あなたはどんな風に死にたいですか?ぽっくり死にたい。干からびるように死にたい。自然に死にたい。愛する人に見守られて…などなど。
人は死に際を選ぶことはできないけれど、より良い最期を意識して用意しておくことはできます。それにはどのようにしたらいいのでしょうか。
この記事では、自然死とは?安楽死と尊厳死とはどう違うのか?自分らしい最期を迎えるために必要なことが見つけられるヒントを伝えるとともに、エンディングノートの活用方法についてご紹介します。
自然死とは?
自分の最期を考える上で欠かせないのは、自分が死ぬ時について考えてみることです。世間で言われるさまざまな死について理解すると、自分がどう生きたいか考えるヒントになりますので説明します。
まず、自然死とはなんなのか。尊厳死や安楽死とはどう違うのか説明します。
自然死とは、老衰のことです。病気や外傷などの原因は関係なく、死が間近になったときに、延命せず、加齢による身体機能の低下により亡くなることをいいます。
延命処置には、人工呼吸、人工栄養、人工透析の3種類が挙げられます。詳しくは、呼吸器をつけて人工的に呼吸する装置をつけることや、点滴や胃ろう・経管栄養などで食事の代わりに栄養を補うこと、血液を定期的に機械できれいにする人工透析を行うことなどは延命に当たります。
それらを行うことはせず、自分で呼吸をし、口から食事を摂り、自分で排泄する。ということが人工的手段を使わずにできなくなって死んでいくことが自然死となります。
自然死と尊厳死と安楽死のそれぞれの違い
自然死は前述のとおり老衰のことでした。では尊厳死や安楽死とはどう違うのでしょうか。
尊厳死
尊厳死とは、自然死とは違います。少しでも生きる時間を伸ばすために延命治療を行っている方が、積極的な治療をやめて、自然な死を迎える選択をすることをいいます。
リビングウィルは尊厳死宣言書と言われており、今後意思の疎通や判断ができなくなるであろう患者が記す書類のことです。この宣言書を持って尊厳死を選択します。
安楽死
安楽死は、治療をしていたが、治療によっても治癒や回復の見込みがなくなった患者の希望により、主治医が薬物などを用いて死に至る行為に手を貸すことです。
安楽死は、余命を自分の意思で諦めるという点において自然死とも尊厳死とも大きく違います。現在の日本では、安楽死を実施した医師は委託殺人という罪に問われてしまいます。
これらを比べてみると、その意味は全く違うことがわかりました。
それでは、死にゆく自分を見つめる時、本人の意思だけではなく、家族や周りの人の意思が関わっていることも考えてみてください。
元気な頃から最期を迎える自分や周りのことを考えてみる
元気なときには、自分はまだまだ死なないと人は考えがちです。しかし、いざ死が間近に近づいたとき、冷静に、自分の死に際のことや死んだ後のことを考えられるでしょうか。
死が近づいているときには、体は衰弱し、心も弱くなるでしょう。そんなときに、死について考えを巡らすことは、なかなかできないと思います。
あなたを見守る家族にも心の余裕がなくなります。例えばあなたが延命を望んでいなかったとしても、家族は延命してでも生きて欲しい。そう考えているかもしれません。
心の余裕がなくなったまま、危篤に陥ったあなたを延命処置をするか、看取るのかを決めなければなりません。そんな時には家族はあなたがどちらを望んでいたのか話しておけばよかったと思うかもしれません。
もし、家族が延命することを決めて治療を開始したら、前述の通り、もうその治療を中止することはできません。それがあなたの望んだ結果であったか、そうでなかったかには関わらずです。
どうでしょうか。自分が元気なうちに伝えたいことがあると思った方は、死について考えられる余裕のあるうちに、そこに考えを馳せてみてください。そして伝えておくことをまとめておくのはいかがでしょうか。
自分らしい最期を迎えるためのエンディングノートの活用
もし、あなたが生前のうちに、家族や周囲の人に伝えたいことがあると考えた場合には、エンディングノートというものがあるのでご紹介します。
エンディングノートとは?
自分の人生を振り返り自分を見つめ直して、今後に活かすために頭を整理するためのノートです。
自分が死んだときや、万が一、意思疎通ができなくなった状態になったことを想定して、家族に伝えておきたい情報を書き残しておくためにも使えます。
エンディングノートは、大切な人にメッセージの伝え忘れを防ぐこともできます。最近では若い世代でも使用できる、備忘録用エンディングノートもあります。
エンディングノートと遺言書の違い
生前に言葉を残しておくというと遺言書のイメージが強いですが、エンディングノートと遺言書の違いは、法的効力があるかどうかが違います。
遺言書にはその内容に関して法的効力が発生します。遺言書に書くことができるのは、死後のことに関してだけです。
書くことのできる範囲も、遺産相続や子どもの認知に関することなど、その内容は厳格に決定されています。
これに対し、エンディングノートは法的効力はありません。エンディングノートは自由に自分の考えを書き記すことができます。
書いたからといって、書いた日が変更不可能な約束になるわけではありません。自分らしい最期の日を迎えるために必要なことなどを考えるヒントとしてぜひ活用してみてください。
エンディングノートに書き記すこと
エンディングノートには決まった形式はないので、何を書き記すかを明らかにしておくのがポイントになります。
人生の振り返りをしたい
思い出や忘れたくない記憶を残しておくなら、自分史や履歴が書ける形式の物を使いましょう。
葬儀や相続のことを伝える
残される家族の負担を減らすために、相続や葬儀のことや万が一のことが起こった時のためのことをエンディングノートに記すなら、自分の要望をきちんと書いておくことが大切です。
自分自身の備忘録にしたい
銀行口座やパソコンの暗証番号、保険のことなどを忘れないように残すこともできます。この場合にはそれらの項目が載っているエンディングノートを選ぶとよいでしょう。
葬儀やお墓のこと
自分の終活を兼ねてエンディングノートを使用するのもよいでしょう。自分の希望の葬儀社やお墓はどうするのか考えておく方は少なくありません。負担を残さないように考えている人が多いからです。
多摩中央葬祭オリジナルエンディングノート
多摩中央葬祭ではオリジナルのエンディングノートを作成し、
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まとめ
自然死とは老衰のことです。延命はせず、加齢による身体機能の低下により亡くなることをいいます。尊厳死や安楽死とはその意味は全く違っています。
尊厳死、安楽死のそれぞれの死の意味を考えてみると、延命をしたら急に治療はやめられない現実があることを知ることができました。
このことから自分が延命をするかについて考えてみることができます。自分の延命への意思が決まっていると、のちに自分の危篤の際に選択を迫られる周囲の人の意思決定を助けることができます。
自分らしい最期を迎えるために準備したことは、残される周りの人のためにもなります。
エンディングノートは自分の考えを書きとめ、まとめていくのに向いています。遺言書のような法的な縛りはありませんのでぜひご活用ください。
この記事が自分らしい最期を迎えるためのヒントになることができれば幸いです。