葬儀の宗派選びに迷ったら・・・

お葬式を執り行う際、ほとんどの方が仏教の教えに沿ったお葬式をお選びいただくと思います。
仏教とひとまとめに言っても、多くの宗派があり、
一つひとつの宗派によって御本尊だけでなく、祭壇の飾り方や作法が少しずつ異なります。

このブログでは、特にお付き合いのあるお寺(=菩提寺)がない方に向けて
仏教宗派の教えの特徴についてご紹介いたします。

目次

お葬式における宗派

近年では、菩提寺はないが、お葬式で読経をしていただいたり、戒名をいただいたりすることを希望される方に向け、
葬儀社で僧侶を紹介することができます。

その際必ず聞かれるのがご希望の宗派はありますか?」という質問です。

お付き合いのあるお寺はないし、ご自身の宗派をご親戚に聞いてもわからない、お仏壇やお墓もない…

この場合はたいてい「お任せで……」という返事になるのですが、
本当は、きちんと根拠を持って選択したいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

仏教には大きく分けて8つの宗派があり、それぞれに異なる教えがございます。
宗派の特徴を知って、考え方が好きと感じるところに依頼したいという方に、
日本の主な仏教宗派の考えの特徴をご紹介します。

※同じ宗派であっても地域や寺院によって考え方が異なる場合がございます。

天台宗

仏の教えを顕教(けんぎょう)密教(みっきょう)の2つに分けて考え、

顕教は、「自分を救い他人を利する」という教えで、
密教は「仏と自己の一体を観念し、仏の力で仏の境地に達する」という教えです。

この2つの教えで、故人の罪や穢れを払い、故人や縁者と一緒に仏道に達するという考え方です。

真言宗

故人を密厳浄土(三密の万徳によって荘厳された大日如来の浄土)に送り届けるため、
今世で身についた悪い考えや習慣などを葬儀によって浄化し、仏様の加護を得られるように供養します。

浄土宗

「南無阿弥陀仏」と念仏を唱え、阿弥陀仏への帰依や感謝を表すとともに、阿弥陀仏の力で仏の救済を受け、
死後は浄土に生まれることができる、という教えです。

浄土真宗本願寺派

浄土真宗は「往生即成仏」という考え方があり、極楽往生のための“供養“や“修行“を必要としません。

阿弥陀如来に故人の往生を託し、阿弥陀如来との接点を与えてくださったことや教えを受ける機会を与えてくださったことに感謝する、という意味合いで葬儀が行われるため、礼拝の対象も故人ではなく阿弥陀如来に対してとなります。

浄土真宗大谷派

浄土宗の教えである「他力本願」がさらに強い「絶対他力」が教えで、
念仏を唱えていなくても阿弥陀如来を信仰しているだけで成仏できるという教えです。

臨済宗

座禅で悟りを開き、知識ではなく、悟りを重んじています。
お葬式は、亡くなった人を仏の弟子にするための授戒の儀式と、
仏生(言葉による理解を超えたことを理解する能力)に目覚めさせ、
仏の世界へと導くための引導の儀式が中心です。

曹洞宗

「人間はみな仏の心があり、正しい生活を送ることによって仏性を磨くことができる」
と曹洞宗では考えられています。

日蓮宗

お釈迦様が説いた「妙法蓮華経(法華経)」を重要視しています。
法華経は、身分や階級に関係なく万人が平等に成仏できるという教えです。
それが仏教思想の原点であり、何よりも重要視すべきものだと説きました。
そのため日蓮宗では「法華経に帰依します」という意味の「南無妙法蓮華経」を唱えることが重要な修行とされています。
帰依するとは・・・「仏を信仰し、教えを乞うて仏教の教えのまま生きること」

葬儀の 宗派 に困る前に、生前から希望を聞くことも大事

身近な方が亡くなり葬儀社に連絡をした際、「菩提寺はありますか?」と必ず質問されます。
「菩提寺はないし、自分の宗派もわからない…」という場合は、
ご葬儀を準備される際に慌てないよう、事前に考えておくことがおすすめです。

家族が元気なうちに希望を聞いておけるのが一番いいでしょう。

葬儀の宗派に迷うなら、無宗教葬も

仏式でのご葬儀にこだわりがないのであれば、無宗教でご葬儀を執り行うのも一案です。

無宗教葬はまだ広く知れ渡っているわけではありませんが、
「特定の宗教を信仰しているわけではないので、無宗教葬を執り行いたい」と
ご希望の方もいらっしゃいます。

無宗教葬についての詳細は、以下の記事もご覧ください。

まとめ

日本の仏教宗派にはそれぞれ独自の教えや価値観があるため、
故人様やご家族の信仰やお考えに合う、宗派をお選びいただくことができます。

また、仏教形式のご葬儀に強いこだわりがないのであれば、
無宗教葬も選択肢に入れることで、より一人ひとりの遺志やご希望に沿ったご葬儀の実現が可能です。

いずれのケースでも最も大切なのは、
故人様やご家族の想いを尊重し、心からの供養を行うことです。
愛する人を偲び、思いを馳せながら、心からのお別れと感謝を捧げることが大切です。

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