「お父さんが急に倒れて、病院から連絡が来た。葬儀はどうすればいい?お墓は?銀行口座は誰が管理してる……?」
こういう言葉を、私は葬儀の現場で何度聞いてきたかわかりません。
15年以上この仕事をしていて、最もよく聞く後悔の言葉があります。
「なんで、もっと早く聞いておかなかったんだろう」
今日は、その後悔を一人でも減らすために、親が元気なうちに聞いておくべき5つのことを、具体的に解説します。
目次
1. 葬儀の希望を聞いておく
葬儀は「やり直し」のきかない一回きりのものです。
だからこそ、事前に親の意向を知っておくことが、残された家族の心の安定にもつながります。
葬儀の形式
現在の葬儀形式は大きく4種類あります(費用は2024年全国平均:鎌倉新書調べ)。
- 一般葬:地域や会社関係も呼ぶ昔ながらのお葬式。平均費用約161万円
- 家族葬:親しい身内だけで行う。平均費用約106万円
- 一日葬:通夜を省き1日で執り行う。平均費用約88万円
- 直葬・火葬式:通夜・告別式なし、火葬のみ。平均費用約43万円
どれが正解ということはありません。大切なのは「親が何を望むか」です。
「大勢に見送られたい」のか、「静かに家族だけで送ってほしい」のか、本人の価値観を聞いておきましょう。
宗派・菩提寺の確認
宗派やお寺の関係を知らないまま葬儀社を選ぶと、「菩提寺から葬儀を断られた」というトラブルが実際に起きています。
「うちのお寺はどこ?」「何宗?」——これは早めに聞いておくと安心です。
呼ぶ人のリスト
誰を呼ぶか・呼ばないか、は葬儀でもめるポイントの一つ。
親の連絡先(スマホの連絡帳だけでなく手書きの住所録も)を確認しておきましょう。
2. お墓と納骨の希望を聞いておく
「うちにはお墓がある」と思っていても、どこにあるか、誰が管理しているか知らないご遺族も多くいます。
お墓の選択肢
近年はお墓の形式も多様化しています。
- 従来の石のお墓(先祖代々の墓)
- 樹木葬(自然の木の下に眠る。近年人気)
- 合同墓・合葬墓(費用を抑えたい方に)
- 海洋散骨(骨を海に散く)
- 納骨堂(屋内施設。都市部に多い)
費用感は、石のお墓が50〜200万円以上、樹木葬・納骨堂は10〜50万円前後が目安です。
確認すること
- 既存のお墓の場所・管理している霊園やお寺
- 年間の管理費の有無と金額
- 「そのお墓に入りたいか」という本人の気持ち
3. 財産と口座を把握しておく
親が亡くなった瞬間——正確には、銀行が死亡を知った瞬間——口座は凍結されます。
葬儀費用の支払いも、その口座からは引き出せなくなります。
2019年の民法改正で「遺産分割前の相続預金払戻し制度」が整備され、一口座につき最大150万円まで単独で引き出せるようになりましたが、手続きには戸籍謄本など複数の書類が必要で、すぐには動けません。
だから事前準備が大切なんです。
確認しておくべきこと
- 口座がある銀行の名前と支店(通帳を見せてもらうのが確実)
- 生命保険の加入有無と保険会社名(証書の場所)
- 不動産・土地の権利書の保管場所
- 借金・ローンの有無(知らないと相続で大変なことに)
エンディングノートに書いてもらうと、後から確認しやすくなります。書店で500〜1000円程度で購入可能です。一緒に書き始めると、自然な会話のきっかけにもなります。
4. 医療・介護の希望を聞いておく
突然意識を失い、自分で意思を伝えられない状態になったとき、医師は家族に問います。
「延命治療はどうしますか?」
「胃ろうは希望しますか?」
「心肺蘇生を行いますか?」
本人の意向を知らないまま、その場で判断するのは残された家族にとって大きな負担です。
また介護についても——
- 「自宅でみてほしいか」「施設でいいか」
- 「どこまで子どもに頼りたいか」
兄弟姉妹で意見が割れることが多い話題です。だからこそ、親本人の意向を事前に知っておくことが大切です。
話しにくいなら、こんな切り出し方を
「最近ニュースで延命治療の話が出てたんだけど、どう思う?」
テレビや新聞の話題をきっかけにすると、自然に話しやすくなります。
5. デジタル情報を整理しておく
現代の「見えない資産」として増えているのが、デジタル情報です。
スマホのロックが解除できなければ、連絡先も写真も取り出せない。
ネット銀行の存在を家族が知らなければ、遺産として把握できない。
サブスクサービス(動画・音楽・電子書籍など)の引き落としが、亡くなった後も続いてしまう——これも実際によくある問題です。
確認・整理しておくべきこと
- スマホのロック解除コード(暗証番号・顔認証の場合は設定確認)
- よく使うサービスのID・パスワード(エンディングノートに記載)
- ネット銀行・ネット証券の有無
- 継続課金されているサービスの一覧
注意点:IDとパスワードを紙に書いて保管する場合は、その紙の保管場所のセキュリティも意識しましょう。エンディングノートは「本人だけが知る場所」に保管し、その場所だけ家族に共有する方法がおすすめです。
まとめ:今日から始めるチェックリスト
改めて、親が元気なうちに聞いておくべき5つのことをまとめます。
その1:葬儀の希望(形式・宗派・呼ぶ人リスト)
その2:お墓と納骨の希望(場所・形式・費用感)
その3:財産と口座の把握(通帳・保険・不動産・借金)
その4:医療・介護の希望(延命治療・施設か自宅か)
その5:デジタル情報の整理(スマホコード・ID・サブスク)
一度に全部聞かなくていいんです。
「そういえば、うちのお墓ってどこにあるの?」
この一言から、始めてみてください。
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参考情報
鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000009951.html
三菱UFJ銀行「口座名義人の死亡後に必要な銀行の相続手続き」 https://www.bk.mufg.jp/sonaeru/souzoku/column/006/index.html
厚生労働省「健康寿命の推移」 https://www.mhlw.go.jp/

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