
棺に入れてはいけないもの7選
その“最後の贈り物”、火葬場で事故になるかもしれません
お葬式の現場で、ご家族からよく聞かれるご質問があります。
「これ、棺の中に入れてもいいですか?」
「父が好きだったものなので、最後に持たせてあげたいんです」
「母が大切にしていたものだから、一緒に旅立たせてあげたいんです」
そのお気持ちは、本当によく分かります。
棺に何かを入れるという行為は、単なる“物を入れる”ということではありません。
そこには、ご家族の想いがあります。
感謝があります。
「最後くらい、好きだったものを持たせてあげたい」という、深い愛情があります。
しかし、葬儀の現場では、どうしてもお伝えしなければならないことがあります。
その“最後の贈り物”が、火葬場で大きな事故につながることがあるのです。
火葬炉の中は、非常に高温になります。
普段の生活では何気ない品物でも、火葬炉の中では破裂したり、溶けたり、ご遺骨に付着したり、火葬炉そのものを傷つけたりすることがあります。
そして怖いのは、こうした事故の多くが、悪意から起きるものではないということです。
「故人が好きだったから」
「最後だから」
「かわいそうだから」
「持たせてあげたかったから」
その優しさが、火葬場の職員さんを危険にさらし、ご遺骨を傷つけ、ご家族自身の後悔につながってしまうことがあるのです。
今回は、多摩中央葬祭のYouTubeチャンネル「多摩おそうぎCH」でもお話しした、棺に入れてはいけないもの7選を、ブログとして分かりやすくまとめます。
棺に入れてはいけないものは、なぜ危険なのか?
まず大前提として、棺に入れるものを「副葬品」といいます。
副葬品とは、故人様への想いを込めて棺の中に納める品物のことです。
お手紙、お花、写真、思い出の品などが代表的です。
ただし、副葬品には何でも入れてよいわけではありません。
特に注意したいのは、次のようなものです。
- 燃えにくいもの
- 爆発や破裂の危険があるもの
- 金属やガラスを含むもの
- 有害な煙が出る可能性があるもの
- 大量の灰が出るもの
- 火葬炉やご遺骨を傷つける可能性があるもの
火葬場によってルールは異なりますが、基本的には「安全に火葬できるか」「ご遺骨に影響しないか」「火葬炉を傷めないか」が大切な判断基準になります。
ここからは、具体的に見ていきましょう。
メガネ・腕時計・指輪などの金属
これは本当に多いご相談です。
最初に注意したいのが、メガネ・腕時計・指輪などの金属類です。
「父といえば、あのメガネ姿なんです」
「母がいつも身につけていた指輪を、一緒に入れてあげたいんです」
「祖父が大切にしていた腕時計なので、最後まで持たせてあげたいんです」
ご家族からすれば、とても自然なお気持ちです。
むしろ、その品物を見るだけで、故人様らしさがよみがえることもあります。
しかし、金属やガラスは火葬炉の中で燃え尽きるわけではありません。
火葬炉の中は高温になります。
その中で金属やガラスは、変形したり、溶けたり、ご遺骨に付着したりする可能性があります。
特にメガネは、「お顔の印象そのもの」として入れたくなる方が多い品物です。
ですが、火葬のことを考えると、棺に入れることは避けた方が安心です。

代わりにどうすればいいのか
メガネや腕時計、指輪などは、火葬前のお別れの時間にお顔の近くに置く、棺の上に供える、写真として納めるなどの方法があります。
また、火葬後に必要であれば、骨壺の上に置いて保管される方もいらっしゃいます。
大切なのは、物を燃やすことではありません。
想いをどう形にするかです。
「一緒に燃やさないと想いが届かない」ということはありません。
見せてあげる。
触れさせてあげる。
最後に言葉をかける。
それも立派なお別れです。
お金・硬貨・本物の六文銭
次に注意したいのが、お金です。
特に硬貨です。日本には、三途の川の渡し賃として「六文銭」を棺に入れる風習があります「亡くなった方が、あの世へ向かう道中で迷わないように」
「向こうの世界で困らないように」
「無事に渡ってほしい」
そうした願いが込められた、大切な風習です。
しかし、現代では、本物の硬貨や紙幣を棺に入れて火葬することは避ける必要があります。
本物のお金を燃やすことは、法律上の問題にも関わります。
「小銭くらいなら大丈夫だろう」
「昔からの習わしだから」
と思ってしまう方もいらっしゃいますが、実際には本物の硬貨や紙幣を火葬することはできません。
六文銭はどうすればいいのか
現在は、六文銭の絵が印刷された紙を入れるのが一般的です。
本物を入れなくても、意味がなくなるわけではありません。
大切なのは、「無事に渡ってね」という気持ちです。
むしろ、現代の火葬では、安全な形で風習を受け継ぐことが大切です。

3、大量のお手紙・分厚い本・千羽鶴
「紙なら燃えるから大丈夫ですよね?」
このように思われる方も多いです。
たしかに、お手紙を数枚入れる程度であれば、問題ない場合がほとんどです。
しかし、大量の紙類には注意が必要です。
たとえば、
- 分厚い本
- 大量のお手紙
- 大量の写真
- 千羽鶴
- 厚みのあるアルバム
こうしたものは、燃えると大量の灰になります。
その灰がご遺骨を覆ってしまったり、色が付いてしまったり、お骨上げの際にご家族がご遺骨を探しにくくなってしまうことがあります。
千羽鶴も、とても想いのこもったものです。
一羽一羽に、病気が治るように、元気になってほしい、少しでも長く生きてほしいという願いが込められていたはずです。
だからこそ、すべてを燃やすことだけが供養とは限りません。

千羽鶴やお手紙はどうすればいいのか
千羽鶴であれば、数羽だけを棺に入れる。
残りは写真に撮って納める。
一部を小さくまとめて、お守りのように持たせる。
お手紙も、代表して数枚を入れる。
ほかはご家族で保管する。
このような方法があります。
全部入れなくても、想いは全部届きます。
ライター・スプレー缶・電池
ここからは、危険度が一気に上がります。
ライター・スプレー缶・電池は、棺に入れてはいけない代表的なものです。
特にライターは、タバコが好きだった故人様の場合に注意が必要です。
「父はタバコが大好きだったから」
「向こうでも一服できるように」
「タバコと一緒にライターも入れてあげたい」
そのお気持ちは、とてもよく分かります。
しかし、ライターは火葬中に破裂する危険があります。
スプレー缶も同じです。
電池も高温で破裂する可能性があります。
これらは、ご遺骨や火葬炉だけでなく、火葬場の職員さんの安全にも関わります。
火葬場の職員さんは、毎日、炉の前に立っています。
火葬炉の状況を確認し、安全を守りながら仕事をされています。
たった一つのライター。
たった一つのスプレー缶。
たった一つの電池。
でも、それが高温の火葬炉の中に入れば、大きな事故につながる可能性があるのです。

タバコを入れたい場合はどうすればいいのか
タバコそのものについても火葬場のルールによりますが、入れる場合は少量にする、火をつける道具は入れないなどの配慮が必要です。
ライターは入れずに、タバコだけを少量にする。
または、タバコの箱を写真に撮って納める。
お別れの時間だけ棺のそばに置く。
こうした方法で、想いを届けることはできます。
お酒の瓶・ガラス瓶・缶・大量の飲み物
今回、最も強くお伝えしたいものの一つが、お酒の瓶・ガラス瓶・缶・大量の飲み物です。
故人様がお酒好きだった場合、棺に入れてあげたくなる方は本当に多いです。
「父は毎晩の晩酌が楽しみだった」
「母はビールが好きだった」
「入院してから飲めなかったから、最後くらい飲ませてあげたい」
「向こうに行ったら、好きなお酒をゆっくり飲んでほしい」
このお気持ちは、痛いほど分かります。
特に長く連れ添ったご夫婦の場合、お酒には思い出が詰まっています。
一日の終わりに、夫婦で少し話しながら飲む一杯。
食卓にあったいつもの瓶。
買い物のたびに選んでいた銘柄。
それは単なる飲み物ではなく、暮らしそのものだったのかもしれません。
しかし、火葬炉の中で瓶が割れ、中のアルコールが気化し、引火・破裂につながる可能性があります。
実際にあった火葬場での事故
過去には、お酒の瓶が原因とされる非常に危険な事故の話があります。
あるご主人は、大のお酒好きでした。
毎晩の晩酌が何よりの楽しみ。
しかし入院後は、お酒を飲むことができませんでした。
奥様は、そんなご主人をずっとそばで見ていました。
「向こうに行ったら、もう我慢しなくていいよ」
「好きだったお酒を、またゆっくり飲んでね」
「最後くらい、持たせてあげたい」
そう思われたのでしょう。
通夜の夜、奥様はご主人が大切にしていた一升瓶を、棺の足元にそっと入れたそうです。
誰にも見つからないように、バスタオルで包み、お花の下に隠して。
そして火葬の朝。
棺は火葬炉に納められ、炉の扉が閉まり、バーナーに点火されました。
炉内の温度が上がっていきます。
そして、点火からしばらく経ったその時。
大きな轟音が響きました。
火葬炉の一部が損傷し、黒煙が吹き出したといいます。
幸い、職員さんに大きなケガはなかったそうですが、一歩間違えれば大事故でした。
奥様には、もちろん悪気などありません。
ただ、ご主人に好きだったお酒を持たせてあげたかっただけです。
でも、その優しさが、火葬場で大きな事故につながってしまったのです。
これは本当に切ない話です。
だからこそ、私たち葬儀社は、きちんとお伝えしなければなりません。
お酒は、瓶ごと棺に入れないでください。

お酒を持たせたい場合はどうすればいいのか
お酒が好きだった方には、次のような方法があります。
- 少量を脱脂綿などに含ませる
- 紙で作った徳利やビールジョッキを入れる
- お酒の写真を入れる
- ラベルだけを保管する
- お別れの時間に棺のそばへ供える
「入れない」のではありません。
安全な形に変えて、想いを届けるのです。
やさしさを、悲しみに変えない。
これは、とても大切なことです。
副葬品ではないけれど最も危険なもの――ペースメーカー
ここで、棺に入れる副葬品とは少し違いますが、絶対に知っておいていただきたいものがあります。
それが、ペースメーカーです。
ペースメーカーは体内に入っている医療機器です。
外から見ただけでは分かりにくい場合があります。
しかし、ペースメーカーにはリチウム電池が入っています。
これが火葬炉の中で破裂することがあります。
ペースメーカーが入っている場合、火葬場では事前に情報共有し、職員さんが特別に注意して対応します。
逆にいえば、ペースメーカーが入っていることを知らずに火葬が始まると、大変危険です。
火葬場職員さんの命に関わることもある
火葬場では、ペースメーカーがあるご遺体について、申し送りで共有されることがあります。
しかし、もしその情報が伝わっていなかったらどうなるでしょうか。
ある火葬場職員さんの体験談では、ペースメーカーの情報がないまま火葬が始まり、炉内の確認中に破裂が起きたという話があります。
もしほんの少しタイミングが違っていたら、顔や目に破片が直撃していたかもしれない。
そんな危険な状況だったそうです。
実際に、火葬場の職員さんが大きなケガを負いかけた事故の話もあります。
これは決して「怖がらせるため」の話ではありません。
ご家族を責めるための話でもありません。
火葬場で働く人の命を守るため。
故人様のご遺骨を守るため。
そして、ご家族があとから「知らなかった」「言っておけばよかった」と後悔しないための話です。
弊社でも過去にあった、忘れてはいけない確認不足
多摩中央葬祭でも、過去にペースメーカーのことで、火葬場の職員さんから非常に厳しく注意を受けたことがありました。
幸い、大きな事故にはなりませんでした。
火葬炉が損傷したわけでも、職員さんがケガをされたわけでもありません。
しかし、それは本当にたまたまだったのです。
火葬後に、ペースメーカーが入っていたことが分かりました。
火葬場の職員さんからは、非常に厳しいお叱りを受けました。
「これは、命にかかわる話です」
「申告は、職員の命を預かる絶対のルールです」
その言葉は、今でも忘れてはいけないものです。
その日のうちに、弊社として火葬場へ伺い、深くお詫びをしました。
これは、言い訳のできない確認不足でした。
ただし、その時のご遺族も、隠そうとしたわけではありません。
本当にご存じなかったのです。
故人様とご遺族の関係が少し遠く、普段の通院状況や手術歴を詳しく把握されていなかった。
スタッフが確認した時にも、「ペースメーカーはありません」とお話されていた。
つまり、ご家族も悪気があったわけではありません。
でも、ここが大事です。
知らなかったでは済まない危険が、火葬の現場にはあります。
ペースメーカーは、見た目だけでは分かりにくいことがあります。
だからこそ、ご家族には次のような点を確認していただきたいのです。
- お薬手帳
- 診察券
- 通院先
- 手術歴
- 胸元の手術痕
- 心臓が悪かったという話
- 医師や病院から聞いていた内容
少しでも気になることがあれば、必ず葬儀社に伝えてください。
「違っていたら申し訳ない」ではなく、
分からないからこそ伝える。
それが、火葬場の安全を守ることにつながります。

革製品・プラスチック・ビニール類
次に注意したいのが、革製品・プラスチック・ビニール類です。
たとえば、
- 革ジャン
- バッグ
- 靴
- ベルト
- 財布
- ビニール製品
- プラスチックのおもちゃ
- 趣味の道具
こうしたものも、故人様らしさを感じる品物です。
おしゃれだった方なら、最後もお気に入りのバッグを持たせてあげたい。
毎日履いていた靴を入れてあげたい。
趣味で使っていた道具を持たせたい。
そう思われるのは自然なことです。
しかし、革やプラスチック、ビニール類は燃えにくく、有害な煙が出る可能性があります。
火葬炉にも負担がかかり、火葬場の職員さんの健康にも関わります。
代わりにできること
革製品やバッグ、靴などは、次のような方法があります。
- お別れの時間だけ棺のそばに置く
- お顔の近くに一時的に供える
- 写真に撮って棺に入れる
- 小さな布や紙に想いを書いて添える
- ご家族で形見として保管する
繰り返しますが、燃やすことだけが供養ではありません。
見せてあげる。
触れさせてあげる。
言葉にして伝える。
写真として残す。
これも、立派なお別れの形です。
スイカ・メロンなど大きな果物
最後に、意外と知られていないのが、スイカやメロンなどの大きな果物です。
「えっ、果物もダメなの?」
と思われるかもしれません。
すべての果物がダメというわけではありません。
ただし、スイカやメロンのように大きくて水分の多いものは注意が必要です。
「母はメロンが大好きでした」
「父は毎年スイカを楽しみにしていました」
「最後に少しでも食べさせてあげたい」
これも、よくあるご相談です。
しかし、大きいまま入れると燃えにくく、不完全燃焼の原因になります。
火葬後のお骨上げの時に、ご家族が灰をかき分けながらご遺骨を拾うことになる場合もあります。
これは、ご家族にとってもつらい時間になります。

果物を入れたい場合の工夫
果物を入れたい場合は、
- 小さくカットする
- 少量だけ入れる
- 写真を入れる
- 紙や段ボールで形を作る
- お別れの時間だけ供える
といった方法があります。
以前、段ボールで丸いスイカを作って棺に入れたこともありました。
これはとても良い工夫です。
本物をそのまま入れるのではなく、想いを安全な形に変える。
それが、故人様にも、ご家族にも、火葬場にも優しい方法です。
棺に入れてはいけないもの一覧
ここまでお伝えした内容を、分かりやすくまとめます。
特に注意が必要なもの
- メガネ
- 腕時計
- 指輪などの金属類
- 本物の硬貨や紙幣
- 大量のお手紙
- 分厚い本
- 千羽鶴
- ライター
- スプレー缶
- 電池
- お酒の瓶
- ガラス瓶
- 缶
- 大量の飲み物
- 革製品
- プラスチック製品
- ビニール類
- スイカやメロンなど大きな果物
必ず申告してほしいもの
- ペースメーカー
- 医療機器
- 体内に金属や電池が入っている可能性
- 手術歴
- 通院歴
- お薬手帳や診察券から分かる病歴
大切なのは「入れないこと」ではなく「安全な形に変えること」
ここまで読むと、こう感じる方もいるかもしれません。
「じゃあ、何も入れられないの?」
「故人に何も持たせてあげられないの?」
「最後なのに、少し寂しい」
でも、そうではありません。
大切なのは、危険なものをそのまま入れないこと。
そして、想いを安全な形に変えることです。
たとえば、
- お酒の瓶ではなく、お酒の写真を入れる
- ライターではなく、タバコだけを少量にする
- 腕時計は燃やさず、お別れの時間にそばへ置く
- 靴やバッグは写真にして納める
- 大きな果物は小さく切る、または紙で作る
- 千羽鶴は数羽だけ入れ、残りは写真に残す
方法はいくらでもあります。
大切なのは、
**「故人様を想う気持ち」**です。
そしてその気持ちを、故人様にも、ご遺骨にも、火葬場で働く方にも優しい形にすることです。
葬儀社の役割は、ご家族の想いと安全を両方守ること
私たち葬儀社の仕事は、ただ「これはダメです」と言うことではありません。
ご家族の想いを受け止めること。
なぜ危険なのかを丁寧に説明すること。
代わりにどうすれば想いを届けられるのかを一緒に考えること。
火葬場の安全を守ること。
そして、故人様のご遺骨を守ること。
これが大切だと考えています。
「入れてはいけません」と言われると、ご家族は少し寂しく感じるかもしれません。
でも本当は、否定したいわけではありません。
その優しさを、事故に変えたくないのです。
その想いを、後悔に変えたくないのです。
最後に――やさしさを、悲しみに変えないために
棺に入れたいものには、必ず理由があります。
好きだったから。
大切にしていたから。
思い出があるから。
最後に持たせてあげたいから。
そのお気持ちは、決して間違っていません。
ただ、火葬の現場には、知らなければ分からない危険があります。
ご家族に悪気がなくても、事故が起きてしまうことがあります。
そして事故が起きた時、ご家族は深く傷つきます。
「あの時、入れなければよかった」
「知らなかった」
「誰かに聞いておけばよかった」
そう思ってほしくありません。
だからこそ、少しでも迷ったら、必ず葬儀社に相談してください。
これは入れていいのか。
これは危なくないのか。
代わりにどんな形にできるのか。
多摩中央葬祭では、ご家族のお気持ちを大切にしながら、火葬場の安全、ご遺骨への影響、そして後悔のないお別れを一緒に考えています。
やさしさを、悲しみに変えない。
想いを、安全な形で届ける。
そのために、私たちは一つひとつ丁寧に確認を続けています。

0120-136-841