火葬炉】どんな仕組みなの?なぜ骨だけ残るのか その秘密を解説しますに、なんと1週間で2万回を超える再生&たくさんのコメントをいただきました。ありがとうございます!
その中でも多かったのがこちらのご質問👇
「ダイオキシンを出さないには炉温1200 ℃が必要では? 火葬炉は800〜1000 ℃って大丈夫?」
「焼却灰は“普通ゴミ”扱い? それとも有害廃棄物?」
今回は、この2点を中心に “火葬炉の温度・ダイオキシン問題” と “焼却灰の行き先” をわかりやすく深掘りします。

目 次
- コメントで多かった疑問をまとめる
- ダイオキシンが発生する温度帯と“再合成”の壁
- 排ガス処理:3段フィルターの実力
- 焼却灰はどこへ行く?
- Q&Aで深掘り! よくある5つの疑問
- まとめ
1.コメントで多かった疑問をまとめる
- 工業系焼却炉は1200 ℃と聞くが、火葬炉1000 ℃前後でダイオキシンは大丈夫?
- 焼却灰は一般廃棄物なのか、それとも危険物なのか?
- フィルター(バグフィルタや活性炭)は万能なの?
結論から言うと、
- 火葬炉は ダイオキシン対策仕様の「二次燃焼室+急冷+ろ過装置」 を備えており、800〜1000 ℃でも排出基準をクリア
- 焼却灰は 基本は“一般廃棄物”。ただし重金属やダイオキシン濃度が高い場合は 特別管理産業廃棄物 として処理
- フィルターも万能ではないが、 急冷+活性炭+バグフィルタ の三段構えで実質99%以上カット
では順番に詳しく見ていきましょう。

2.ダイオキシンが発生する温度帯と“再合成”の壁
2-1 ダイオキシンは何度で生まれる?
- 200〜400 ℃付近 がもっとも再合成しやすい温度帯
- 逆に 850 ℃以上で2秒以上 完全燃焼させれば生成量は極少
2-2 火葬炉の温度プロファイル
火葬炉って、一気にボォーッと燃やして終わり…と思ってませんか?
実は“じわっ → メラッ → キュッ”の3ステップで、ものすごく繊細にコントロールされているんです!」
① 一次燃焼室 ― “じわっと予熱ゾーン”(
「まず最初の部屋が 一次燃焼室。
ここは 750〜900℃。じわ〜っと温めて、
棺やご遺体、副葬品をゆっくり燃やします。
急に高温を当てると爆(は)ぜたり煙が出たりするので、
低めの温度で余分な湿気を飛ばす感じ。
いわば“予熱オーブン”みたいな役割ですね。
爆ぜるとは、中に閉じこめられた水分や空気が一気に膨張して ポンッと弾ける/破裂する 現象です
② 二次燃焼室 ― “メラッと完全燃焼ゾーン”
「次の部屋が 二次燃焼室。温度は一気に 850〜1000℃。
ここで 一次燃焼で出た可燃ガスを全部燃やし切る!
有機系の粉じんも高温で分解しちゃうので、
煙も臭いもほぼゼロ。
焼肉で言う“強火で仕上げ”みたいなイメージです。」
③ 急冷ゾーン ― “キュッと瞬間冷却ゾーン”(
「最後が 急冷ゾーン。
出口付近で排ガスを 200℃以下まで一気に冷まします。
ポイントは“300〜400℃の再合成帯”を
一瞬で通過させること。
ここに長くいると『ダイオキシン』がまた作られちゃう。
だから“アツアツのおそばを瞬間で氷水にドボン”
くらいのスピード感で冷やすんですね。」
というわけで、火葬炉は
じわっと予熱 → メラッと完全燃焼 → キュッと瞬冷
の3段階で“煙も臭いも出さない”しくみになっています。
ポイント: 1200 ℃という数字は産業系焼却炉の“安全マージン”。
火葬炉は二次燃焼+急冷で 再合成ゾーンを高速で抜ける ため、1000 ℃前後でもガイドライン値(5 ng-TEQ/Nm³以下)をクリアできます。

3.排ガス処理:3段フィルターの実力
火葬炉って“煙やニオイが出ない”って言うけど、どうやって?
秘密はこの “3段フィルター” です!
①:急冷スプレー ― “一気にキュッと冷ます” (
- 「まず高温ガスに 微細ミストをシュッ!
水が一瞬で蒸発して、ガス温度を 200℃未満へ急降下。
これで“ダイオキシン再合成帯”を ほぼ0.3秒で通過――
要は“ダイオキシンを作るヒマを与えない” 作戦です。」
②:活性炭&消石灰 ― “ガスを吸いつくす”
- 「次に 活性炭と消石灰の粉を霧状にブワーッ。
ダイオキシンや酸性ガス、重金属を
スポンジみたいに吸着させます。
吸着しきれなかった分は後段のフィルターで止めるので、
ここは“ごっそり吸う”イメージ。」
③バグフィルター ― “最終バリア”
- 「ラストは 布製のバグフィルター。
0.1マイクロメートル級の粒子まで物理的にキャッチ!
除去率は99%オーバー。
ここを通ったガスは、ほぼクリーンエアと言ってOKだそうです」
💡 豆知識(1:40〜1:55)
「最近の炉は オンラインでダイオキシン濃度を常時モニタリングし
上限に近づくと 自動で燃焼条件を微調整して『万能ではないけど限りなくゼロに近づける』のがいまや標準仕様です!」

4.焼却灰はどこへ行く?
① ほとんどは“普通ゴミ”に近い扱い
- 「実はこの灰、成分のほとんどが リン酸カルシウム。
だから法律上は “一般廃棄物”。
普通の焼却灰と同じく、自治体の最終処分場で
埋め立てたり、溶かして固める処理をします。 - 「大きな斎場だと“灰溶融炉”っていう専用設備があって、
灰を1,300℃くらいで溶かして ガラスみたいなスラグに。
このスラグ、道路の路盤材などに リサイクルされるそうです!」
② 例外:有害物質が出たら?(
- 「まれに重金属やダイオキシンが基準を超えることがあります。
そんなときは“溶出試験”で判定して、
超えていたらランクアップ!
**『特別管理産業廃棄物』**という
ちょっと物々しいカテゴリーになります。」 - 「この場合は、フタ付きの専用コンテナで
管理型最終処分場へ直行。
厚生労働省や環境省のルールで
細かく管理されるからご安心ください。」
③ お金は誰が払う?
「ここ大事!
追加費用を遺族に請求することは基本ゼロ。
費用は自治体、もしくは斎場の運営者が負担します。
『あとから高額請求が来たらどうしよう…』
そんな心配はしなくて大丈夫です!」
④「歯の詰め物や指輪って、焼いたあと金だけ残るんじゃないの?」
結論から言うと…
- 「確かに残ります。
歯科のゴールドインレーや金属インプラント、場合によっては指輪。
でも骨壺に入る“灰”とは別ルートで処理されます。」
炉の中では
「金やプラチナは 約1,064℃で溶けるので、
二次燃焼室(850〜1,000℃)では
半分溶けて小さなビーズ状になります。
- 炉の床に落ちたり、骨片にこびり付いたり。
拾骨後の金属回収工程で磁石やトングを使ってスタッフが取り除きます。
回収された金属は多くの自治体や斎場では
専門のリサイクル業者に売却 → 売却益を福祉基金へ寄付
というルールです
遺族へ『この分の金は返してください』と
請求されたり、逆に追加請求されることはありません。」
④ 灰の安全性は?
金は“塊”で抜き取られるので、
灰の中に金が溶け込んで毒性を出すことはほぼゼロです。
だから灰はさっき説明した通り“一般廃棄物”扱いでOKなんです。」

5.Q&Aで深掘り! よくある5つの疑問
Q1:二次燃焼室は何秒キープ?
A. 日本の技術基準は「850 ℃で2秒以上」。実際は3〜4秒確保している炉が多いです。
Q2:古い火葬炉は大丈夫?
A. 2002年の大気汚染防止法改正で 既設炉も性能アップ改造が義務化。未対応炉は稼働停止済み。
Q3:フィルター詰まったら排ガス増える?
A. 圧力センサーで目詰まりを検知 → 自動ダンパー開で燃焼抑制&警報 → 交換メンテへ。
Q4:副葬品のプラスチックでダイオキシン増えない?
A. 過剰なプラ製品はNG。事前に葬儀社がチェックし、必要に応じて除去。
Q5:灰が庭や畑に撒かれることは?
A. 法律でNG。必ず自治体か専門処分業者を経由します。

6.まとめ
3つのキーワードでおさらい!
- 〈温度〉
- 800〜1000 ℃でもOK!
二次燃焼室で“完全燃焼”、急冷で“再合成帯を瞬抜け”。だから産業炉の 1200 ℃にこだわらなくても排ガス基準クリア。
- 800〜1000 ℃でもOK!
- 〈フィルター〉
- 急冷+活性炭+バグフィルターの三段構えで 99%以上カット。
しかもオンライン監視で自動微調整。いまや「無煙・無臭」が標準です。
- 急冷+活性炭+バグフィルターの三段構えで 99%以上カット。
- 〈焼却灰〉
- 成分はほぼリン酸カルシウムで 一般廃棄物。
もし基準超過しても“特別管理産廃”として厳重処理 ➜ 追加費用は遺族負担ゼロ。
- 成分はほぼリン酸カルシウムで 一般廃棄物。
📌 ここだけ覚えて!
- 火葬炉=低温で危険というイメージは誤解。
- 最新設計+法規制で 環境負荷は限りなくゼロに近づいている。
- 「もしものとき」に備えて、仕組みを知ることこそ最大の安心材料です。