喪失感の意味とは?辛い死別を克服し立ち直る方法

大切な人との辛い死別は、あなたの心を喪失感いっぱいにしているかもしれません。しかし差し伸べる手のあることにも気づいてください。

辛い死別を体験した方に、その喪失の体験との向き合い方、克服し立ち直る方法をお伝えしたいと思います。

目次

喪失感とは

何かを失った時に感じる気持ちを喪失感といいます。大切な人を失った事によって起こる苦しい心の状態や反応は悲嘆といいます。

現在では、悲嘆はグリーフと呼び、死別した人との心のケアをグリーフケアとも呼びます。

喪失による悲嘆の反応

喪失による反応には、悲嘆のプロセスが存在します。最初に、死の事実を受け入れられない「ショックと否認」の状態となる強い感情が起こります。

それから静かに考え込んだり、思い出を振り返ったりしながら、この段階を行ったり来たりします。一般的には、数ヶ月かけて死別を受け入れられるようになります。

悲嘆反応のプロセスの12段階

悲嘆のプロセスには以下のような状態があります。死を受け入れるには人それぞれの経過があります。(アルフォンス・デーケン 悲嘆のプロセス12段階)

ショック

大切な人の死に直面し、頭が真っ白になるような衝撃を受ける

否認

大切な人の死を認めることができず否定する。突然死では顕著に現れる

怒り

なんとかならなかったのか、など、死に至った原因に対して怒りを感じる

敵意や恨み

周囲の人や故人にやり場のない感情を敵意にしてぶつける

罪悪感・後悔

もっと大切にしてあげればよかった、生きているうちにこうしてあげればよかったなど、過去の行いを悔やみ、自分を攻める。うつ症状や、ひきこもり、自殺の危険もある

幻想や空想を形成する

故人をまだ生きているものを思い込む、実生活でもそのようにふるまう

孤独感・抑うつ

葬儀などがひと段落し、さみしくなるなど、涙がとまらない、やる気がなくなる

精神的混乱

生活の目標がわからなくなる。何も関心がなくなる

受容・あきらめ

つらい現実を受け止め、向き合おうとする

新しい希望やユーモアを思い出す

こわばっていた表情がやわらかくなりほほえみが戻る

立ち直りの段階と新しいアイデンティティの誕生

悲嘆のプロセスを経て、立ち直る時

喪失感を超えて死を受け入れるには

喪失を体験し、悲嘆のプロセスを経て死を受け入れていくその段階で、どのように過ごすことが死を乗り越えるために必要なのでしょうか。

悲しみに向き合うことと生活に取り組むこと

悲しみがわいてくるのは、仕方のないことです。その気持を否定しないことです。その悲しい気持ちがあることを認めることから始めてください。その気持を認めることが助けになっていきます。

思い出の写真を見たり、誰かと語ったり、お墓参りに行くことも大切なことです。一緒に忘れないでほしいのは、大切な方のいなくなった現実で、悲しい気持ちを抱えながらも、生活に取り組むことです。

日々の生活のなかで悲しい気持ちは時々横に置いてみて、自分の楽しめることや、新しくできることをほんの少しずつでもいいので始めていきましょう。時には誰かに助けてもらいましょう。

そうやって悲しんだり、新しいことやできることに関わるうちに悲嘆のプロセスは進んでいき、いつの日か死を受容できる日がやってきます。しかし決してあせらずに。

死別の喪失感が起こす身体的反応

悲嘆がなかなか治らない状態を複雑性悲嘆(ふくざつせいひたん)や遷延性悲嘆(せんえんせいひたん)といいます。

日本での調査研究では、死別を経験した約2.4%がこのような状態になってしまうと報告しています。

葬儀をしてもう何年も経っているのに、葬儀のときと変わらない悲しみがあったり、故人への思いがとても強くて生活にも支障がでている、といった場合にはその可能性があると考えられます。

これはうつや自殺念慮など心に影響を及ぼすほか、高血圧になったり、心臓病を患ったりなどの身体的影響を及ぼすこともあるため、適切な支援が必要とされています。

・故人に向ける思いが強すぎる

・死に対する感情が強すぎる

・死に対する感情が麻痺している

・死に対する感情を避けたい思いが強い

など、これらにより社会生活や仕事に支障をきたしている、文化的に許容される悲嘆の範囲を超えてるなどが通常の悲嘆の範囲を超えているとしています。

現在、複雑性悲嘆(遷延性悲嘆)は持続性複雑死別障害(じぞくせいふくざつしべつしょうがい)や遷延性悲嘆障害(せんえんせいひたんしょうがい)という診断名がつけられ、精神障害のひとつに含められるようになりました。

もし、あなたが自分にもあてはまると思ったら、受診して診てもらいましょう。また、自宅から動けないほどの抑うつ感に苛まれていたら、電話やネット相談で外に助けを求めることもできます。ひとりで抱え込まないようにしましょう。

喪失感をカウンセリングで軽くする

明治大学大学院教授の富士見ユキオ先生は、「大切な人やペットの死は、誰にとっても危機であり危険である」と言っています。

しかし「自分の人生を真摯(しんし)に振り返って、生き直す機会でもあるし、好機である」とも。

あなたの直面している喪失はつらい経験ですが、それを乗り越えることは価値のあることだと教えてくれています。

この立ち直りの作業はひとりきりでなくても構いません。誰かと分かち合ってもらい、助けてもらうことも時には必要でしょう。

先生のプロフェッショナル・サイコセラピー研究所(IPP)では、大切な人や愛するペットの死による喪失の痛みにフォーカスしたカウンセリングを行っています。

こういった施設を利用して、死の痛みを一緒に負担してもらうのも、必要なことかもしれません。

「弊社(IPP)では、大切な人や愛するペットの死による、喪失の痛みにフォーカスしたカウンセリングを行っています。それを喪の哀悼の仕事、といいます」と言っています。

喪の哀悼の仕事とはどんなことなのでしょうか。

喪の哀悼の仕事とは

①喪失の現実と向き合うこと

②喪失をちゃんと悲嘆すること

③喪失を受け入れ心から哀悼すること

④現実と再び向き合い、地に足の着いた自分らしい人生を、新たに生き始めること

「私たちは、あなたにとっての重要な人やペットとの死別を、あなたと亡くなった人やペットとの絆が心の中で強くなるように。その事により、今後のあなたの人生の質が深まり、磨かれ、豊穣となるためのお手伝いをします。あなたの心に寄り添う心理カウンセリング・サービスを提供しています」 明治大学大学院 教授 富士見ユキオ先生より

プロフェッショナル・サイコセラピー研究所(IPP)https://ipp.tokyo/

まとめ

喪失とは何かたいせつなものをなくすことで、喪失感は何かを失った時に感じる気持ちのことをいいます。死別して悲しい気持ちになることは悲嘆といい、グリーフと呼ばれます。

大切な人やペットを失って感じる喪失感は、大きなものでしょう。悲嘆の12のプロセスがあるように、喪失感を克服する過程は単純ではありません。

悲しみに向き合うことと生活に取り組むことが大切です。この過程を行ったり来たりしながら、悲嘆のプロセスが進み、死を受け入れることができるようになり、喪失感を克服していきます。

悲しみが強く死の思いから逃れられないとそれは病的な反応といえるかもしれません。その時は治療をする気持ちで受診も考えましょう。

大切なのはひとりで抱え込まないこと。聞いてもらいたいと思ったら話せる人を探しましょう。死別の辛さを理解して、話を聞いてくれる死別後の心のケアをしてくれる専門家もいることを知っていてください。多摩中央葬祭の各ホールでも何かあればお声掛けください。

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