お墓が遠い、体力的にお墓参りが難しい、お墓参りに行かれる人がいない、残念だが自分の代でお墓の管理は限界が近づいている。やむを得ず墓じまいを考え始めているが、何かと不安に思われている方も多いと思います。
しかし、墓じまいについて内容を知ることができれば少しずつ次の一歩を踏み出すことができます。
トラブルが起きないように進める墓じまいの手続き方法、費用についてご紹介致します。
- 墓じまいとは何か
- 墓じまいを行うその前に
- 遺骨の受け入れ先とその費用
1. 墓じまいとは何か
墓じまいとは、お墓の墓石を撤去して墓所を更地にし、納めていた遺骨を別の場所や別の方法で供養することです。
少子高齢化、核家族化が進む近年では、単身者お1人さま、ご夫婦のみ、又は夫婦と未婚の子ども、シングル家庭など、いわゆるコンパクトな家族が増加しています。
その結果、自分の死後にお墓を守る家族や親せきがいない、お墓の承継が出来ないと言った理由から『子供や孫に負担をかけたくない』『お参りしてくれる人も居なくなり、雑草だらけの無縁墓になりかねない』ことを考慮し、先祖代々、受け継がれてきたお墓を自分たちの代で墓じまいを選択するケースが増えてきました。
元気なうちに自分の手でお墓を閉じたいという考えの方が多くなっているのではないでしょうか。
厚生労働省が公開している衛生行政報告例のデータによると、改葬(お墓を解体・撤去、お墓の引越しを含む)の件数は近年増加傾向にあります。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
9万7317件 | 10万4493件 | 11万5384件 | 12万4346件 | 11万7772件 | 11万8975件 |
墓石を撤去するだけであれば、20万程度で可能ですが、取り出したご遺骨をどこかに放置したり、廃棄することは法律で禁止されています。お墓の撤去後について、もちろん考える必要があります。
2. 墓じまいを行うその前に
2-1. 家族や親類に相談、同意を得る
親族の中には、しきたりを重んじる方が居た場合、墓じまいをすることに抵抗があり理解を得にくいことがあるでしょう。墓じまいをする場合は、親族間でのトラブルを防ぐために、勝手に進めるのではなく、事前に同意を得ることが重要です。実際は、墓じまいをしてもご先祖様の供養は出来ること。そして、供養には様々な方法があることを伝え、全員の理解を得る努力をすることをしてください。それでも埒が明かない場合、石屋さんでは無料相談をしてくれている所もあります。ご相談してみてください。
2-2. お墓の管理者に墓じまいを行う旨を連絡する
① 埋葬証明書
墓じまいが決まったら、お墓の管理者である霊園や寺院にその意思を伝え、『埋葬証明書』を発行してもらいます。埋葬証明書とは、現在の墓地にご遺骨が納骨されていることを証明する書類です。
② お寺へのお布施
寺院にお墓の撤去前に執り行う法要を依頼しますが、その際のお礼費用を指します。ご遺骨を取り出す際には、現在お墓に入っている魂を抜くために、閉眼供養(魂抜きともいわれます)という儀式を行う必要があります。基本的には普段の法要と同定額程度で問題ないとされていますが、お寺によって異なる場合もありますので、お寺に確認されることをおすすめします。
<菩提寺への配慮>
この時、長年にわたって檀家としてお世話になってきた寺院が管理者の場合、伝え方によってはトラブルに発展することがあるので注意が必要です。まずは墓じまいを決断するに至った事情を丁寧に伝え、理解を求めましょう。事情、説明が不十分な場合、墓じまいを断念せざるを得ないほどの高額な離檀料を請求されたと聞くことがあります。
離檀料は、お墓が寺院にある場合のみ、発生します。檀家を離れる為に寺院へ払う費用を指します。あらかじめ離檀料の相場を確かめておき、こじれそうな場合は、速やかに弁護士など専門家に相談しましょう。この離檀料は法律では決まりはなく、支払いの義務はありませんが、今までお世話になったお礼の気持ちとしてお渡しするのが慣例になっています。
2-3. 遺骨の新しい受け入れ先を決める
寺院や霊園からの了承が取れたら、新しい受け入れ先を決めます。
墓石の撤去後の遺骨の受け入れ先の選び方によって費用の総額が大きく異なってきます。本当にご自身やご家族が納得する選択ができるよう、内容と費用をご紹介します。
一般墓所、樹木葬、永代供養墓、納骨堂・屋内墓苑、合祀墓、海洋散骨などの散骨、手元供養などがあります。
3. 遺骨の受け入れ先とその費用
墓じまいにかかる費用の総額 平均 30万円~300万円
費用総額 = ①墓石撤去費用 + ②お布施 + ③新しい受け入れ先の費用 + ④~⑥など
①墓石撤去費用(20万円程度)
②お布施(お墓の撤去前に執り行う法要)
③新しい受け入れ先でかかる費用(使用料・管理料など)
※一般墓所、樹木葬、納骨堂など選択により金額が大いに異なります。
④離壇料(菩提寺から墓じまいをする場合)
⑤新しいお墓の購入費
⑥墓石を移動させて別の墓地で使用する場合は運搬費用など
3-1. 一般墓所
まず、お墓の引っ越しからご紹介します。今まで遠くにあったお墓から、現在住んでいる場所に近いところでお墓を作る一般墓所では、役所手続きが必要となります。
新しくお墓を建てて納骨する、お墓の引っ越しです。これを『改葬』と言います。改葬には市区町村役場で改葬許可申請書を取得し、改葬申請者や埋葬者等の情報を記載します。
改葬許可申請書に、埋葬証明書と受け入れ証明書を添えて、新しい墓地所在地の役所へ提出すると改葬許可証が発行されます。改葬許可証は新しいお墓の管理者へお渡しします。
費用は2021年、消費者全国実態調査によると、お墓の平均購入価格は169万円だそうです。その他、管理費が毎年数百円から2万5千円程度、毎年かかってきます。
3-2. 樹木葬
樹木葬は墓石を建てず代わりに花や樹木を植え自然に近い緑に囲まれた場所に遺骨を埋葬します。墓石を持たない為、比較的費用を押さえることができます。死後、自然に帰りたいと思う方の希望をかなえますが一度納骨されたら取り出すことはほぼ不可能です。費用は20万から80万円程度です。人数によって料金が変わります。
3-3. 永代供養墓
永代供養墓は寺院などで遺骨を預かり永代に渡って供養してもらえるお墓。墓地用の土地と墓石の準備が要らない為、お墓の費用を可能な限り抑えたいという方にも多く利用されています。一般的には事前に供養料を一度払えば、年間管理費はかかりません。一般墓より安いと言われています。納骨されると取り出すことはほぼ不可能です。費用は10万から150万円程度です。
3-4. 納骨堂・屋内墓苑
納骨堂・屋内墓園は、骨壺や遺骨を決められた専用スペースに納骨できる施設です。ロッカー式、自動搬送式など様々な種類があります。天候に左右されずに、トイレや冷暖房、照明も整っているので快適に参拝出来るデメリットは年間管理料がやや割高な傾向、納骨スペースに限りがあります。費用は10万から150万円程度です。
3-5. 合祀墓
合祀墓は、はじめから複数のご遺骨を一緒に埋葬するお墓の事。骨壺から取り出して埋葬されます。一度納骨されたら取り出すことはほぼ不可能です。埋葬する箇所は選べません。費用は5万から30万円程度です。
3-6. 散骨
散骨は、粉状に加工した遺骨を海や山に撒く埋葬方法です。宇宙葬など空の彼方へ散骨する場合もあります。費用は5万から70万円程度です。前東京都知事の石原慎太郎さんが遺言で海洋散骨を希望されました。長男の伸晃さんの話によりますと『気の合った仲間と一緒に俺の骨は海に戻してくれ』と言われて海洋散骨をされました。
3-7. 手元供養
小型の骨壺や専用のアクセサリーなどの中に遺骨を納め遺骨の全部、又は一部を手元に保管しておくことで自宅供養ともいいます。メリットはいつでも自分の側に故人を感じることができます。デメリットは家族の理解や同意を得てないと、将来的にお骨の取り扱いに困ることもあるかもしれません。費用は数百円から50万円程度です。
人々のライフスタイルは一昔前とは大きく変化しており、生まれ育った土地で一生を過ごす人は少なくなりました。お墓を継承していかれないのは致し方ないことなのかもしれません。
お墓を継承してくのが難しいと判断したら、残念ですがご自身がお元気なうちに墓じまいの準備を始めましょう。
まずは家族で話し合ってみてください。きっと問題点や不明点が出てくることもあると思います。
近年では人々の考え方が多様化し、お墓は要らないという考えの人も増えています。
ご紹介した墓じまいのメリット、デメリット、平均的な費用や改葬における一連の流れなどを参考にしていただき、アナタだけではなく、家族や親せきの方たちと一緒になって納得できる方法を選ぶことが大切です。
多摩中央葬祭では、突然のお別れに悔いのない葬儀のお手伝いを致します。
お葬儀以外にもお墓に関するお悩み事や問題についてご相談を承っております。
・森の風ホールにご来館いただいて、葬祭ディレクターとご対面でのご相談
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・森の風ホールへのご来館が難しい方は葬祭ディレクターがお伺いし、ご自宅やご希望の場所でのご相談