忘れられない女性 忘れられないお葬式(スタッフの体験談より)

大切な人との時間は、永遠ではない。だからこそ、一瞬一瞬を大切に生きてほしいと 心から思います。 本日は 新人スタッフが 胸を詰まらせ 本当にあった 忘れられない人・・・のお話ししていきます。

これは、弊社の入社2年目のスタッフAさんの忘れられない人・・・の実体験のご紹介です。40代、未経験から葬祭業の世界へ飛び込んだ一人の女性です。

目次

新人Aの 忘れられない人・忘れられない お葬式

 家庭では一人娘を育てながら、最初は慣れない仕事に奮闘する毎日でした。葬儀のいろは・・も分からず緊張の連続だったようです。でも、少しずつ仕事を覚え、2年も経つと ご遺族へそっと寄り添う言葉をかけられるようになり 

「あなたがいてくれて よかった」そんな風に感謝の言葉をいただけるようになり、毎日が学びの連続でしたが、自分の存在が誰かの支えになっていると感じられるようになってきて、やり甲斐もでてきた頃の話しです。

ある日、スタッフAは 生涯 “忘れられない人”と忘れられないご家族と出会うことになるのです。それは、彼女の葬祭業の仕事観を大きく揺さぶる出会いだったと言っても過言ではありません。スタッフAの仕事は 朝 霊安室で ドライアイスの交換することから始まります。

彼女は決まって毎朝 霊安室に入りお棺に向かい、そっと手を合わせ、一礼し、故人さまに 『おはようございます』とお声がけしながら、慎重に 棺の蓋をあけて、新しいドライアイスへの交換を行いながら、ご遺体の状態を確認するのです。

葬儀社の仕事において、ご遺体の変化を見るのは決して珍しいことではなく、例えば 時間が経つにつれ、お顔の肌の色が紫色や黒い色に変わることもあります。時には、口や鼻、目から 血が出ることもあるので お手当が必要になるときもあるのです。

でも、この日 スタッフAは、棺の蓋を開けた瞬間、思わず息をのんだそうです。いつもなら、そういうことは なく仕事として、淡々と進めることが できるはずなのにでも、そのご遺体は……

「驚くほど美しかった」というのです。

ほとんどのご遺体は ご高齢の方々が多いものです。しかし、この日は違いました。棺の中に横たわっていたのは、まだ若い女性。スタッフAは 20代後半にも見えるほど、透き通るような肌で、まるで、眠っているかのような凛としたたたずまい、お顔もすこし微笑んでいるような感じで、まるで、眠っているかのようで亡くなっているとは思えない。

まるで・・・「白雪姫のような」その美しさに 言葉を失ったというのです。 冷たいドライアイスをそっと置くことさえ、ためらってしまったというのです。

実際 その女性は、30代前半の女性。ご主人と6歳と4歳の小さな男の子、2人の母親でした。特に大きな病気もなく、毎日元気に子どもたちと過ごしていた。

 しかし、ある日、突然、心筋梗塞で日中倒れ、家族のもとへ、もう帰ることはなくなってしまったというのです。昨日まで、きっと何気ない日常があったはずです。「また明日ね」と微笑み、家族と過ごしていたはずなのに・・・

人生は、こんなにも儚く、突然 奪われてしまうのか・・・スタッフAは、この仕事を始めてから何度も「死」と向き合ってきましたが、この日の出来事は今でも鮮明に思い出すというのです。

亡くなった女性は、最期の瞬間、どんな思いだったのだろう・・・まだ幼い2人の息子を残して、この世を去らなければならない無念さ・・・

どれほど心残りだっただろう・・・愛しい我が子の成長を見守ることも、抱きしめることも、声をかけることもできない。

 「もっと一緒にいたかった」

「この手で、もう一度だけ 抱きしめてあげたかった」

 そう思わずには いられなかったはず、、、最期の瞬間、彼女はどんなに子供・家族のことを思っていたのだろうか?・・・「この子たちは大丈夫だろうか?」

「ママがいなくなっても、笑顔で強く生きていってくれるだろうか?」

どんなに手を伸ばしたくても、もう届かない現実。残していくことへの悲しみと、愛する家族を想う気持ちが、どれほど入り混じっていたことか・・・とAは思いを馳せてしまったと・・・

実はAさんもまた、一人の母として、胸が締めつけられ、もし自分が同じ立場だったら、娘を残していかなければならないとしたら・・・と想像するだけで、涙がこぼれそうになったというのです。

亡くなった女性の ご主人の苦しみ・痛み

亡くなった女性の ご主人は、あまりにも突然の出来事に、現実を受け入れることができない様子でした。顔面蒼 まさに、その言葉がぴったりでした。

 力なく立ち尽くし、どこか焦点の合わない目、混乱の中で、何度も、同じ質問を繰り返されました。「すみません……何度も同じことを聞いてしまって… 集合時間は、何時でしたでしょうか?」

震える声。戸惑いと、張り詰めた空気。頭では理解しようとしているのに、心がついていかない・・・そんな、ご主人の苦しみが、痛いほど伝わってきました。

私は、一つひとつ丁寧に、落ち着いた声でお伝えしました。少しでも、ご主人の気持ちが和らぐように・・・ほんのわずかでも、不安が和らぐように・・・と心の中で思いながら

ご主人の母親が、亡くなったお嫁さんに会いに(ご面会)

まだ若々しく見えるお母様。

 60代前半ほどのその姿には、深い悲しみと、言葉にできない苦悩が滲ん(にじん)でいました。

「今、夫が近くの小学校の校庭で孫たちを遊ばせています。私と交代で、あとで夫も面会にきます。」

愛する息子が 最愛の妻を突然失い・・・そして、その息子たち(孫たち)もまた、大切な母を失い・・・それが どれほど残酷なことか・・・

棺の前に立ち、静かに目を伏せ しばらくの沈黙のあと、ふと私に視線を向け、かすかに震える声で話し始めました。

「まだ 子どもたちには、お母さんが亡くなったことを伝えられていないんです…どのように言ったらいいのか?分からないです」

その一言が、Aさんの胸に鋭く突き刺さりました。もし自分だったら・・・

 大切な家族を失った悲しみに加え、まして その事実を、幼い孫たちに伝えなければならないとしたら・・・想像するだけで、胸が張り裂けそうになりました。まして子供たちに亡くなっていることを伝えない、または嘘をつき、直に戻ってくるよなど子供達に期待させるわけにもいかなし・・・スタッフAはどんな風に、どんな言葉で伝えれば正解なのか?自問自答をしたが、いい答えが見つからなかったと言っていました。

なんとか励ましたい。けれど、励ますことが、できない。ご遺族を見ていて ご遺族の深い悲しみを前に「こうすればいい」とか、軽々しく「大丈夫ですよ」 「時間が解決してくれます」なんて言えるはずもない・・・励ましたい。支えになりたいと思うが、いい言葉・いい言い方が出てこなかったそうです。

そして、むしろ励ましが この瞬間、本当に必要なことなのだろうか……?自問自答し、今でも自分の対応が合っていたのか?時々 考えてしまうと話していました。こういう時は こうすべきという正解のない葬祭業の大変なところでもあり、遣り甲斐と感じるところでもあります。

そしてスタッフAがとった行動は ただ、ただ お母様の隣で 深く頷きながら、お母様の想いを全身で受け止めることしかできなかったそうです。言葉ではなく、同じ想いを感じる空間を一緒に共有すること。何も言えない。何も言わない。ただ静かに頷いて、ただ、一緒にそこにいた。

寄り添うとは、言葉をかけることではなく、「同じ想いを感じる空間を共有すること」なのだと・・・。その時、スタッフAは ご遺族の悲しみの中に入り込み、共に悲しみ苦しみを味わうことの大切さを学んだというのです。

本日は新人Aさんの仕事で体験したことをお話ししました。

この仕事に携わるたびに、改めて思うことがあります。

「今日という日を大切に生きる」それが、亡くなった方が私たちに教えてくれることなのかもしれません。どんなに当たり前に思える毎日も、どんなに続くと思っていた時間も、決して永遠ではないからこそ——

「ありがとう」と伝えたい人に、言葉をかける。

 「大切だよ」と思う人に、気持ちを伝える。

それができるのは、「今」しかないのです。もしこの動画が、あなたの大切な人と今日も心を通わせる、そのきっかけになれたのなら——それほど嬉しいことはありません。

「どうか、今日という日を、大切に。」

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