火葬のタイミングが違う!?地域によって異なる葬儀マナーとは

葬儀の一般的なマナーを知ることも大切ですが、地域によって異なる葬儀マナーも頭に入れておくと、いざという時に慌てずに済むでしょう。特に火葬においては、回数やタイミングなど地域ごとに異なるマナーが存在します。

そこで今回は、地域によって異なる火葬のマナーをはじめ、地域の風習に合わせた独特な葬儀の方法などをご紹介します。

もしかしたら今お住まいの地域でも、その地域特有の葬儀のマナーが存在するかもしれません。「知らなかった」という事態にならないように、改めてお住まいの地域のマナーを知ると共に全国的なマナーも比較して備えておきましょう。

もくじ

1. 地域によって異なる葬儀マナーとは?

 ・通夜振る舞いの違い

 ・日程の違い

 ・全体の流れの違い

2. 火葬のタイミングが違う!?前火葬と後火葬について

3. 地域別葬儀の風習

4. まとめ

1. 地域によって異なる葬儀マナーとは?

葬儀のマナーは地域によって異なりますが、大きく分けると「通夜振る舞い」「日程」「全体の流れ」の3つに違いが存在します。それぞれ解説していきます。

通夜振る舞いの違い

通夜を行った後に行われる「通夜振る舞い」は、ない地域も存在します。昔からその慣習がない所があるようです。しかし、ほとんどの地域では、通夜振る舞いを行うのが一般的なので、地域による違いを覚えておきましょう。

通夜振る舞いにおいて地域によって違う事項は「出席対象者」と「お金の包み方」です。

まず、対象者については、地域ごとに参加できる人とできない人の範囲が異なります。例えば、関東地方では親族のみを対象とする地域や一般参列者も対象とした地域が混在する一方、関西地方では親族のみを対象とし、一般参列者は参列しません。

地方通夜振る舞いの参加対象者
関東・親族、故人の友人
・同僚・上司など親族のみ
※上記いずれか地域によって違う
関西・親族のみ

さらに、お金を包む場合の呼び方についても地域によって異なります。例えば、岩手県は「御夜食料」、三重県や徳島県では「夜伽見舞い」などと呼称されます。そのほか、独特な呼び方があるため、お住まいの地域がどこに該当するか確認しておきましょう。

都道府県通夜振る舞いにお金を包む際の呼称
岩手県御夜食料
宮城県お悔み
秋田県御香料
長野県お見舞い
三重県・徳島県夜伽(よとぎ)見舞い
長崎県御目覚まし

なお、お金ではなく、お菓子やお酒などの供物を持参する地域も存在します。この時も呼び方が異なるので、ご紹介します。

都道府県供物を持参する際の呼称
千葉県夜伽(よとぎ)見舞い
愛知県・三重県お淋し見舞い
山口県・福岡県・鹿児島県通夜見舞い

以上のように、都道府県ごとに呼び方が異なるため、ご自身が参列者として列席する場合は、表書きを間違えないように注意しましょう。

日程の違い

通夜から告別式、火葬までの日程の長さにも地域による違いが存在します。特に関東地方の都心部の場合、それぞれの日程が長いと言われています。これは都心部の葬儀場や火葬場が混雑していることが多いためで、東京都など人口が多い地域の場合は、通夜までに1週間程度かかることもあります。

一方、北陸地方や中部地方など、首都圏に比べると人口が少ない地域では、亡くなった日の翌日や翌々日、早い場合は当日に通夜が行われます。そして通夜を行った翌日には葬儀・告別式を執り行い、葬儀当日に火葬されることが一般的です。

全体の流れの違い

全体の流れについても地域による違いが存在します。

一般的には、亡くなってから通夜→通夜振る舞い→葬式・告別式→火葬場に移動→火葬→収骨→精進落としの席という流れです。しかし、一部の地域では通夜→通夜振る舞い→火葬→収骨→葬式・告別式→精進落としの席という流れで、火葬や収骨を葬儀よりも先に行うところもあります。

これは、地域によって気候や移動のしやすさに大きな差があるためと言われています。詳細については後記しますが、地域によってご遺体をきれいに保存できる期間が異なったり、火葬場に移動するまでの効率が悪かったりするため、全体の流れが異なるのです。

2. 火葬のタイミングが違う!?前火葬と後火葬について

前述したとおり、火葬のタイミングが地域で異なります。葬儀の前に火葬を行うことを「前火葬」、後に行うことを「後火葬」と呼びます。

全国的に見ると後火葬が一般的ですが、暖かい地域や移動が困難な地域では前火葬を行う地域が少なくありません。

例えば、暖かい地域の場合、ご遺体をきれいに保存できる期間が短かったため、前火葬を主流としています。現代の技術では、どの地域でもきれいに保存できる環境が整っていますが、昔は技術が発展しておらず、暖かい地域ではご遺体の保存に時間をかけることができず、先に火葬を行っていたそうです。

また、雪国や山間部では移動が困難だったため、葬儀前に火葬を行うことで一連の流れを効率化していたと言われています。

参考までに、雪国である青森県を例に挙げると、現代でも以下のような流れで火葬を行っています。

  1. ご臨終
  2. 火葬
  3. 通夜
  4. 葬儀・告別式
  5. 納骨
  6. 取り越し法要

なお、東京都を中心とした関東地方の平野部では、ご遺体の保存や参列者の移動方法をあまり考慮する必要がないため、後火葬で日程も長い傾向にあります。

3. 地域別葬儀の風習

最後に、地域ごとに異なる葬儀の風習について、いくつかご紹介します。古くから、葬儀はその地域特有の風土に合わせて執り行われてきました。今では差がなくなってきているものの、今後地方で参列する場合に備えて把握しておくとよいでしょう。

都道府県

風習・マナー

北海道

北海道

法事では赤飯ではなく「黒飯」が振る舞われる。

霊柩車を使用しない。

東北地方

青森県

前火葬が一般的。

お骨は骨壺に収めず、直接埋葬する。

秋田県

前火葬が一般的。

遺骨は2〜3週間程度自宅に安置する。

山形県

地域への訃報の知らせは「告げ人」が行う。

葬儀では御詠歌を歌う。

宮城県

お通夜後に火葬を行い、ご遺骨を祭壇に祀って葬儀を行う。

関東地方

千葉県

葬儀を行う日の朝に火葬を行うところもある。

茨城県

葬儀は神式と仏式の混合が一般的。

葬儀後に鳩を放つ儀式があるところもある。

栃木県

出棺時に花籠振りを行う。

土葬を行う地域も残存。

埼玉県

葬儀の参列者に金剛杖を配布したり、玄関で茶碗を割ったりする風習が残っている地域も。

神奈川県

自宅での葬儀が一般的。火葬場が少ないため、家族葬など小規模な葬儀が多い傾向。

中部地方

新潟県

自宅での葬儀が一般的。

ご遺体・ご遺骨を運ぶ際、火葬場や墓地まで列に並んで歩いて運ぶ風習が残っている。

長野県

前火葬・後火葬が混在。

互助組織が強い地域では近隣の葬儀の手伝いで会社を休むこともある。

静岡県

互助組織が強い地域が多い。

通夜振る舞いには黒豆おこわなど独特な食べ物が振る舞われる。

山梨県

通夜振る舞いが行われることがあまりない。

通夜振る舞いがないかわりにお茶やハンカチなどを配る。

石川県

喪主が白装束を着る地域もある。

福井県

故人が男性の場合、棺にカミソリを入れ、女性の場合はハサミを入れる風習もある。

岐阜県

後火葬が一般的だが、前火葬である骨葬をおこなう地域もある。通夜振る舞いは助六寿司が主流。

近畿地方

三重県

神式の葬儀が多い。

「涙汁(辛い汁物)」が振る舞われる地域もある。

滋賀県

西日本には珍しく通夜振る舞いを行う。

振る舞いにはうどんが多い。

和歌山県

葬儀を避けるのは友引だけではなく、三隣亡もある。故人の茶碗を割って送り出す風習がある。

中国地方

鳥取県

友引の日でも葬儀が行われる地域もある。

葬儀終わりと出棺時に鉦(かね)という打楽器を鳴らす。

広島県

酉の日も葬儀を行わない。火葬場帰りの清めの塩の儀式は行わない場合が多い。

四国地方

徳島県

棺に副葬品として、針・糸・ハサミを入れる。

香川県

末期の水を脱脂綿ではなくシキミの葉で行う。

九州地方

鹿児島県

納棺時、個人に少量の焼酎を振りかけて送り出す。通夜見舞いに最中(モナカ)を渡す。

佐賀県

ご遺体の枕元に供える枕団子は49個用意する。

葬儀前は遺族で「出立ちの御膳」を食す。

大分県

納棺時にモミを炒ったものを入れる。

宮崎県

通夜振る舞いのかわりに「目覚まし」という菓子・饅頭などを配る風習がある。

沖縄県

沖縄県

豚の三枚肉を供物にする。

お墓の形や棺が本土とは異なる。

4. まとめ

今回のコラムでは、火葬に焦点を当てて、地域によって異なる葬儀のマナーや風習をご紹介しました。今回ご紹介した内容以外にも、地域特有の独特な葬儀文化を有していることがあります。ご自身がお住まいの地域の文化を知っておくことが前提ですが、地域に根付いた葬儀社を選ぶことも大切です。

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