【死刑囚 最期の朝】「お迎えだ」足音で悟る死刑執行の朝

|当日告知から刑場まで

死刑囚 最期の朝
その朝、死を告げたのは、判決文でも、人の声でもありませんでした。

拘置所の廊下の奥から近づいてくる、大勢の靴音でした。

突然、静まり返った廊下に、複数の靴音が高らかに鳴り響きます。

独居房にいたK死刑囚は、その瞬間、すべてを悟りました。

「あ、お迎えだ。お迎えに違いない」

それは、地獄の使者が近づいてくるかのような足音でした。

K死刑囚は、何かに吸い寄せられるように独居房の扉へ近づきます。身震いしながら視察孔をのぞき、廊下の左側を必死に見つめました。

胸の動悸が、全身に響きます。

そこには、制服姿の役人が10人余り集まっていました。

事務室から出てきた係長が、教育部長を挙手の礼で迎えます。そして、K死刑囚のいる独居房を指さし、そばにいた刑務官へ無言で目配せをしました。

その瞬間、K死刑囚は息が詰まりました。

もう、外を見続けることができません。

弾かれたように扉から離れ、心の中で叫びます。

「お迎えだ!」
「とうとう、俺のお迎えが来たんだ……」

首筋から背中にかけて、ぞっとするほど冷たいものが、へばりついていました。

これは、市川悦子氏がまとめた『足音が近づく―死刑囚・小島繁夫の秘密通信』に収められた記録をもとに、YouTubeのトークシナリオで再構成した場面です。同書は、死刑確定者から妻へ秘密の方法で送られた通信をもとに、外部からはほとんど知ることのできない拘置所の日々を伝えています。 (インパクト出版会)

本記事では、その扉の向こう側で、いったい何が起きているのか。

**「死刑囚、最期の朝」**についてお話しします。


目次

はじめに|死刑囚だけを「かわいそう」と語る記事ではありません

ご葬儀は、地元の葬儀社が一番。

森の風ホール立川・府中・国立・昭島を運営する、多摩中央葬祭株式会社の森山泰文です。

本記事は、YouTube「多摩おそうぎチャンネル」で公開した動画の内容を、ホームページの読み物として再構成したものです。

多摩おそうぎチャンネルは、動画制作時点で登録者数24,000人を超え、葬儀マナー、葬儀知識、葬儀業界の裏側、そして普段は語られにくい「死」に関する情報を発信しています。

今回のテーマは、少し怖い内容です。

しかし、知らないまま、真偽の分からないネット上の噂だけを信じることの方が危険です。

また、この記事は死刑制度への賛成・反対を一方的に主張するものではありません。

死刑確定者の最期だけを切り取って、ドラマチックに「かわいそう」と語るつもりもありません。

そこには、命を奪われた被害者がいます。

突然、大切な家族を奪われ、人生そのものを変えられてしまったご遺族がいます。

その重さを決して忘れず、同時に、国家がどのような手続きとルールによって人の生命を終わらせているのかを見ていきます。

本記事の注意点
死刑執行の詳細はすべて公開されているわけではありません。以下には、法令や政府答弁で確認できる内容のほか、書籍、報道、元刑務官など関係者の証言に基づく内容が含まれます。施設、時代、個別の状況によって、手順や設備が異なる可能性があります。


まず知っておきたい4つの事実

疑問現在確認できる内容
本人が執行を知らされる時期一般的な取扱いでは、執行当日、執行に先立って告知されます
日本の死刑執行方法刑法上、刑事施設内での絞首刑です
縄を解く時期死亡確認後、さらに5分が経過してからです
全国の刑場で同じ手順か細かな設備・人数・手順は施設などによって異なる可能性があります

本人への当日告知は政府答弁で明らかにされており、絞首刑と死亡確認後5分の規定は、刑法及び刑事収容施設法に定められています。 (参議院)


1.死刑執行の朝――毎朝、足音におびえながら生きる

一般には「死刑囚」と呼ばれていますが、法令では「死刑確定者」という言葉が使われます。

死刑確定者の処遇は、居室外で行うことが適当と認められる場合を除き、昼夜を通して居室内で行われます。居室は原則として単独室です。 (CrimeInfo | 日本の死刑制度を含む刑事司法制度に関する情報サイト)

独居房に収容されている死刑確定者たちは、平日の朝、廊下を歩く刑務官の足音や、周囲のわずかな変化にも神経をとがらせるといわれています。

いつもと違う人数。

いつもと違う靴音。

いつもとは違う扉の開き方。

わずかな変化が、死刑執行のサインかもしれないからです。

朝7時ごろから、朝食が配られるまで。

死刑確定者が収容されているフロアには、言葉では表せないほどの緊張が走ると伝えられています。

いつ呼び出されるか分からない時間を、毎朝、足音におびえながら生きている。

もちろん、その日に何も起きないこともあります。

朝食を食べ、昼を迎え、夕方になり、その日を生き延びる。

しかし翌朝になれば、また同じ恐怖が始まります。

「今日なのか」

「今日が、自分の執行日なのか」

その答えを知らされないまま、廊下の音に耳を澄ませ続けるのです。

事前告知がない中、朝食後に複数の足音が近づき、独居房の扉が開く。

そこに、普段の担当者とは違う職員や警備担当者が立っていた場合、本人はおのずと意味を悟るといわれています。

証言の中には、朝食後、洗顔や歯磨きも済ませていない状態で、前後左右を刑務官に囲まれ、そのまま刑場へ連行されたというものもあります。


2.足音が「死の知らせ」に変わる朝

冒頭でご紹介した記録は、1960年代に福岡拘置所へ収容されていた死刑確定者、小島繁夫の記録をもとにしています。

市川悦子氏がまとめた『足音が近づく―死刑囚・小島繁夫の秘密通信』には、正式な手紙では外部へ伝えにくかった拘置所内の様子や、自分の感情を、妻へ秘密裏に伝えた記録が収められています。 (インパクト出版会)

「足音が近づく」

この題名そのものが、死刑確定者の日常を表しています。

ある関係者の証言では、執行当日の朝、屈強な職員が選ばれ、監督者を含む5人ほどで独居房へ迎えに行くとされています。

扉を開け、かけられる言葉は、わずかです。

「おい、出てこい」

本人が「何ですか」と尋ねても、

「いいから出てこい」

それ以上の説明はせず、連れ出すといいます。

この段階では、まだ「これから死刑を執行する」とは言わないとされます。

普段、独居房を出る際には右側の中央廊下へ進む。しかし、執行の日には左へ曲がり、西側の廊下へ向かう。

いつもと違う方向へ歩かされた時点で、本人はすべてを悟る。

その後、2階の取調室などへ移動し、施設の長から、

「お別れの時が来ました。今から死刑を執行します」

という趣旨の告知を受けるとされています。

そして、「連行」という命令によって、刑場へ向かいます。

刑場は建物の端に設けられ、万が一の事態に備えて、廊下には一定間隔で職員が配置されるという証言もあります。

ただし、この右・左の進行方向、取調室の位置、職員数や配置間隔などは、特定の施設や証言に基づく描写です。すべての刑事施設が同じ構造、同じ手順とは限りません。

関連動画

動画では、死刑確定者本人の記録や証言をもとに、最期の朝についてさらに詳しく取り上げています。

【死刑囚 最期の朝 生の声】死刑囚たちは、どのようにして最期の朝を迎えているのでしょうか? (YouTube)

【死刑囚】最期の朝 生の声 宅間守 (YouTube)

今回の記事の元となった動画も、YouTube「多摩おそうぎチャンネル」で公開しています。 (YouTube)


3.本人が知らされるのは、原則として当日の朝

死刑の執行日は、本人へ前もって伝えられるのでしょうか。

現在の日本では、一般的な取扱いとして、本人への告知は執行当日、執行に先立って行われます。

政府も国会答弁で、死刑確定者本人に対する執行の告知について、当日に刑事施設の長が行うと説明しています。 (参議院)

報道や当日告知をめぐる裁判では、本人が知らされるのは、執行の約1時間から2時間前と説明されることがあります。

ただし、政府がすべての施設について「必ず1時間から2時間前」と公表しているわけではありません。正確な時間や細かな運用には、明らかになっていない部分があります。 (FNN)

家族も、最後のお別れを準備できない

「家族だって、最後に会っておきたい」

「伝えたい言葉がある」

「届けたい物がある」

「本人にも、心の準備が必要なのではないか」

そう思う方は多いでしょう。

しかし、本人への告知が当日である以上、家族や弁護人が事前に連絡を受け、最後の面会を準備できる仕組みにはなっていません。

家族にとっても、いつ届くか分からない知らせです。

政府答弁では、被収容者が死亡した場合、刑事施設の長が、その死亡原因や日時などを遺族等へ速やかに通知すると説明されています。

つまり、家族が知るのは、執行前ではなく執行後になることがあるのです。 (参議院)

かつては事前に告知されることもあった

日本でも、1970年代半ばごろまでは、前日以前に執行を知らせる場合があったとされています。

ところが、執行の前日に告知を受けた死刑確定者が自ら命を絶った事例があり、その後、告知時期を検討した結果、すべて当日に知らせる運用へ改められたことが政府答弁で示されています。 (衆議院)

それ以降、死刑確定者は朝を迎えるたびに、

「今日かもしれない」

という恐怖と向き合うことになりました。

死刑囚だけの「かわいそう」で終わらせてはいけない

本人だけではありません。

待っている家族も、突然です。

しかし、ここで絶対に忘れてはならないことがあります。

犯罪被害者のご遺族にも、突然、大切な人を奪われた方がいます。

別れの時間さえ与えられず、昨日まで一緒にいた家族が、ある日突然、帰ってこなくなった。

伝えたかった言葉も、聞きたかった声も、すべて奪われた方がいます。

だからこそ、この問題を、死刑確定者だけの「かわいそう」という話にはできません。

一方だけを見るのではなく、被害者、遺族、死刑確定者、その家族、そして刑を執行する側まで見る。

簡単な結論に飛びつかず、両方の重さを考える。

それが、この問題と向き合うために必要な姿勢ではないでしょうか。


4.執行後、縄が解かれるのは「死亡確認後5分」

動画の中で、多くの方が特に驚くのが、この部分です。

死刑が執行され、本人の死亡が確認されたら、すぐに縄を外すのでしょうか。

答えは、いいえです。

正式名称を「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」といい、その第179条には、次のように定められています。

死刑を執行するときは、絞首された者の死亡を確認してから五分を経過した後に絞縄を解くものとする。

つまり、死亡が確認されたあとも、さらに5分間は縄を解きません。 (e-Gov 法令検索)

ここは、間違えやすいところです。

「踏み板が開いてから5分」ではありません。

「死亡が確認されてから、さらに5分」です。

この事実を知り、言葉を失う方もいるでしょう。

しかし、ここでも「かわいそう」という感情だけで終わらせてはいけません。

その人が、なぜ死刑判決を受けたのか。

そこには、命を奪われた被害者がいます。

人生を根底から変えられてしまった家族がいます。

その重さを忘れ、死刑確定者の最期だけを刺激的に語るのは違います。

一方で、刑罰を執行する国家が、どのようなルールに基づいて人の生命を終わらせているのかを知ることも大切です。

被害者とご遺族の痛みを見る。

同時に、刑罰が執行される過程も見る。

どちらか一方から目を背けないことが、大人の見方ではないでしょうか。

現在の日本の死刑は絞首刑のみ

刑法第11条は、死刑について、

死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する。

と定めています。

現在の日本で、法令上定められている死刑執行方法は絞首刑です。 (CrimeInfo | 日本の死刑制度を含む刑事司法制度に関する情報サイト)

江戸時代には、斬首、磔、鋸挽き、火刑など、現代とは異なる刑罰が存在しました。

多摩中央葬祭のホームページでは、江戸時代に行われていた処刑についても別の記事で紹介しています。

関連記事:【処刑】江戸時代の処刑は凄かった。 (多摩中央葬祭)

死刑執行は公衆の前では行われない

現代の死刑執行は、見せしめを目的として大勢の公衆の前で行う「公開処刑」ではありません。

刑事訴訟法では、死刑は検察官、検察事務官、刑事施設の長またはその代理者の立会いのもとで行い、許可を受けた者以外は刑場に入ることができないと定められています。 (CrimeInfo | 日本の死刑制度を含む刑事司法制度に関する情報サイト)


5.死刑囚の1日は、どのようなものなのか

死刑確定者は、毎日どのように過ごしているのでしょうか。

法令では、死刑確定者の処遇にあたり、本人が心情の安定を得られるよう留意することが定められています。

また、居室外で処遇することが適当な場合を除き、昼夜を通して単独室で生活します。 (CrimeInfo | 日本の死刑制度を含む刑事司法制度に関する情報サイト)

細かな時刻は施設や時代によって異なりますが、過去の報道や資料では、次のような1日の例が紹介されています。

死刑確定者の1日の一例

時刻過ごし方
午前7時ごろ起床、点検、洗面など
午前7時15分~30分ごろ朝食
午前中読書、ラジオ、許可された作業、運動など
午前11時30分ごろ昼食。資料によってはニュース視聴の時間もあるとされます
午後読書、テレビ、ラジオ、手紙、作業など
午後4時ごろ夕食
午後5時ごろ仮就寝、自由時間
午後9時ごろ就寝

この表は、過去に紹介された生活例をまとめたものです。全国の刑事施設で、現在も分単位まで同一のスケジュールが採用されていると断定するものではありません。 (テレ東・BSテレ東)

決められた刑務作業に従事する必要はない

死刑確定者の場合、死刑の執行そのものが刑罰です。

そのため、受刑者のように、毎日決められた作業を刑罰として行うことが中心ではありません。

なお、2025年6月1日から、従来の「懲役」と「禁錮」は廃止され、新たに「拘禁刑」へ一本化されています。そのため、現在の記事では「懲役囚」ではなく、**「拘禁刑の受刑者」または「旧・懲役受刑者」**と表現する方が正確です。 (法務省)

死刑確定者は、比較的多くの時間を居室内で過ごします。

許可の範囲内で、次のようなことが認められる場合があります。

  • 1日30分程度の運動
  • 本や新聞などを読む
  • テレビやラジオを視聴する
  • 手紙を書く
  • 所持金で許可された菓子類や食料品などを購入する
  • 本人が希望し、施設の許可を得た場合に簡易な作業を行う

政府答弁でも、死刑確定者の心情の安定を図るため、希望者への宗教教誨、請願による作業、短歌などの余暇活動、ビデオ視聴、菓子類の購入許可などが行われてきたことが説明されています。 (衆議院)

朝食後から夕食までの余暇時間に、本人の希望や許可によって、張り紙や封入のような簡易作業を行い、報酬を得る例が紹介されることもあります。

一方で、作業をせずに過ごす人もいます。

夜も完全な暗闇にはならないとされる

夜間は、死刑確定者の様子を確認できるよう、布団の頭側を扉へ向けて敷く、顔まで布団をかぶらないといったルールがあると紹介されています。

また、完全に消灯せず、10ワット程度の薄い明かりを残すとの証言もあります。

眠っている間も、完全に人の視線から解放されるわけではない。

そして翌朝になれば、また廊下の足音を聞きます。

何事もない1日を繰り返した先で、ある日突然、執行を告げられる。

告知を受けてから、報道などでいわれる1時間から2時間ほどの間に、最期の時を迎えることになるのです。


6.死刑執行日、当日の流れ

ここからは、これまでに公表された刑場の情報や、関係者の証言などをもとに、執行当日の流れを見ていきます。

ただし、何度もお伝えしているとおり、細かな手順は施設や時代によって異なる可能性があります。

①独居房から連れ出される

朝、刑務官が独居房へ迎えに来ます。

本人は複数の職員に囲まれ、居室から連れ出されます。

この段階で正式な理由を伝えず、移動の途中、または別室へ入ってから執行を告げるという証言があります。

②教誨室などで最期の時間を過ごす

刑場内の教誨室などへ移動すると、遺言や所持品の整理を行う機会が設けられるとされています。

本人が希望する場合には、宗教家である教誨師と一定時間を過ごします。

証言の中には、教誨師と30分ほど過ごすとするものもあります。

2010年に公開された東京拘置所の刑場には、教誨室、前室、執行室、立会室、ボタン室などが設けられていました。 (AFPBB News)

③施設の長から死刑執行を告げられる

教誨室や前室などで、拘置所長等から、

「お別れの時が来ました」
「これから死刑を執行します」

という趣旨の言葉が伝えられるとされています。

証言によっては、

「今日まで、よく頑張りましたね」

といった言葉がかけられる場合もあると紹介されています。

ただし、実際にかけられる言葉が、すべての執行で統一されているわけではありません。

④目や顔を覆われ、手錠などをかけられる

その後、本人は目隠し、または資料によっては顔を広く覆うものを着けられ、手錠をかけられるとされています。

カーテンや扉が開き、執行室へ移動します。

踏み板の上に立たされ、両足を固定され、首に縄がかけられます。

目隠しの方法、手錠の位置、足の固定方法などは、資料や証言によって説明が異なります。

⑤複数の刑務官がボタンを押す

2010年に公開された東京拘置所の刑場では、執行室と壁を隔てたボタン室に3つのボタンが設置されていました。

3人の刑務官が同時にボタンを押し、そのうち、どのボタンが踏み板と連動したのか、担当者には分からない仕組みと説明されています。 (AFPBB News)

これは、特定の刑務官一人に、

「自分が命を奪った」

という意識を集中させないための配慮とされています。

しかし、元刑務官からは、

「結局、3人全員が自分の押したボタンだったかもしれないと思う」

という趣旨の指摘もあります。

また、国会審議では、刑場によってはボタンの数が3つではなく、4つの場合もあるのではないかという話も出ています。

したがって、日本全国の刑場に、必ず3つのボタンが設置されているとは限りません。 (衆議院)

⑥死亡確認後、さらに5分が経過してから縄を解く

踏み板が開き、刑が執行されます。

その後、医師などによって死亡が確認されます。

しかし、死亡を確認した直後に縄を外すことはできません。

法律の規定により、死亡確認後、さらに5分が経過してから縄を解きます。 (e-Gov 法令検索)

執行に携わる刑務官の心にも残る

死刑を執行される側だけでなく、執行に携わる刑務官にも、大きな心理的負担がかかります。

ボタンを押した職員に休暇を与えるなど、心理的ストレスを和らげる対応が行われるとの記事や証言もあります。

一方、政府は過去の国会答弁で、死刑執行に携わる刑務官のための「特別の措置はない」と説明した例もあります。

したがって、休暇付与などを全国一律の制度として断定することはできません。

ただし、死刑執行に携わる職員の心情に十分耳を傾ける必要があるという政府の見解は示されています。 (衆議院)


「日本全国、すべての刑場で必ずこの通り」ではない

ここまでご案内した内容には、法令で明確に定められているものと、書籍、報道、元刑務官など関係者の証言をもとにしたものがあります。

法令で確認できるのは、たとえば次のような事項です。

  • 本人への告知は、一般的な取扱いとして執行当日
  • 死刑は刑事施設内における絞首刑
  • 執行の立会人や刑場へ入れる者は制限されている
  • 死亡確認後5分が経過してから縄を解く
  • 死刑確定者は原則として単独室で処遇される

一方、次のような内容は、施設や証言によって違いがあり得ます。

  • 独居房から刑場までの詳しい移動経路
  • 迎えに行く刑務官の人数
  • 本人へかける具体的な言葉
  • 教誨師と過ごす時間
  • 目隠し、手錠、足の固定方法
  • ボタンの数
  • 執行担当者への休暇や心理的支援

今日お話しした内容は、これまでに明らかになっている資料や、元刑務官など関係者の証言をもとにしたものです。

「日本全国、すべての刑場で、必ず同じ手順が行われている」という意味ではありません。


7.まとめ|死を考えることは、生きることを考えること

この話を聞いた新人社員のまりなは、最初、

「死刑囚の最期は、いったいどうなるのだろう」

という気持ちで話を聞いていました。

しかし、最後には、自分の家族のことを考えたといいます。

死刑確定者には、いつ「その日」が来るか分かりません。

しかし、実は、私たちも同じです。

明日が必ず来る保証は、誰にもありません。

葬儀の現場では、

「もっと話しておけばよかった」

「ありがとうと伝えておけばよかった」

「元気なうちに、もう一度会っておけばよかった」

そんな言葉を、本当によく聞きます。

だから私は、死を考えることは、縁起の悪いことではないと思っています。

むしろ、死を考えることは、

今をどう生きるかを、真剣に考えることです。

まりなは、この話を聞いたあと、

「今日、家に帰ったら、家族にありがとうと伝えてみます」

と話しました。

言えるうちに言う。

会えるうちに会う。

謝れるうちに謝る。

感謝できるうちに、感謝を伝える。

それが一番大切です。

私たち多摩中央葬祭は、ただお葬式を行う会社ではありません。

お葬式を通して、

「真剣に、生きる!」を考える会社でありたい。

どう死ぬかより、どう生きるか。

皆さんが今、

「ありがとう」と伝えたい人は、誰ですか?


よくある質問

死刑囚は執行日をいつ知らされますか?

政府答弁によると、一般的な取扱いでは、死刑確定者本人への告知は、執行当日に刑事施設の長が執行に先立って行います。 (参議院)

家族には事前に知らされますか?

本人への告知が当日であるため、家族が事前に連絡を受け、最後の面会を準備できる仕組みにはなっていません。被収容者が死亡した場合には、刑事施設の長から遺族等へ死亡原因や日時などが速やかに通知されます。 (参議院)

日本の死刑はどのような方法で行われますか?

刑法第11条により、刑事施設内において絞首して執行すると定められています。 (CrimeInfo | 日本の死刑制度を含む刑事司法制度に関する情報サイト)

執行後、すぐに縄を外すのですか?

すぐには外しません。刑事収容施設法第179条により、死亡を確認してから5分が経過した後に縄を解くことになっています。 (e-Gov 法令検索)

すべての刑場で同じ手順ですか?

法令で共通する部分はありますが、刑場の設備、職員数、ボタンの数、移動経路などの細かな運用は、施設や時代によって異なる可能性があります。


参考資料

本記事では、主に次の法令・資料・政府答弁を確認しています。

  • 刑法第11条
  • 刑事訴訟法第475条から第478条
  • 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第32条、第36条、第178条、第179条
  • 死刑執行の当日告知に関する政府答弁
  • 市川悦子『足音が近づく―死刑囚・小島繁夫の秘密通信』
  • 2010年に公開された東京拘置所刑場に関する報道資料 (CrimeInfo | 日本の死刑制度を含む刑事司法制度に関する情報サイト)

※本記事は、死刑制度への賛成・反対の結論を読者へ押し付けるものではありません。公開資料や証言を通じて、普段は見ることのできない死刑執行の一面と、命について考えるきっかけをお伝えするものです。


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