「孤独死」という言葉を耳にすることがありますが、一人暮らしをされている方が自宅でお亡くなりになり、誰かに見つけてもらうまで数日かかることもあります。
誰もが迎える最期。身寄りのない方が亡くなり、遺体の引取人がいない場合の葬儀や火葬、埋葬の手続きはどのように行われているのか気になるところかと思います。
身寄りのない方がお亡くなりになった時の現況についてご紹介致します。
1. 単身世帯数の増加
2. 身寄りのないおひとりさまの葬儀の現況
3. 生前に準備できること
4. さいごに
1. 単身世帯数の増加
前回行われた2020年(令和2年)の国勢調査によると、日本の単身世帯数は約2115万世帯で、全世帯数の38.1%を占めています。
そのうち、65歳以上の単身世帯数は671万7千世帯となります。現在ご夫婦で生活をされていても、どちらかが亡くなると単身世帯となります。高齢者の単身世帯数は増加傾向にあります。
高齢者の一人暮らしでは生活面、医療や介護などなにかと心配事があります。万が一、単身でお亡くなりになることも珍しいことではありません。
身近に親族の方がいれば、ご遺体の引き取りから葬儀、火葬、埋葬まで執り行ってもらえますが、おひとりさまの場合はそのようにはいきません。
2. 身寄りのないおひとりさまの葬儀の現況
2-1. 生前に誰かに死後について依頼をした場合
身寄りのいらっしゃらない方で生前に依頼人にお願いしていた場合、その通知先に連絡が行きます。依頼人の方は連絡を受けたら葬儀社に手配を依頼。葬儀・火葬、各種手続き、納骨・法要、家の片付けなどが行われます。
2-2. 生前に誰にも依頼をしていなかった場合
自宅や外出先で亡くなった場合
自宅や外出先で亡くなった場合、警察に遺体が搬送されます。警察から所持品等より親族の方に連絡が行きます。親族のいない方や遺体の引き取りを断られた場合は、市区町村が遺体を引き受けることになります。
病院でお亡くなりの場合
身内の方がいない場合、病院の所在地を管轄する市区町村へ連絡され、市区町村より親族の方に連絡が行きます。
2-3. 警察や市区町村から連絡を受けて親族が引き受けた場合
警察や市町村から連絡を受けて、遺体の引き取りを行う親族の方は、葬儀・火葬、諸手続き、家屋や家財の片付けを行います。かかった葬祭費や手続きにかかった費用は亡くなった方の財産より充当されますが、足りない場合は引取人が負担をしなければなりません。
残りの財産は、火葬・埋葬を執り行った人が必ずしも受け取ることができません。法定相続人になれるのは、配偶者と子ども、両親、兄弟姉妹です。いとこにあたる方(4親等)が遺体の引き取りを行い、火葬・埋葬、諸手続きを行ったとしても相続権はないので、残りの財産については国庫に帰属されます。
2-4. 親族と連絡が取れない場合、親族より遺体の引き取りを断られた場合
親族の誰にも連絡が取れない場合や、高齢などの理由に遺体の引き取りを断られる場合もあります。
その場合は、亡くなった場所の市区町村が火葬・埋葬を行います。火葬や埋葬にかかった費用は亡くなった方の財産から充当されます。充当させる財産がない場合は、自治体の負担となります。もしも、遺骨の引き取りも拒否された場合には自治体が一定期間(自治体により期間が異なります)保管します。
3. 生前に準備できること
ご自身の希望するお墓に入ることができないことは大変残念な事です。
このようなことにならないよう、生前に準備をすることができます。決して高齢者にあたる年齢ではなくても、誰しもが考えておきたいことでもあります。
3-1. 将来についての希望をまとめる
将来、どのような最期で人生の幕を閉じるのかご自身の希望を書きだすことから始めましょう。終活という言葉を耳にしますが、老後になったら考えるのではなくお元気な今のうちから将来の自分像について書き出しましょう。市販のエンディングノートなどに書き出すことから始まります。
- 将来、どのように過ごしたいのか?自宅、介護施設で生活したいのか
- 銀行口座や保険などの情報をまとめておく
- 自身の葬儀はどのようにしたいか
- 火葬後の遺骨はどこに納骨してほしいのか?先祖代々のお墓、散骨、合同墓を希望するのか
- 死後の手続き等は、誰に依頼するのか?親戚、友人、知人、専門家に依頼するのか
- 自身の財産を将来どうしたいのか?
- 死後手続きにかかる諸経費の準備
3-2. 生前に準備をしておきたいこと
- 普段から周囲とのコミュニケーションをとるように心がける
(親族と関係が希薄な場合は特に周囲との関わりを大切にする) - ひとり暮らしであることを市区町村に知らせておく
- 訪問系のサービスを利用する
(定期的に顔を合わせる関係を持っておくこと) - 司法書士や行政書士のサービス「死後事務委任契約」を利用
4. さいごに
最近はひとり暮しの高齢者が多いから仕方がないということではなく、お一人お一人の大切な人生を最後まで自分らしく全うしていただくためのことです。
ご本人がお元気なうちに検討し、身近な方や信頼できる人に伝えていき将来のサポートの道筋をつけていくことが大切なことだと思います。