将来、自分が入院をしたり施設に入所する際に身元保証人が必要と言われたら、依頼できる人がいないので不安な方もいらっしゃるかと思います。身元保証サービスをはじめ、高齢者サポートサービスの利用について関心があるが、一方契約トラブルがあるとも聞くことがある方に、注意するポイントをご紹介します。
1. 身元保証人サービスとは
2. 身元保証サービス契約時の注意点
3. 身元保証事業をめぐるトラブルを防ぐために
4. まとめ
1. 身元保証人サービスとは
「ひとり暮らしで身近に頼れる方がいない」、「家族や親戚に迷惑をかけたくない」、「遠方の身内の世話になることはできない」、「子供のいないシニアの方」で、生前にお亡くなり後のことを決めておきたい」とお考えの方に利用されています。
『身元保証人』とは?
各社によってプラン、サービス内容、料金は異なりますが、身元保証人の役割は以下となります。
・病院に入院する際、治療費の支払いの保証人となり、支払ができないときに一時的に立替えたりする
・賃貸物件に入居時に連帯保証人となり家賃の保証を行い、退去時には残置物の整理、原状回復などを行う
・介護施設や老人ホーム等でも連帯保証人となり、施設利用料が支払えない場合は代わりに支払うことになり、退去時の身柄の引き取りや室内の片付けなどを行う
・緊急時の連絡先になる人のこと
追加項目として次のようなことも行います。
・日常生活の支援
・見守り契約
・緊急入院時の手続き代行
・入居中の身の回りのお手伝い
・亡くなった時の葬儀手配
・亡くなった後の手続きの代行など
・遺品整理
2. 身元保証サービスの契約時の注意点
提案内容を良かれと思い、提案されるまま契約をしてしまうと、
契約金、プランごとの料金、管理費、追加料金など合計すると100万円以上となるケースもあります。
サービスの中には法律の専門家による内容も含まれているので、契約時に内容を確認しないと不要な申込を行い、利用料が高額になることや解約できないものもあります。
身元保証サービスを契約する際に気をつけたいこと
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どんなサービスを希望するのか決める
・生活支援、身元保証、死後事務、その内容
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利用料金はご自身で支払可能な範囲かどうか
・利用の都度にお金がかかるサービス、月ごとの手数料がかかるサービス、使う可能性がある期間(平均余命)を想定して総額を見積もる
・自分の資産状況と照らして支払が可能かどうか確認する -
サービス内容を確認をする
・自分がしてほしいこと、希望することを明確にして事業者に伝える
・事業者ができないことを確認し、納得したうえで書面に残す
・契約書の内容は変えることができる場合もあるので、積極的に希望を出す -
今後のことを見すえて考える
・自分にサポートが必要になった時にすぐに連絡できるように、誰と何を契約したのか書面に残し、緊急連絡先などと一緒にわかりやすいところに保管する
・契約の内容を変更したり、解約する場合の手続きを文書で説明してもらい確認する
3. 身元保証事業をめぐるトラブルを防ぐために
ご本人が契約しようとしている時には気が付かないこともあります。
身元保証事業のトラブルを防ぐためのチェックリスト 10選
- 本人が契約内容を理解できていない(認知症等の症状がある場合は特に注意)
- 後見制度利用の予定がある
- 遺言作成、後見申立、医療同意ができるとうたっている
- 必要のないサービスがセットでないと契約ができない
- 入会金・事務手数料の名目で高額な支払いを求められている
- サービス内容と利用料の関係がわかりにくい
- 契約を途中で解約できることの定めがない
- 契約が終了したときの返金について定められていない
- 預けたお金の保管方法、使途や残金の報告義務が定められていない
- 苦情申し出窓口が設けられていない
4. まとめ
『法定後見人』は裁判所から選任されますが、『身元保証人』は民間の会社や一般社団法人、公益法人、NPO法人などに運営され、法律による監督が行き届いていない盲点もあります。
過去に業界大手の公益法人でも不祥事を起こしたことがあります。会社の規模で判断するのは禁物です。
本当に必要なサービスについて検討し、数社で見積もりを取り、信頼のおける第3者の方や公的機関のアドバイスも参考にされるとよいと思います。
病院の入院時や、施設入居時の身元保証について求められ、何か困った時は、自分だけで抱え込まないでお住いの市区町村の地域包括支援センターなどに相談をしてみましょう。