死刑執行後、ご遺体はどうなると思いますか?また、死刑囚がぶら下がってる時間って法律で決まってるんですか?そして、死刑執行の当日の流れは一体どういう感じなんでしょうか?お葬式をするのでしょうか?死刑執行の日はいつなのか?を死刑囚本人と家族に、事前に告知があるのでしょうか?というご質問をいただきました。
疑問を持つのも当然なことだと思います。なぜならば、少し前まで、死刑執行のニュースや情報は「収容されている方の心情の安定などを考えて、死刑関係のニュースはカットされていたり、新聞を黒塗りしたりしていた時期もあり、中々、情報は公にはされていなかったので、知らない方も多いと思います。
本日は意外と知らない ①『死刑囚がぶら下がってる時間って法律で決まってるんですか?』 ②死刑執行の当日の流れとともにご紹介死刑執行した後のご遺体はどうなるのか? この2つのお話しをしていきます。
死刑は、命をもって罪を償うという最も重い刑罰です。日本においては殺人罪など重大な犯罪の法定刑として規定されています。国際的には死刑制度を廃止する国が増加しています。しかし日本の世論調査では80%以上の方が「死刑もやむを得ない」と答えているそうです。
世界から見ると死刑は廃止とする国が増える傾向の中で、日本は議論はされていますが、未だ死刑は存続されています。それには昔から日本社会には、死をもって償うことを「潔い」とする考え方があるのも理由になっているのかもしれません。
拘置所では秘密裏かつ入念に死刑執行の準備が施され、当日の朝を迎えます。ここで皆さんにお伺いしたいのですが、過去にこう疑問に思った方いらっしゃいませんか? 死刑執行日が決まったら、いつ頃、死刑囚本人と家族にお達しが・お知らせが、どんな形でいくのか?と・・・
私も少し驚いたのですが死刑囚本人や家族にも、事前告知、事前にお知らせがあるというのは全くありません。告知も、お知らせも無いんです。皆無です。その告知のナイなかで、確定死刑囚は平日の朝は、今日か?今日が自分の執行日か?と常に執行の恐怖におびえているとのことです。
『死刑囚がぶら下がってる時間って法律で決まってるんですか?』死刑執行の当日の流れのご紹介です。こちらもいただいたご質問からです。
えー?刑を執行し、ぶら下がってしまったら、すぐにおろしてあげないと、、と多くの方が思っていると思いますが、実は、刑事収容施設法という法律で、ぶら下がっている時間が決まっているんです。国家公務員が権力を使って人の命を合法的に奪う死刑については法律で細かなルールが決まっているのです。 死刑囚がぶら下がっている時間は、死刑を執行するとき、絞首された者の死亡を確認してから5分を経過したのちに絞縄を解くものとするというルールが法律で決められています。死亡が確認されたあと、さらに5分間は縄がほどかれないと言う、これが日本の死刑ルールなんです。
豆知識として 江戸時代に行われていた、日本の死刑は、
斬首(ざんしゅ)
磔(はりつけ)
鋸挽き(ノコギリびき)
火炙り
見せしめの為に、広く公衆の面前で行われる公開処刑は現代では禁止されています。斬首(ざんしゅ)、磔け、火炙り、鋸びき、火あぶりなどがありました。見せしめの為に、広く公衆の面前で行われる公開処刑は現代では禁止されています。現在の日本の死刑は絞首刑だけです。
現在の日本の死刑は絞首刑だけです。
出房
死刑執行当日、刑務官が死刑囚に出房する(部屋から出る)よう命じます。死刑囚は、いつ死刑執行されるか当日になるまで分かりません。先ほどもご案内しましたが、朝食後、複数の足音が近づいて独房のドアが開けられ、そこには普段の担当看守とは違う拘置所職員や警備隊員が立っていれば、確定死刑囚は自ずとその意味を悟るというもので、当日の朝、9時ごろ死刑執行が告げられ、そのまま連行されます。
最初に通される部屋が、教誨(きょうかい)室です。教誨室では、所持品の処分方法について聞かれたのち、教誨師と話をしたり、遺書を書いたり、お菓子を食べたりすることもできます。
死刑執行まで1時間ほどの猶予が与えられます。教誨室で教誨師と会話をしたり、祈りをささげたり、遺言を書いたり、お菓子を食べたり、喫煙したりして過ごします。
前室
執行室とカーテンで区切られた前室に連行され、刑事施設の長により死刑執行命令が告げられます。その後、目隠しをされ、手錠をかけられ、執行室へと向かいます。
執行室の踏み板に立たされると、足を拘束され、首に絞縄(ロープ)がかけられます。執行室はガラス張りになっており、検察官などの立会人がいる立会室から執行の様子をみることができます。
準備が整うと、別室にある3つのボタンを3人の刑務官が同時に押します。3つのボタンのうち、どれかひとつが踏み板と連動しており、ボタンを押すと踏み板が外れ、死刑囚の身体が執行室の階下に落下するしくみです。
執行後、医官が死亡を確認します。死亡を確認してから5分経過しないと絞縄を解くことはできません(刑事収容施設法第179条)。死亡を確認してから遺体をおろし、死刑執行が完了します。死刑に立ち会った検察事務官は、執行始末書を作成し、検察官および刑事施設の長またはその代理者とともに署名押印します(刑事訴訟法第478条)。
死亡確認後のご遺体の処置は拘置所職員が行い、拘置所内で体を綺麗に清めてからお引き渡しとなるようです。
死刑が執行されたことは、当日の午前11時から昼過ぎにかけて法務省から発表され、私たちはテレビのニュースなどで死刑執行を知ることになります。
死刑執行した後のご遺体はどうなるのか?
法務省から死刑執行の報告が遺族に届きます。これは死刑囚の遺品や遺体の引き渡しに関する確認をするためです。しかし殆どの遺族は遺体の引き取りを希望しません。遺体を引き取らない理由は様々だと思われますが、心の痛手や精神的苦痛が深いことも一因かもしれません。
ごく少数ですが、引き取りを希望し、通常の葬儀を行う遺族もいます。また死刑囚はそもそも身よりのいない方も多いとされています。引き取られなかった場合、拘置所で葬儀が執り行われ、遺体は火葬されます。遺体は人目をしのんで遅い時間帯に行われます、遺体の引き取りを家族が拒否する場合は、拘置所の方の手により、無縁仏として納骨されます。そのお骨は拘置所にある納骨堂に埋葬される。
引き取り手が居ない殆どの死刑囚は、死んでもなお、拘置所から出られることはないということです。
東京の場合は雑司ヶ谷墓地の中に法務省納骨堂と言うものあり、そこに納骨されます。
また、中には、死刑確定後に献体を申し出る死刑囚は少なくありません。
これらの献体が医学史上に大きな功績を残すことは多くあります。社会にの役に立ちたいと、健康な遺体であれば、医学の発展に少なからず貢献できるということもあります。
死刑は、命をもって罪を償うというもっとも重い刑罰です。日本においては殺人罪など重大な犯罪の法定刑として規定されています。国際的には死刑制度を廃止する国が増加していますが、日本の世論調査では80%以上の方が「死刑もやむを得ない」と答えています。
遺体の引取を希望されることが少ない死刑囚の葬儀は、死後帰る場所さえも失うことにもなりかねません。犯罪抑止としての死刑ですが、この先死刑という制度が不要と言えるくらいの社会が実現し、すべての人が帰るべき場所に帰ることができたらと願ってやみません。
裁判員制度が始まったことにより、私たちも死刑判決について判断しなければならない立場になる可能性もあります。人道上の観点から国際的には死刑廃止に向けた流れとなっていますが、日本では被害者遺族感情への配慮や犯罪抑制への期待などから、死刑制度を支持する声が依然、多いのも事実です。