのようになるのでしょうか?

 溺れている人は、酸素を求めて口が水面より上にくるように、水面を腕で押したり、水中で足をキックしたりして 上に行こうともがきます。水面より口が上に上がると息を吸えます。口が水面より上にある僅かな時間で呼吸を行う必要があります。体は水中に引き込まれ口が水面より下、水中にあるときは呼吸することができなくなる状態を繰り返します。この状態は60秒が限界と云われています。

この状態になると、自力で 助かることはほぼ不可能となります。

そんな、もがいている状態で、呼吸が満足にできない状態で、助けを呼ぶための声を出したり、腕を振ることもできないのです。

つまり、人は音も立てず、静かに溺れていくのです。 

聞いたこともある方、いらっしゃると思いますが、本当に溺れている人は、周りから見ても溺れているようには見えなかったと言われるのも分かります。

恐怖の急死に一生を得た溺れ体験談(弊社スタッフ)

弊社スタッフの21才の時、海で溺れた、急死に一生を得た生々しい体験談をお話します。夏休み、友人と4人で大きな浮き輪に腕をかけ、海でユラユラしていたら、突然後ろ沖の方から、大きな波が4人の頭にぶち当ってきた感じだったというのです、3人が浮き輪から放り出され、各々バラバラになり、体がぐるぐると、でんぐり返し回転しながら、水中深く深くと海の力で連れて行かれたというのです。息を止め、まるで縦回転する洗濯機の中に放り込まれたかのような感覚だったそうです。

抵抗どころか、その時は身を預けることしか出来ず、深くなればなるほどドンドン真っ暗になり、その洗濯機回転が弱まると、必死で手で水をかき、足でキックし、水面めがけて上がり、ようやっと水面が見えて顔を出し、大きく息を吸うと、また後方から大きな波が来て、体は水中深く、でんぐり返し回転をさせられながら、連れて行かれるという連続だったとのこと。4回目に水面に上がれた時、ビーチがはるか1キロ先に見え、とてもビーチまで泳いで戻れないな・・このまま体力が尽きた時に死ぬんだな、、と死を覚悟し、私が死んだらお母さんが悲しむだろうな、、、と一瞬よぎったそうです。その後、直ぐに運よく、地元のサーファーが近くで波乗りしていて、異変にきづき、遊んでいるかと思ったが、まさかこんな沖でと思い パドリングしながら見にきてくれて、サーフィンボードにしがみついてビーチまで溺れた3人全員が戻れたとのこと。ビキニの胸の部分は、外れて無かったとのことだそうですが、助かって本当に良かったです。 

水死で 日本だけの特徴とは?

溺死でもう1つ、日本ならではの特徴があります

実は、海や川の水難事故による溺死人数よりも、家の中で溺死する人の方が多いのです。これは日本特有の特徴です。特に高齢者の浴槽内での不慮の溺死・溺水は、5,097人で、これは川や海などの水難事故死より多く、交通事故死亡者数2,150人のおよそ2倍とういう数字の発表があります。お子さんの水遊びも注意が必要です。

溺れたら、どのようなメカニズムで命を落とす?

次に、溺れた人間は、どのようなメカニズムで、命を落としていくのか? 

体力が尽きたあなたは、水の底へ沈みます。水の中で呼吸ができないことは自分自身でよくわかっていて、どんなに苦しくても水中では息を止めていますが、これも長くは持ちません。

呼吸が止まると、血液中の二酸化炭素濃度が上昇し、酸素濃度が低下し、今までに体験したことがないほどの頭痛を感じる可能性があります。もう死にそう、息を吸ってみたら、もしかしたら助かるかもしれない。 いや呼吸をするべきだ・・・と自分の意思とは無関係に、人間は本能的に大きく息を吸い込んでしまうのです。

でも実際は 口の中に水が入り、水が肺に入らないよう反射的に咽喉(いんこう)が閉じ、呼吸をしたにもかかわらず、全く酸素が取れずに意識を失っていきます。 そうすると、咽喉が再び開き水が容赦なく肺の中に入ってきて、通常肺胞の中には肺サーファクタントという界面活性剤が分泌されており、これが呼吸の際に肺胞を広げる役割をしますが、水が浸入したことにより、肺サーファクタントが潰れて、命をつなぐために必須である酸素を体中にいきわたらすことが出来なくなります。酸素が届かなくなった臓器、脳や肝臓など、生命維持に必要な臓器もすぐに死を迎え始め、あなたの心臓は、どうにかして体に酸素を送り届けようと、心拍数を200回に到達するくらい必死に脈動を続けるが、いくら血液を送っても肺の中には酸素がなく、ついには心臓に酸素が届かないため、心拍数も遅くなり、やがて完全に停止します。呼吸も心拍も停止し、やがて死を迎えることになるのです。

まとめ

世界中で溺死してしまう人は後を絶ちません。このような恐怖を、大切な人に体験させないよう、子供が水遊びするときは必ず大人がしっかり見ていることや、ライフジャケットを着せたり、バーベキューなどで、お酒を飲んで泳ぐことがないように徹底するなど対策を取り、最悪、溺れてしまった際にはパニックにならないよう冷静になり「浮いて待つ」ことができれば、助かる確率が高くなることを知っておいていただければと思います。

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